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HOME   »   MLB  »  [MLB] 松井秀喜引退 その2「打撃編」
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 松井秀喜選手は、野手でしたので、プレーの中心は「打撃」と「守備」になります。特に、打撃面の活躍が際立っていました。本稿では、MLB時代の松井選手の打撃面の活躍の中で、私の記憶に残っているシーンを記載します。

① ヤンキースタジアム・デビュー戦
 2003年3月31日のトロント・ブルージェイス戦でMLBデビューを果たし、初打席・初安打・初打点を記録した松井が、本拠地ヤンキースタジアムの初戦を迎えたのは4月8日のミネソタ・ツインズ戦でした。
 この試合で松井選手は、満塁ホームランを放ちます。MLBで通算175本のホームランを記録している松井ですが、私が最も印象に残っているのは、このホームランです。カウント3-2から、相手投手ジョー・メイズが投じた、真ん中から少しインコース気味の変化球でした。松井はこれを払うように打ち、打球は右中間スタンド中段に飛び込みました。滞空時間の長いホームランでした。
 この時のヤンキースタジアムの興奮・歓声は凄まじく、日本から来た強打者への評価を決め兼ねていたであろうヤンキースファンの気持ちを、文字通り一発で掴みました。ヤンキースファンの喜びようは尋常ではないレベルでした。

 松井選手がベンチに帰ってからも歓声は鳴りやまず、松井は少しベンチの前に出て、観客席に向かいヘルメットを取り、歓声に応えました。松井がヘルメットを取った瞬間、歓声は一段と強くなりました。素晴らしいシーンでしたし、日本国内の多少の批判の中でメジャーを目指した、松井選手の挑戦が成功であったことを示した瞬間でもありました。私は、この一発だけでも松井がMLBに挑戦してよかったと感じました。それ位、強烈なインパクトを与えたホームランであったと思います。
 何年プレーしても、記憶に残るプレーをすることは容易なことではありません。あのホームランシーンは、おそらく一生私の記憶に残ることでしょう。

 インコースよりの変化球を払うように打ってホームランにするシーンは、この後も時々観られましたので、このうち方は松井選手の得意な打ち方だったのだろうと思います。この打ち方の特徴は、バットスピードの速さだと思います。球を引き付けるだけ引き付けて、もの凄いスピードでバットをくるりと振るのです。真ん中や、ややアウトコースよりのストレートボールを捉えるときの打ち方とは違って、バットが体の近くを動いている感じで、腕も伸びきってはいない様子です。もともとバットスピードの速さでは定評がある松井選手ですが、この打ち方の時は、スイングの始動から完了までが速過ぎて、よく観えないケースが多く、スローモーションでようやく確認できるという感じでした。

 基本的には「ライナー打者」であった松井選手ですが、この打ち方の時は上手くボールにバックスピンをかけて、運んでいるように思いました。アークが大きくは無いように観えるスイングですが、ボールが良く伸びます。とても上手い打ち方だと思いますし、実は最も得意な打ち方だったのではないかと思っています。

 松井選手は、この年のMLBオールスター戦にファン投票で選出されています。前述のデビュー直後の活躍はありましたが、その後はメジャー特有のムービングボールに苦しみ、あまり成績が上がらなかった状況下での選出でした。もちろん、日本のファンからの大量得票があったことは、松井選手が日本人プレーヤーなのですから当然のこと(このことを批判する論評もありましたが、当たり前のことを批判するのは、批判のための批判に過ぎず、ひねくれた見方です)ですが、日本のファンに強烈な印象と感動を与え、一層の応援を生んだのも、この一本のホームランであったと思います。

② 2007年7月の活躍
 松井選手がMLBプレーヤー時代に最も良い成績を残したのは、2007年の7月でした。この月28試合に出場して、打率.345、13本塁打、28打点、長打率.735、OPS1.145、得点31の驚異的な活躍。恐るべき数字を残し、7月の月間MVPに選ばれました。
 この年の松井のホームラン数は全部で25本でしたので、7月1か月間で過半を放ったことになります。この月は、テレビ放送される試合で必ずホームランを打つ感じで、イメージとしては毎打席長打を放っていました。
 この頃は、ヤンキース同僚で、当時メジャー最高のホームランバッターであったアレックス・ロドリゲスも全盛期を迎えていて、絶好調でしたから、松井とAロッド(アレックス・ロドリゲスの略称)が、競うようにホームランを打っていました。おそらくAロッドも、この7月に14~15本のホームランを打ったと記憶していますが、そのAロッドが、松井がホームランを打つ度に、ベンチの中で呆れたように首を横に振っていたシーンが記憶に残っています。
 この時の松井選手を、リアルタイムに観ることができたのは、私にとってとても幸せなことでした。

③ 2009年ワールドシリーズMVP
 これは、松井選手を語るときに、最大の活躍として取り上げられることが多い記録です。特に、このフィラデルフィア・フィリーズとのワールドシリーズ第6戦の6打点の活躍が素晴らしい。この日仕事であった私は、同僚とオフィス街を歩きながら、次の仕事まで少し時間がありましたので、近隣のスポーツ喫茶に入り画面を見つめました。5回の右中間2塁打の時でした。松井の打球をセンターフィールダーとライトフィールダーが必死に追いかけましたが、その真ん中を割った時には、店内のファンからも大歓声が沸き起こりました。

 このシリーズでの松井選手の活躍は、様々なところで採り上げられ、詳細に報じられていますので、ここでは多くを書きませんが、ポイントはペドロ・マルチネスを打ったことだと考えています。当時(今でも)、MLB屈指の大投手であったペドロ・マルチネスから、松井はこの第6戦の2回に2ランホームランを放っていますが、第2戦にも決勝本塁打を打っています。ストレートも速く、変化球のキレ・コントロールとも抜群のペドロを打ち崩すのは、どんな大打者にとっても容易なことではなかったのですが、松井は相性が良かったこともあるのでしょうか、再三のチャンスでタイムリーを放ちました。
 ペドロ・マルチネスも、松井の打席には、スピードボールで勝負したり、変化球で勝負したり、あるいはそれらをミックスしたりして、毎打席とても工夫して対戦していましたが、どうしても打たれてしまいますので、マウンド上で呆れた様子も観られました。

 フルタイムのDH指名打者として、相手チームのホームグラウンドでは打席に入る回数が激減する(DH制の無いルールなので、代打での出場機会しかない)にもかかわらずMVPを獲得したことは、本当に素晴らしいことです。

 以上、数多ある松井秀喜選手のバッターとしての活躍シーンの中で、私にとって最も印象的であったのは、この3つです。そして②と③は、2006年の手首骨折以降の活躍であったことも、賞賛に値すると思います。

 2009年ワールドシリーズ第6戦、松井選手の活躍でワールドシリーズ制覇が目前となったヤンキースタジアムの沢山のファンから、松井に対して「MVP!MVP!」の大コールが送られました。世界最高のベースボールのゲームにおいて、ファンから送られたこのコールこそ、野球人松井秀喜が受けた最高・最大の勲章であり、日本野球の誇りでもあると考えます。
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