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HOME   »   ラグビー  »  [ラグビーWC2015] 攻め合いを制したオーストラリアが決勝進出
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 [10月25日・準決勝・トゥイッケナムスタジアム]
 オーストラリア29-15アルゼンチン

 凄まじい攻め合いでした。

 試合開始からの10分間、両チームはフルスロットルで攻め合いました。
 走り回り、パスを繋いで、相手ゴールを目指したのです。

 その攻め合いを優位に進めたのは、ワラビーズでした。

 試合開始早々の前半1分、アルゼンチンゴール前でインターセプトからのトライ。ロックのシモンズ選手でした。
 続いて前半9分、アシュリー・クーパー選手がチーム2つ目のトライを挙げました。
 キッカーのフォーリー選手もしっかりとゴールキックを決めました。

 前半10分までにオーストラリアチームは14-3とリードしました。

 「勝敗の帰趨は概ね決まった」と感じました。このレベルのゲームでの「11点差」は大きいのです。
 この後の70分間で、両チームは点を取り合うでしょうが、この11点差が物を言って、オーストラリアチームが勝ち切る可能性が極めて高いと思いました。

 アルゼンチンチームは、その持ち味であるランニングラグビーで試合開始早々にオーストラリアチームを圧倒しようとしたのでしょう。自らの長所を活かしていこうとするのは、世界トップレベルの戦いにおいては大切なことです。

 そして、オーストラリアも受けて立ちました。
 準々決勝のゲームでは、グループリーグ「死の組・A組」を戦ってきた疲れが感じられましたが、このゲームの開始直後、フレッシュな状態では、本来の動きが観られました。
 アルゼンチンに負けないスピードとパワー溢れる攻撃を展開したのです。

 この10分間の両チームの攻め合いは、運動量といい前進するパワーといい、今大会一のぶつかり合いでした。
 ボクシングで言えば、壮絶な打ち合いというところでしょう。

 両チームには「出血するプレーヤー」が続出しました。鼻血を出すものは数知れず、鼻の穴に綿の様なものを詰めています。その他の部位から血を流しているプレーヤーも居ます。
 両チームの数多くのプレーヤーのユニフォームは、血に染まりました。

① ターンオーバーの多発

 この時間帯、両チームのフォワード陣の頑張りから、ターンオーバーの応酬となりました。スピードとパワー溢れる「フィッシングプレー」が続いたのです。

 攻め合いの中で両チームは、「攻撃の継続」に力を尽くしましたから、プレーが長く続きます。なかなか切れないのです。

 結果として、ボールが止まった場面で、味方プレーヤーのフォローが間に合わないことも多く、相手プレーヤーの「ジャッカル」が成功したのです。
 「こんなに飛ばしてスタミナが持つのだろうか」と心配になる程のプレーの応酬でした。

 前半24分、オーストラリアチームの反則から、ニコラス・サンチェス選手のPGが決まり、アルゼンチンチームが14-6と追い上げました。
 今大会ここまでの得点王であるサンチェス選手のキックの安定感は、このゲームでも際立っていました。「外すことなど考えられない」という感じです。

② アシュリー・クーパー選手の3トライ

 ワラビーズは、このゲームで4つのトライを挙げました。
 中でも、14番ウイングのアシュリー・クーパー選手は3トライと気を吐きました。

 前半31分、追い上げられたオーストラリアチームが、クーパー選手のトライで19-6と再びリードしたのです。

 結局のところ、このゲームはトライを挙げたオーストラリアが勝ちました。
 アルゼンチンは、PG5本での15得点に留まったのです。

 素晴らしいスピードを活かした、ランニングラグビーが持ち味であったアルゼンチンチームですが、このゲームではノートライだったことがこのゲームを象徴しています。
 決して、アルゼンチンの攻撃の切れ味が鈍かった訳ではないのですが、オーストラリアの守備が勝ったということでしょう。

③ ワラビーズの守備最終ライン

 ランニングスピードと、巧みなフォーメーションで、一気に相手守備ラインを突破するアルゼンチンの攻撃は、このゲームでも健在で、度々オーストラリアの第一次防衛ラインを突き抜けました。

