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HOME   »   ラグビー  »  [ラグビーWC2015] 「ザ・ライバル」 イングランドVSウェールズ
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 [グループリーグA組・9月26日]
 ウェールズ28-25イングランド

 ラグビーにおけるイングランドとウェールズの対戦は、「ザ・ライバル」と形容するに相応しいものです。

 ワールドカップにおいて、決勝トーナメントに進出できるかどうかとか、順位争いといった成績も大切なことなのでしょうが、この両チームにとっては「とにかくこの相手にだけは負けられない」という関係なのです。

 その両チームが、今大会のグループリーグにおいて同組・A組に入ってしまったのですから、話は複雑になりました。
 A組には、もう1チーム、優勝候補のオーストラリアが居ます。ひとつの組から2チームしか決勝トーナメントに進出できないのですから、地元イングランドにウェールズ、オーストラリアの3チームの内、1チームはグループリーグ敗退となってしまうのです。

 こうした諸条件が存在しなくとも、「宿命のライバル」として常に激しいゲームを展開している両チームにとって、一層負けられないゲームとなりました。

 会場は、イングランドラグビーの聖地・トゥイッケナムスタジアム。この大会はイングランド開催ですから、イングランド代表チームのホームグラウンドとなったのです。
 いかにウェールズとイングランドが隣接するとはいえ、ゲームはイングランドのホームゲーム→イングランドへの応援が圧倒的に優勢な舞台となったのです。
 ゲーム開始時の気温は16℃、天候は曇り、8万人の大観衆。舞台は整いました。
 
 ゲーム開始直後から、両チームの「蹴り合い」となりました。
 まさに、ラグビー「フットボール」となったのです。

 前半17分過ぎまでに、ウェールズはペナルティーゴールPGを2本、イングランドはPG1本とドロップゴールDG1本を決めて、6-6の同点。
 特に、オーエン・ファレル選手のDGは、イングランドラグビーの伝統を感じさせる好プレーでした。

 そのファレル選手が23分にもPGを決めて、イングランドが9-6とリードしました。

 そして26分、イングランドが左サイドで見事な攻撃を展開してトライを取りました。フルバックFBのマイク・ブラウン選手の突進からのトライでした。ブラウン選手は、このゲームにおけるイングランドの攻撃において、常にキーマンとしての活躍を魅せました。
 そのスピードとパワー、素晴らしいプレーヤーだと思います。

 両チームを通じて初めてのトライ、ゴールも成功して、16-6とイングランドが10点差を付けました。
 このレベルのゲームにおけるトライ・ゴールの意味は大きく、この後ゲームはイングランドペースで進行することとなります。

 前半終了間際の39分過ぎ、ウェールズはPGで3点を返して16-9。
 10点差と7点差(1トライ・1ゴール差)では大きな違いが有りますから、ウェールズチームにとっては意味のあるPGであったと思います。

 前半の戦い振りを観ると、両チームの地力は互角という感じですが、ラインアウトプレーでイングランドが優位でした。
 ウェールズのラインアウトは不安定なもので、この差が得失点差に結び付いていたのでしょう。

 後半開始直後も「蹴り合い」が展開されました。
 後半13分まで、両チームは共にPGを2本ずつ決めて、スコアは22-15と7点差のまま。やはり、イングランドの前半のトライ・ゴールが物を言っていました。

 イングランドチームとしては、この7点差を維持したまま「時間を消化して行けば良い」ゲームとなったのです。

 ところが後半18分、ウェールズのダン・ビガー選手がPGを決めました。
 22-18、ついに両チームの差が4点に縮まりました。

 このゲームの「勝負どころ」がやってきたのです。

 両チームは、次々と選手交代を行いました。フレッシュなプレーヤーを投入することで、「勝負どころ」に備えたのでしょう。
 同じ選手交代でも、ウェールズの方は「主力選手の故障」による交代が3名も発生しましたので、イングランドがやや有利かとも思われました。

 特に、ウェールズにとっては後半20分のスコット・ウィリアムズ選手の故障は大きなマイナス要因であろうと見られました。S.ウィリアムズ選手は、ウェールズオフェンスのキーマンなのです。

 それにしても、「ウェールズのウィリアムズ選手」と聞くと、ウェールズラグビー全盛期のJ.P.R.ウィリアムズ選手やJ.J.ウィリアムズ選手が思い出されます。いつの時代も、ウェールズラグビーにはウィリアムズ選手が居るんだと感慨深く思いましたが、後半27分にアモス選手に代わってL.ウィリアムズ選手が入ってきましたから、「ウィリアムズ」という名前は、ウェールズに多いのかもしれません。

