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 今年2012年はオリンピックイヤーでした。7月27日から8月12日にかけて、イギリスのロンドンで、第30回夏季オリンピックが開催されたのです。本「スポーツを考えるKaZ」ブログは、このオリンピック終了後の8月19日から始まりました。本来なら、オリンピック競技は、本ブログのテーマが山盛りだった訳ですが、リアルタイムにオリンピックについて考えるのは、次回の2016年ブラジル・リオデジャネイロ・オリンピックを待つことになります。
 本稿では、2012年ロンドン・オリンピックの競技の中から、女子レスリング競技について振り返ってみたいと思います。

 ロンドン・オリンピックの女子レスリング競技フリースタイルは、従来と同じ48㎏、55㎏、63㎏、72㎏の4つのクラスで争われました。
 そして、48㎏級では小原日登美選手、55㎏級では吉田沙保里選手が、63㎏級では伊調馨選手が、見事に金メダルを獲得しました。今大会の日本代表チーム全体の金メダル獲得数は7個でしたので、その内の3個を女子レスリング競技で獲得したことになります。男子レスリング競技66㎏級の米満達弘選手の金メダルを含めると、レスリングチームは4個の金メダルを獲得したことになります。
 金メダルの過半はレスリング競技で獲得したことになりますので、レスリングは日本の得意競技ということになります。素晴らしい活躍でした。

 48㎏級の小原選手の金メダルは泣けました。旧姓坂本日登美時代から、世界選手権の51㎏級で6回の優勝を誇る名プレーヤーでしたが、オリンピックには51㎏級が無く、オリンピックの55㎏級には、あの吉田沙保里選手が君臨し、一方の48㎏級には、妹の坂本真喜子選手が居たために、姉妹で同じクラスで戦うことを避けたことから、結果としてオリンピック出場には無縁でした。
 妹さんの引退に伴って、48㎏級で競技生活を再開した小原選手は、世界選手権で2回の優勝を積み上げ、31歳となった今オリンピックに初出場したのです。そして、堅実に勝ち上がり決勝に臨みました。決勝の第一ピリオドは、0-4でアゼルバイジャンのスタドニク選手に先取されましたが、その第一ピリオドの終盤、スタドニク選手はリングに正座したまま暫く立ち上がりませんでした。「疲れているな」と思いました。
 小原選手は、続く2つのピリオドを危なげなく連取し、逆転勝ち。見事に金メダルを獲得しました。スタミナも勝負の大事な要素です。23歳のスタドニク選手の様子をキチンと把握しながら、31歳の小原選手がスタミナ勝ちしたのです。
 世界選手権8回の優勝を積み上げながら、ついに手にしたオリンピックの金メダル。小原選手は、人目を憚らず泣いていました。こちらも、もらい泣きをしてしまいました。とても良い試合だったと思います。

 55㎏級の吉田沙保里選手と63㎏級の伊調馨選手は、これはもう盤石の勝利でした。共にオリンピック三連覇の偉業を成し遂げたのです。そして、共に笑顔の金メダルでした。

 競技日程の関係から、最初に三連覇したのは伊調選手でした。左足首を故障していたと聞いていますが、試合ぶりは冷静そのもの。その攻守のバランスの良さと緩急の使い分けは見事。「強い」の一語でした。オリンピックの決勝という、世界最高レベルの試合において、どうしてこんなに鮮やかにタックルが決まるのか、不思議なほどの一方的な試合でした。吉田沙保里選手の陰に隠れている感じですが、負けた姿が記憶にないという点では、伊調選手の方が安定しているとさえ言えると思います。本当に凄い選手です。

 吉田沙保里選手も「負けない試合」を続けました。特に、そのスピードは素晴らしいもので「速い」の一語でした。必殺のタックルを研究されつくしていたために、そのタックルを返されることがあることから、近時は時折苦戦していました。今大会でも、相手選手は、吉田選手のタックルを待っていました。しかし、よく考えてみれば、相手選手は「吉田選手のタックルを待つしかない」ということが、吉田選手の絶対的な強さを示しているのでしょう。共に攻め合えば、吉田選手の方が圧倒的に強いということです。もの凄い選手です。

 この3人の女子選手に共通して観られたのは、コンディションの良さでした。キッチリと調子をピークに持って行っていたと思います。そして、この3人のコーチも共通しています。栄和人コーチです。
 格闘競技で、同一オリンピック大会の3人の金メダリストのコーチが同一人物というのは、珍しいことだと思いますし、正に偉業です。

 栄和人コーチは、鹿児島商工高校から日本体育大学に進み、現在は至学館大学レスリング部監督で、全日本女子レスリングヘッドコーチです。自身も世界選手権フリースタイル62㎏級の銅メダリストでしたが、その真価はコーチに就任してから現出しました。
 全日本のヘッドコーチに就任した2004年以降、日本女子レスリングの栄光のシーンには、必ずと言っていいほど栄コーチの姿がありました。吉田選手が、栄コーチを肩車して運ぶシーンなどは、何か世界大会の名物?のようでした。

 そのコーチングの神髄については、私は知り得る立場にありませんが、前述の3選手の今大会のプレー振りを見る限り、コンディショニング、肉体面・精神面の充実に大きく寄与していたと感じられますし、特に吉田選手の今大会の「構えの美しさ」や重心の安定感に表れているように「基本の徹底と実践」が大きな特徴の様に思います。
 言うは易く行うは難い、基本の徹底ですが、栄和人コーチには、そのノウハウが詰まっているように思いました。賞賛しつくせない程に素晴らしいコーチだと思います。日本の宝でしょう。

 オリンピック決勝に勝利した吉田沙保里選手が観客の大歓声に両手を挙げて応えた後、栄コーチをヘッドロックから投げ飛ばしました。その投げのスピードと美しさには、目を見張るものがあり、レスリングの魅力そのものでしたが、投げられた栄コーチの受け身もなかなか見事でした。
 そして何よりも、選手とコーチのこうした関係が、金メダル獲得の源泉なのだと感じました。


 今年8月19日に書き始めた「スポーツを考える KaZ」ブログは、本編を本年最後の稿にします。お付き合いいただき、本当にありがとうございました。

 更新が遅れたり、書きたかったが書けなかったテーマがいくつもあったことが残念でしたが、何とか2012年を乗り切ることが出来ました。

 明年も、様々なスポーツシーンを採り上げていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。良い新年をお迎えください。

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