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HOME   »   MLB  »  [MLB2015] 岩隈久志投手 ノーヒット・ノーラン!
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 8月13日朝、素晴らしいニュースが飛び込んできました。

 シアトル・マリナーズの岩隈久志投手が、現地8月12日の対ボルチモア・オリオールズ戦(於、シアトル・セーフコフィールド)に先発し、ノーヒット・ノーランを達成したというのです。まさに快挙です。

 本ブログでは、日本出身投手の中で現在最もMLBに適応している投手として、岩隈投手を採り上げてきていますが、その岩隈投手がついにやってくれたのです。

 9イニング・116球を投げて、被安打0、奪三振7、四球3という見事な内容でした。チームは3-0で勝利し、岩隈投手は今シーズン4勝目を挙げました。

 この投球を観て感じたことを、順不同で挙げてみます。

① ストライクで勝負していたこと

 本ブログで岩隈投手を、日本出身投手の中でMLBに最も適応している投手と位置づけている最大の理由がこれなのですが、この日の投球でも持ち味を存分に発揮しました。

 岩隈投手は、ストライクからボールになる球では無く、「ストライクからストライクになる投球」を展開するのです。

 結果として、相手打者は初球から打ってきますので、少ない球数でイニングを稼ぐことが出来ます。「先発投手は投球数100球が目途」という暗黙のルールの中で「6イニング3失点以内」というクオリティスタートや7イニング・8イニングを投げ切るために不可欠なスキルであり、MLBのスターター・先発投手に求められる投球なのです。

 もちろん、初球から「ストライク→ストライク」で勝負する訳ですから、甘いコースのボールやキレの無いボールなら直ぐに打たれてしまいます。好投を続けていた岩隈投手がホームランを浴びることが多いのも、こうした投球パターンの影響でしょう。
 
 それでも岩隈投手はこの投げ方を変えようとはしません。何故なら、この投げ方がMLBの先発投手に求められている投げ方だからです。
 そして、この投げ方で「コントロールが良く、球のキレが良い日」には、完投、完封、ノーヒット・ノーラン、完全試合、といった「好投・快投」が生まれる可能性があるのです。
 球数を少なく抑えることが出来る、この投げ方以外では、7回前後に100球に達してしまい、交替させられてしまいますから、完投・快投は生まれ難いことになります。

 この日の岩隈投手は、初球にストレート(2シーム)でストライクを取ることがとても多く、ストライク先行の投球を続けました。そのストレートのキレがとても良かったのです。

② カウント「1ボール・2ストライク」がとても多かったこと

 前述のような投法で、このゲームでは調子が良かった岩隈投手ですから、相手打者とのカウントも1-2がとても多かったのです。
 早々に2ストライクに追い込んで、変化球で料理する、見事な投球でした。

③ ストレートは高目に、変化球は低目に

 この日の岩隈投手の初球ストレートは「高目一杯のストライク」でした。

 そして追い込んでからの変化球は低めにコントロールされていました。ワンバウンドの投球も観られました。

 この高低のバランスが絶妙であったと思います。打ち頃の「ベルト付近の高さ」のボールは少なかったと感じます。

 「高目に投げてはダメだ、低めに投げなければ」という解説を耳にすることが多いのですが、必ずしもそうでは無くて「高目の使い方の問題」なのでしょう。この日の岩隈投手の投球が、それを如実に示しています。

④ スークレ捕手との相性の良さ

 この日のシアトルの捕手はスークレ選手でした。チームに3人居る主力捕手の中で、岩隈投手と最も相性の良い捕手です。

 このゲーム以前での、岩隈投手-スークレ捕手のコンビは「1点台の防御率」を示現していました。先発投手がどの捕手に当たるかは、チームの都合、捕手のローテーションの問題ですから、このゲームは「良い巡り合わせ」であったことになります。

 このスークレ捕手が「初球・高めのストレート」を要求していた訳です。スークレ捕手は岩隈投手の持ち味を、良く引き出していたということでしょう。

⑤ 最大のピンチは4回表

 3回までパーフェクトな投球を魅せて、3人ずつで打ち取っていた岩隈投手にピンチが訪れたのは4回表でした。

 3回裏に、シアトルが3番打者グティエレス選手と4番カノー選手のタイムリーヒットで2点を先取したことを受けての4回表の投球です。「得点してくれた次のイニングなので大事に行こう」と考えたのかもしれませんが、この回のボルチモアの先頭打者・マチャード選手に四球を与えてしまいます。