 さて、ゲームに戻ります。

 後半18分にウェールズがPGを決めて22-18と追い上げてから、次の得点をどちらのチームが挙げるのかという、「勝負どころ」の時間帯が続きました。
 一進一退のゲームが続いたのです。

 そして後半28分、イングランドのファレル選手がPGを決め、25-18。再び7点差として、残り時間は10分あまり。イングランドが逃げ切り体勢に入ったかと見えた後半30分、ウェールズがイングランドゴール前に迫ります。

 このゲームで、イングランド陣22メーターラインの内側でなかなか前進できなかったウェールズチームは、パント攻撃。
 このパントをディヴィス選手が見事に掴んでゴールポスト下に飛び込みました。

 ウェールズのトライ。
 ゴールも成功して25-25の同点。

 何と、後半31分でゲームは振り出しに戻ったのです。

 それまで、ゴール前で堅いディフェンスを展開していたイングランドとしては、痛恨のプレーでした。
 一方のウェールズにとっては、起死回生のプレーでした。

 「イングランドの勝利を信じて疑わなかった」そして「優勢にゲームを進めていた」イングランドチームのファンから、大きな悲鳴が上り、トゥイッケナムスタジアムは騒然とした雰囲気となりました。
 まさか、開催国のチームが、ホームで、こともあろうに「宿命のライバル」に、ワールドカップのグループリーグで負けるのか、という不安が8万人の大観衆の間に広がったのです。

 後半34分、ウェールズはペナルティーを得ました。センターライン付近でした。
 ウェールズチームは「ショット」を選択しました。
 このゲームのキッカー、ビガー選手は絶好調、ここまで7本蹴って7本決めていましたから、ビガー選手の右脚に賭けたのでしょう。

 ほぼ中央の位置とはいえ、ほぼ50mのキック。
 ゲームの帰趨を決するキックですから、「極めて難度の高い」ものとなります。
 ダン・ビガー選手は、独特の(神経質そうな慌ただしい)ルーティンから、一転して落ち着いた様子に変わりキック体勢に移ります。

 キックは、ゴールの真ん中に吸い込まれました。見事なショット。
 28-25.ウェールズはついにリードしたのです。

 この極めて厳しい状況で、50mのPGを決めたビガー選手の精神力には感服させられます。このゲームで8本蹴って8本決めて23得点。ビガー選手にとっても、キャリア最高のゲームとなったことでしょう。
 また、ウェールズラグビーにおける「キックプレーの伝統的技術」、あのベネット選手から営々と受け継がれているプレーを魅せていただきました。

 3点を追うイングランドチームは、しかし、全く諦める様子も無く攻め続けます。
 
 後半37分、ウェールズ陣内でペナルティーを獲得しました。
 同点のPGを狙うかと思われましたが、トライを取りに行きました。
 ウェールズゴール前のラインアウト。
 イングランドチームは、キッチリとキャッチして「ドライビングモール」という作戦でした。

 投げ入れられたボールをキャッチし、イングランドがドライビングモールの体勢を構築しようとする寸前に、ウェールズチームのプレーヤーが「組織的に殺到(言葉に矛盾が有りますが)」しました。
 モールを一気に押し返したのです。

 ボールは、そのままサイドラインを割りました。

 「勝利に向けての」ウェールズチームの見事なディフェンスでした。
 
 ドライビングモールは、きちんと組まれてしまえば容易なことでは崩せない、組まれる前に破壊すべし、という「鉄則通りの守備」だったのでしょう。

 その後もイングランドの猛攻は続きましたが、後半39分に痛恨のノックオンが出て、ゲームは決しました。
 28-25、ウェールズが勝ったのです。
 
 本当に素晴らしいゲームでした。
 「ザ・ライバル」の両チームに相応しい激闘であったと思います。

 ウェールズチームとしては、アウェイで、複数の故障者を出しながらの勝利でした。

 これで、全てのスポーツを通じても屈指の「ザ・ライバル」の対戦成績は、127戦して、イングランド58勝、ウェールズ57勝、12引分けとなりました。これだけ戦ってきて、ほぼ互角というのも凄いことでしょう。

 100年以上に渡って、戦い続けているイングランドVSウェールズの、歴史と伝統が如何なく発揮された好ゲームでした。
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