 これまでのゲームでは、そのままトライに結び付けてきたのです。今大会のアルゼンチンチームの高い得点力の源泉となってきたプレーです。

 ところが、このゲームでは、ワラビーズの「守備最終ライン」が良く機能していました。
 一次防衛ラインを、素晴らしいスピードで突破してくるアルゼンチンのプレーヤーを、22mライン付近で止め続けたのです。見事な守備フォーメーションと、プレーヤーの働きでした。

④ 後半15分からのゲームの膠着

 後半14分に、サンチェス選手が「いつものこと」の様にPGを決めて、22-15とアルゼンチンが追い上げ、7点差に迫ってから、ゲームは膠着状態に入りました。

 試合時間残り25分という、普通なら「まだまだ、これから何が起こるか分からない」という時間帯から、ゲームは突然「得点が入らない」状態に変貌したのです。

 さすがの両チームのプレーヤーにも、疲れが観え(試合開始直後からあれだけ飛ばしたのですから無理も無いところ)、運動量が低下したことが主因であろうとは思いますが、オーストラリアチームの守備力が如何なく発揮される試合展開となりました。

 途中交代で入ってきたアルゼンチンのフレッシュなプレーヤーの前進を、ギリギリのところで止め続けました。今大会NO.1と評されるワラビーズのディフェンスが威力を発揮したのです。

 逆に、後半31分、11番ミッチェル選手の巧みなステップによる大きな前進から、14番クーパー選手の、このゲーム3つ目のトライが生まれ、オーストラリアチームが29-15とリードを広げました。
 2トライ2ゴール差となって、勝敗は決しました。

 この時のミッチェル選手の突進は素晴らしいものでした。
 グラウンドの左サイドから、右サイドに横に走りながら前進するプレーでしたが、疲れの見えるアルゼンチンプレーヤーをひとりまたひとりと交わして、20m以上は前進しました。
 見事な技術とスピードを魅せた、今大会のベストプレー候補でしょう。

 11番と14番という2人のウイングプレーヤーで捥ぎ取ったトライは、ワラビーズ攻撃陣の決定力を如実に示すものでした。

 ゲームは、このまま29-15でオーストラリアが勝利しました。

 残り5分から、アルゼンチンチームはトライを取るために波状攻撃を続けましたが、オーストラリアチームの守備は崩れませんでした。
 オーストラリアの「前に出る守備」のために、アルゼンチンのプレーヤーは得意とする「走りながらのプレー」を行うことが出来ず、止まった状態でパスを受け続けますから、持ち味が活きなかったのです。

 ワラビーズは、前半10分までの攻め合いを制して得た「11点差」を持って、ゲームを終始支配し続けました。
 会心の勝利であったと感じます。

 一方のアルゼンチンチームは、持ち味であるランニングラグビーで初の決勝進出を目指しましたが、プレー毎の最も大事な瞬間の競り合いで僅かに及ばなかったというところでしょう。彼我の差は、とても小さいと思います。

 トゥイッケナムスタジアムを埋め尽くした8万大観衆の7割以上はアルゼンチンチームを応援していました。サッカーのスーパースター、ディエゴ・マラドーナ氏も応援し続けていました。
 しかし、悲願の決勝進出は残念ながらなりませんでした。

 とはいえ、「一瞬のスピードでゲインラインを大きく切って行く」というアルゼンチンラグビーは、観ていてとても面白く楽しいもので、今大会を最も沸かせたチームであったとも思います。
 南半球の強豪チーム、オールブラックス・ワラビーズ・スプリングボックスとの歴年の戦いの中で、編み出されてきた戦法であろうと思いますが、このラグビーを完成させていけば、決勝進出・ワールドカップ制覇も夢では無いでしょう。

 ワラビーズは、12年振り4度目の決勝進出を果たしました。

 11月1日の決勝はオールブラックスとワラビーズの対戦となりましたが、「番狂わせが極めて少ない」ラグビーという競技において、現在実力1・2を争う両チームの決勝進出は、とても順当なものでしょう。

 そして、「手の内を知り尽くしたチーム同士」のハイレベルな決勝戦となることも、間違いないところだと思います。
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