 その後2アウトを取りましたが、4番のクリス・デービス選手も歩かせてしまいました。テービス選手は「メジャーリーグを代表するロングヒッター」ですし、この時点のリーグ打点トップのプレーヤーですから、ここでホームラン(2ラン)を浴びることを回避するための慎重な配給であったとは思いますが、結果として2死1・2塁という、このゲーム最大のピンチとなったのです。

 しかし、岩隈投手は後続をキッチリと打ち取りました。このピンチを乗り切ったことで、ゲームは岩隈投手のペースになったのでしょう。

 4回裏にシアトルは追加点を挙げ、3-0とリードを広げました。

⑥ 現地テレビ局の対応と観客の動き

 このゲームを報じたNHK-BS放送は、現地テレビ局の映像を使っていましたから、現地テレビ局の「岩隈投手のノーヒッターに対する取扱」が良く分かりました。

 最初に兆しが表れたのは、5回表を終った時でした。スコアボードを大きく映し出し、ボルチモアがノーヒットであることを示しました。

 そして7回表を終ってノーヒットでしたから、ここからは「岩隈投手のノーヒッター」中心の画面作りとなりました。
 再三スコアボードを映し出したり、過去の、今季のノーヒッターの実績などをコメントし始めました。

 8回に入ると、2万5千人の観客も騒然として来ました。

 8回表、岩隈投手はボルチモアの先頭打者・スコープ選手に四球を与えました。カウント1-2と追い込み、臭いところに投げ続けたのですが、結局フォアボールにしてしまったのです。やはり「丁寧に行こう」とする投球の為でした。

 この後、岩隈投手は「開き直ったように」、ストライクで勝負する「本来の投球」を展開しました。
 そして、ストライクが入る度にセーフコ・フィールドを揺るがすような大歓声が響き渡りました

 8回表をノーヒットに抑えてベンチに戻る岩隈投手を、大観衆のスタンディング・オベーションが待っていました。

 9回表になっても「観客の半数近くが立ったまま」でした。そして、多くの観客はそのままゲームを観続けた、岩隈投手を応援し続けたのです。

 岩隈投手が投球に入ると、球場全体が静まり返ります。物音一つしない感じでした。

 現地の放送局は「この静けさは、ヘルナンデス投手の完全試合以来だ」とコメントしました。

 9回の1アウト目は三塁ファウルフライ、2アウト目は三塁ゴロでした。共にシアトルの三塁手カイル・シーガー選手が捌いたのですが、特にファウルフライは難しい当たりでした。もちろん、このファウルフライが取れなかったとしても、岩隈投手のノーヒッターが消えてしまうわけではないのですが、ひとつのアウトを取り損ねた後、何が待っているのか分からないのが「勝負事」でしょうから、大きなプレーだったと思います。

 9回2アウト、ボルチモアの打席には2番打者・パーラ選手が入りました。
 岩隈投手が投じた初球を打ちました。センターフライでした。

 ノーヒッター、日本の言い方ならノーヒット・ノーランが成立したのです。
 素晴らしい、本当に素晴らしい瞬間でした。

⑦ 最もヒットに近かった当たりは最初の打者

 このゲームにおいてボルチモアのプレーヤーが放った当たりの中で、最もヒットに近かったのは、1回表の先頭打者・このゲームの最初の打者マチャード選手のレフトフライであったと思います。

 レフトフィールダーの左後方を襲う強い当たりでしたが、これをシアトルのミラー選手が背走しながら好捕しました。ファインプレーであったと思います。

 他にも、カノー選手の1・2塁間を抜こうとする当たりを軽快に処理した好プレーもありましたが、やはり試合開始直後のプレーは、岩隈投手を落ち着かせるものであったと感じます。

 この日の「岩隈投手のノーヒッター」に最も立ちはだかったのも、ボルチモアのマチャード選手でした。
 1回の大飛球、4回の最初の四球と岩隈投手を脅かしました。このゲームのオリオールズのプレーヤーの中で、岩隈投手の投球に最もタイミングが合っていたプレーヤーであったと感じます。

 岩隈久志投手は、MLBの歴史に名を刻みました。
 日本出身投手としては、2001年の野茂英雄投手以来二人目の快挙です。1995年に野茂投手が太平洋を渡ってから20年間でわずか二人目なのです。

 当然のことながら、MLBにおける「ノーヒッターの価値」は極めて大きいものです。

 「ベースボール・イズ・アメリカ」と言われる「国技における快挙の大きさ」は、日本の野球ファンの想像を遥かに超えているのでしょう。
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