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HOME   »   競馬  »  [競馬コラム150] 藤田伸二騎手の引退
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 藤田伸二騎手が、9月6日に騎手を辞める旨の届をJRAに提出しましたと報じられました。

 まだ43歳ですから、騎手の引退としては早過ぎる感じで、とても意外でした。

 そういわれてみれば、最近は活躍を眼にすることが少なかったとは思いました。

 引退の理由として、「2006年のエージェント制導入以降の騎乗機会の減少」が報じられていました。
 
 エージェント制導入以降は、騎手がどの馬に乗るかの関係者との交渉は、代理人が行うルールになりました。
 代理人ひとりが担当できる騎手は3名までですので、腕利きの代理人を得た騎手の騎乗機会、特に強い馬への騎乗機会が増えることになります。

 代理人側から見れば、より勝率の高い騎手を担当することで自身の収入も増えますから、双方のニーズがマッチして、強い馬への騎乗が少数の騎手に集中する傾向が有るのでしょう。(以前からこうした傾向は在りましたけれども、一層強くなったのでしょうか)

 1991年にデビューした藤田伸二騎手は、その騎乗技術という点からは高く評価されていましたし、特に「クリーンな騎乗」という面で言えば、JRA所属の全騎手の中でも屈指の存在でした。

 特別模範騎手賞*を2004年と2010年の2回受賞していますし、フェアプレー賞19回の受賞というのは史上最多ではないかと思います。
 何より、1996年から2008年までの12年間、レースにおける騎乗停止処分を受けなかったという事実は、多頭数のレースが多く、意図していなくとも結果的に妨害行為になってしまうリスクを勘案すれば、驚異的なことと言えるでしょう。
(*勝利数・獲得賞金額・勝率といった部門で、東西のどちらかで5位以内に入り罰則制裁点が0点という、相当多くの騎乗を熟し良い成績を残しながら制裁制度の対象とならない騎手にしか与えられない賞。賞が創設された1980年以降3人の騎手に4度しか与えられておらず、2度の受賞は藤田騎手のみ。藤田騎手は2004年には121勝、2010年には92勝を挙げた上での受賞)

 騎乗成績も極めて優秀です。
 通算1918勝、重賞優勝93勝、内G1レース17勝。
 優秀騎手賞受賞10回。

 1996年日本ダービー・フサイチコンコルド、2011年天皇賞(春)・ヒルノダムール、1997年有馬記念・シルクジャスティス、2000年オークス・シルクプリマドンナ、2005年安田記念・アサクサデンエン、2002年宝塚記念・ダンツフレーム、2001年朝日杯FS・アドマイアドン、といった優勝馬達の鞍上で魅せていただいた素晴らしい騎乗振りは記憶に新しいところです。

 その藤田騎手の活躍をあまり耳にしなくなったのは2012年以降でしょうか。

 今般の引退表明を受けて、関係者から様々なコメントが寄せられていましたが、「他の騎手なら指摘しないことを藤田は言う」といった趣旨のものがありました。
 直線での蛇行などに対して、レース後の指摘があるといった内容でした。

 おそらく、騎乗技術に優れ、フェアなプレーに徹している藤田騎手としては看過できない騎乗に対して、指摘が多かったのでしょう。
 言われている側の騎手や調教師から見れば、煙たい存在であったのかもしれません。
 そして、エージェント制度における代理人にとっても、「扱いにくい存在」であった可能性があります。

 しかし、特別模範騎手賞やフェアプレー賞の受賞に見られるように、藤田騎手は「自らにもとても厳しい騎手」であった訳で、他の騎手に対してもその厳しさが表れたということかもしれません。
 少し大げさな書き方をすれば「勝つためなら何でもやる」という騎乗や、技術の未熟さからくる危険な騎乗に対して、キッチリと指摘していたのでしょう。

 周囲から嫌われないことを優先すれば、「言わなくても良い」ことを指摘し続けたことになります。

 もちろん、私は競馬界の内幕に精通しているわけではありませんから、他の要因が存在するのかもしれませんが、現在報じられている範囲の情報を総合すれば、JRAにとって、こうした騎手を失うことは大きな損失のように感じられます。

 「賭け事」に係る業種においては、常に「関係者のなれあいの発生を抑止」し「フェアな運営が強く求められるもの」であろうと思うのです。

 北海道・新冠町のメイタイ牧場で1972年2月に生を受けた藤田伸二騎手は、おそらく生まれた直後からサラブレッドに接して育ったのでしょう。
 「ネイティブな騎手」と言って良いのかもしれません。

 こうした「馬を知っている」という点で強い自負を持った職人肌の騎手が居なくなったことも、少し寂しい気がします。

 藤田伸二騎手、素晴らしい騎乗の数々、本当にありがとうございました。
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