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HOME   »   駅伝・マラソン  »  [世界陸上2015・女子マラソン] 33km付近のスパート
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 レース開始前の気温は24℃・湿度は60%台と報じられましたから、今大会初めてと言って良い比較的「涼しい」気候でしたので、各ランナーの地力が反映される、番狂わせが少ない環境だと感じました。

 スタートは静かなものでした。速すぎるわけでは無く、かといって遅すぎる程でもありませんでしたから、早々に相応の力のランナーが先頭集団を形成しました。
 こうした世界大会にありがちな、遅すぎるペースを要因とした大きな集団にはならなかったのです。

 3km辺りで、先頭集団は18名。
 内訳は、ケニアチームが4名、エチオピアチームが3名、日本チームも3名、バーレーンチームが2名と、4か国で12名を数えました。

 レースは、給水所が迫るとケニア勢とエチオピア勢が前に出るという動きを繰り返す以外は、淡々と進みました。
 給水所はアルファベット順に並んでいましたから、日本の「J」とケニアの「K」が隣接していて、そこに計7名のランナーが1~2秒の間に集中することから、都度接触の危険があり、相当危ないシーンも発生しましたが、幸い大きなトラブルにはなりませんでした。

 7km付近で、日本チームの3名、前田彩里選手・重友梨佐・伊藤舞選手が先頭集団を引っ張る形となりました。
 5km・17分40秒~50秒というペースが少し遅いということもあるのでしょうが、それでも後方に待機するという戦法も有るわけですから、ここで前に出たというのは積極的なレース振りです。

 10kmを過ぎても、日本勢3名が集団を引っ張る形は変わりません。
 先頭に立ち、風を受けるのは不得策との見方もありますが、世界と戦って行く上でこうした「自力の勝負を展開する」ことは有益であろうと思います。

 レースは淡々としたペースで進みます。

 22.8km付近で、重友選手が先頭に立ち少しペースを上げました。相応のスピードで長い距離を押して行くことが出来るという、重友選手の持ち味が出た走りでした。

 25kmになっても重友選手が押します。
 ひとりまたひとりと脱落して行く選手が生じて、先頭集団は13名に減りました。

 26km付近で、ケニア勢の一角・ジェプケショ選手が遅れ始めました。ケニア勢は4人から3人に減り、先頭集団は12名となりました。日本・ケニア・エチオピアが3名ずつという形。

 27kmになっても重友選手が押します。
 ペースは変わりません。

 ここまで来ると、何時ケニア・エチオピア勢のスピードアップが始まるのかがポイントとなってきました。いつまでもこのスローペースでレースが続く筈は無いのです。

 31.5km付近、この平坦な北京大会のマラソンコース中、唯一と言っても良い起伏、大きな橋に差し掛かりました。
 こうしたアップダウンでベースアップが行われることは多く観られますので、いつ誰が飛び出すのかと、固唾を飲んで見守りましたが、何も起こりませんでした。重友選手が先頭の体勢は変わりません。
 
 勝負は35km以降かと思った時、33km付近でケニアの3人が動きました。
 このレースの形を決めるスピードアップでした。

 実力十分のケニアトリオがスピードアップを開始したのですから、力の劣るランナー達は付いて行けません。あっという間に、先頭集団はばらけました。
 日本トリオも、全く付いて行けませんでした。「力の差」そのものでした。

 先頭集団は6人になりました。
 ケニアのキプラガト選手・キプロプ選手・サムゴン選手、エチオピアのディババ選手・トゥファ選手、バーレーンのキルワ選手です。
 いずれ劣らぬ強豪選手です。実力上位の6名が残ったということでしょう。

 36km辺りで、トゥファ選手が遅れ始め、先頭集団は5名になりました。ケニア3、エチオピア1、バーレーン1の構成です。

 38kmを過ぎても5名の先頭集団は動きません。

 39kmを過ぎても5名の先頭集団は不変です。

 そして39.5km付近で、ケニアのキプラガト選手が遅れ始めました。世界選手権大会のマラソン2連覇中のキプラガト選手は、「最も勝負強いランナー」であることが証明されていました。
 このレースも優勝して、男女を通じて初の「世界選手権マラソン3連覇」を目指していたのです。その栄冠は残り3km以内という、手の届くところに在ったのですが、惜しくも土壇場で脚が動かなくなったのです。

 先頭集団は、キプロプ・サムゴンのケニア勢とエチオピアのディババ、バーレーンのキルワの4選手となりました。

 41kmを過ぎても4名の先頭争いが続きました。

 そして、残り1kmを切った41.5km辺りでキルワ選手が仕掛けました。勝負に出たのです。
 しかし、他の3選手は付いて行きました。

 メインスタジアム「鳥の巣」への導入道に差し掛かりました。ゴールまで200mしかありません。ここでも4ランナーの競り合いは続きました。

 ここでディババ選手がスパートしました。残り180m辺りでの渾身のスパートでした。

 このスパートには、キルワ選手とサムゴン選手は付いて行けませんでした。

 スタジアムに入って残り100m、ディババ選手にキプロブ選手が追い縋ります。
 ほとんど並びかけるところまで追い縋りましたが、残り50mを切って、ディババ選手が再びスパートして、勝負を決めました。

 エチオピアのディババ選手の優勝でした。走破タイムは2時間27分35秒。2時間19分台の今季世界最高記録を保持していたディババ選手にとっては、決して速くは無いタイムでしたが、ケニア勢との激しい競り合いを制した見事な勝利でした。

 2位のキプロプ選手は2時間27分36秒と1秒差、3位のキルワ選手は2時間27分39秒と4秒差、4位のサムゴン選手は2時間27分42秒と7秒差という、珍しい程の大接戦でした。

 ケニアと並び称される長距離競走王国であるエチオピアですが、世界選手権女子マラソンの優勝は、今回が初めてでした。
 ディババ選手は、エチオピアマラソン界の誇りを守ったとも言えそうです。

 33kmで振り切られた日本チームの中では、伊藤選手が良く粘りました。
 36km付近で確保した「7番手」のポジションをゴールまで維持したのです。
 そして、来年のリオデジャネイロ・オリンピックの出場権内定を獲得しました。残り6km強の頑張りに対する、大きなご褒美であったと思います。

 また、前田選手が13位、重友選手が14位に入りました。世界トップクラスとの差を見せ付けられたレースではありましたが、世界一を決めるレースで「自力で戦う姿勢」を主張したことには、大きな価値があると感じます。
 この経験を踏まえて「力を付ければ」、リオデジャネイロは自ずと近づいてくることでしょう。

 残り10kmを切った地点でケニアトリオが魅せたスパートは、「世界大会のメダル獲得に向けての強い意欲を示すスパート」でした。

 このスパートに反攻できる体力・技術・気力を養うことなくして、オリンピック・世界選手権のメダル獲得は無いことを、痛感させられたレースでした。
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