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HOME   »   ラグビー  »  [ラグビーWC2015] 試合巧者の南アフリカが食い下がるも、勝ち切ったニュージーランドが決勝進出
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 [10月24日・準決勝・於トゥイッケナムスタジアム]
 ニュージーランド20-18南アフリカ

 南アフリカチームが6PGで18点を挙げましたが、ニュージーランドチームが2トライを挙げて押し切ったゲームでした。

 現時点の戦力では、正面から挑んではオールブラックスに及ばないと判断したスプリングボックスが、終始巧みな試合運びを魅せて、互角の展開に持ち込んだゲームだったと思います。

 ワールドカップの決勝トーナメントでは、「極めて手堅い」試合運びを見せるオールブラックスの傾向が、このゲームでも出ましたが、勝ちに拘ったマネジメントがこのゲームでは功を奏して勝ち切ったというところでしょう。

 以下、順不同の雑感です。

① 反則を最小限に抑えた南アフリカチーム

 南アフリカチームは、特に前半、特に自陣での反則を最小限に抑え込みました。それは見事なものでした。

 ラグビーの世界では「規律が取れている」と呼ばれる試合振りですが、オールブラックスの再三のアタックに対して、どうしても犯しがちな反則を、前半は全くと言っても良い程犯さなかったというのは、ある意味では驚異的なことでしょう。

 これに対して、ニュージーランドは前半、自陣で反則を数多く犯しました。
 そして、南アフリカのキッカー・ポラード選手は、PKショット4本を悉く決めました。このレベルのゲームでは、PKは「入るか入らないか」というものではなく、「全部決めるか、1本外すか」というものなのでしょう。

 前半は、4PGの南アフリカが12-7とリードして折り返しました。

② 最適な人員配置を図った南アフリカ

 ラグビーのゲームにおいては、プレーヤー・人員というリソースの最適配置が重要ですが、このゲームの南アフリカは見事なマネジメントを魅せました。

 例えば、「ボールを取りに行かないと決めたラックプレー」には1人の選手も参加させませんでした。
 ニュージーランドチームが「2人のプレーヤーで構成」しているラックに対して、南アフリカは1人も行きませんから、残りのプレーヤーの人数は、ニュージーランド13人に対して南アフリカが15人となります。

 南アフリカは、その人員をラックサイドやラインのディフェンスに充当することで、強力なニュージーランド攻撃陣のアタックに備えたのです。

 こうしたシーンが、随所に観られました。見事なマネジメント、フィフティーンへの徹底であったと感じます。

③ ラインアウトで優位に立ったニュージーランド

 このゲームにおいては、南アフリカボールのラインアウトにおいて、ニュージーランドがスティールするプレーが再三見られました。
 南アフリカの受け手の少し投げ手側に位置するニュージーランドのプレーヤーが飛び上がり、ボールを確保・カットするプレーです。

 当然ながら、南アフリカの投げ手が個々のラインアウト毎にどのプレーヤーに投ずるかは、ニュージーランドのプレーヤーには判らないのですから、こうしたスティールプレーは極めて難しい筈なのですが、再三にわたってニュージーランドが成功していました。
 世界最高レベルのゲームにおいては、なかなか観られるものでは無く、不思議でさえありました。
 オールブラックスは、スプリングボックスのラインアウトを研究し尽くしていたのでしょうか。

④ ハイパントとグラバーキックを多用したニュージーランド

 このゲームのオールブラックスは、ハイパント戦法とグラバーキックを多用しました。

 バックスにボールを回したプレーにおいて、相手プレーヤーの裏側にグラバーキックを蹴るのは、五分五分の状況を作り出すために有効な戦法ということで採用したのであろうと思われます。

 一方で、ハイパント戦法は「相手チームにボールを渡してしまう」という意味で、こうしたハイレベルなゲームでは、あまり使われなくなった戦法という感じがしていましたが、このゲームにおいては、「正確な(距離と時間)ハイパント」と「(パントを蹴った位置からの)勇気ある突進と高度なキャッチ技術」から、相当の確率でニュージーランドチームがマイボールにしていました。

 高いレベルであれば、ハイパント戦法も有効というか、エリアマネジメントの点からもとても有効な戦法であることが証明された形です。
 ボールを横に回していく際に、パスして行く過程で、ノックオンやインターセプトのリスクを負うより、ハイパントの方が確率の高い戦法との判断であったかもしれません。

 「絶対負けられないゲーム」におけるオールブラックスの選択であったのでしょう。

⑤ 2トライを挙げたニュージーランド

 このゲームでは、南アフリカはノートライでした。一方でニュージーランドは2トライ。
 戦略の違いも有るのでしょうが、トライを取り切る力という点からは、ニュージーランドチームの方が上回ったということでしょう。

 前に出て、相手陣を破壊し切る力ではニュージーランドが勝ったのです。
 南アフリカとしては、この力で今大会はニュージーランドに分があるとの判断から、PGだけで勝つ戦略を選択したのかもしれません。

⑥ オールブラックスの「守り切るマネジメント」

 後半28分に、南アフリカのパット・ランビー選手(ダニエル・カーター選手との交替)がPGを決めて20-18と追い縋りました。

 このプレーの後、ニュージーランドチームは「この2点差を守り切る」戦略に切り替えたように観えました。
 「手堅い戦法で得点できるチャンス」が来れば、点を取りに行くが、それ以外は「相手に得点をさせない」プレーに切り替えたのです。

 試合時間が10分以上残っている段階での「切り替え」でしたし、2点差はひとつのミスで逆転されてしまう僅差なのですが、さすがにオールブラックス・フィフティーンはキッチリとやり切りました。
 マイボールとなれば、直ぐに相手陣深く蹴り込み、エリアマネジメントを展開したのです。

 試合時間残り4分頃からは、ニュージーランドは相手陣でのプレーを続けました。
 南アフリカという、世界屈指のチームに対して、終始ゴール前に押し込んだ状態でのゲームを継続できるというのは、ニュージーランドチームならではなのかもしれません。

 以上、雑感でした。

 前述のように、ニュージーランドチームは「負けないゲーム」を展開した形です。20-18の2点差ゲーム以上の差が、このゲームの両チームには存在したように感じます。
 「攻め捲ることにより発生するリスクを回避する」という、ワールドカップ・決勝トーナメントにおけるオールブラックスの戦い方が如何なく発揮されたゲームでした。(私などは、無類の攻撃力を誇るオールブラックスなら「点の取り合い」に持ち込んだ方が、より高い確率で勝てそうな気がするのですが)

 この「戦い方」を実践し、しっかりと勝利を捥ぎ取れるということ自体が、今大会のオールブラックスのチーム力の高さを示しているのでしょう。

 史上初の2連覇・史上最多3度目の優勝を目指して、オールブラックス2015の挑戦が続きます。
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