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 ラグビーワールドカップ2015・イングランド大会は、ニュージーランドチームの2大会連続3度目の優勝で幕を閉じました。

 決勝戦で宿敵オーストラリアチームを破り、世界一に輝き、ゲーム後の表彰式で金色に輝くワールドカップ=ウェブ・エリスカップを授与されたのは、ニュージーランドチームのキャプテン、リッチー・マコウ選手でした。

 笑顔でカップを受け取ったマコウ選手は、高々と頭上に掲げました。

 前回大会でもニュージーランドチームの主将として出場し、優勝し、カップを掲げたマコウ選手ですから、2大会連続の栄誉であったことになります。
 ラガーマンとして、これ以上は無い「栄光の瞬間」であったことでしょう。

 マコウ選手は、常に「世界最強のチーム」と呼ばれるオールブラックスのキャプテンを2006年から務めています。10年間に渡って、チームを率いてきたのです。
 現在34歳ですから、20歳代の半ばには、既にキャプテンであったことになります。他でもないオールブラックスの正キャプテンに20歳代半ばで指名されるというのは、驚くべき若さといって良いのでしょう。

 加えて、「オールブラックスのキャプテンを10年間」も勤め続けていること自体が、想像を絶することの様に感じられます。
 そのプレー能力は勿論として、キャプテンシーの高さも素晴らしいものなのでしょう。

① 「ハカ」の先頭

 オールブラックスのゲーム前の習慣?として、ウォークライあるいはハカと呼ばれるものがあります。
 ゲーム前に、チーム全体に気合を入れることと、相手チームへの威嚇を狙ったものであろうと思いますが、チーム全員が整列し、大声を上げながら体を動かす・踊ると言っても良いのかもしれません。
 その動きの内容・種類や全体に要する時間は、毎回異なっているように見えます。

 今大会のハカにおいては、「舌を出したり、眼を剥いたり、異様な表情を浮かべる」といった動きはとても少なかったように観えました。

 大きく口を開けて、長い舌をべろりと出すといった動作は、相手チームに対して失礼といった配慮が働いたのかもしれません。
 結果として、今大会のオールブラックスのハカの大部分は、力強く腕や脚を動かす形となりましたから、一層オールブラックスの力強さ・破壊力が感じられるものとなりました。

 その伝統のハカの先頭には、常にリッチー・マコウ主将が居ました。
 黒ずくめの軍団の先頭で、ハカをリードします。

 そのマコウ選手の動きや表情・雰囲気は、ゲーム毎に微妙に異なるものであったと感じました。準決勝の南アフリカ戦や決勝のオーストラリア戦のハカにおいては、緊迫感溢れるものであったと思います。

 「そのゲームの重さ」を主将がチームメイトに示していたように観えました。

 チーム全体を「戦う集団」にしていくために、キャプテンが必要なシグナルをチームメイトに送っていたのでしょうか。

 気合を入れ、気持ちを高揚させ、「絶対に負けない」という空気を創り上げ、オールブラックスの強さをスタジアム全体に誇示する一方で、必要以上の緊張感や固さを生まない様に、細心の注意を払ってハカをリードしていたように観えたのです。

 世界一を争うレベルのチームのキャプテンに求められるスキルは、想像以上に高く・繊細なものであることは間違ありません。私などには到底分からない、とても多くのことを成すことが期待されているのでしょう。

 マコウ主将が、ハカにおいても「キャプテンとしての10年間のキャリア」を存分に示していたと観るのは、穿ち過ぎでしょうか。
 
② 密集戦での強さ

 今大会のマコウ選手は、背番号7番・オープンサイドのフランカーでした。
 以前はNO.8でプレーすることもあったのですが、近年はフランカーとしてのプレーが多くなっています。

 いずれにしても、ゲームにおける「ボールの取り合い」の主役となる「フォワードFW第3列」です。
 今大会でも、マコウ選手はその能力を如何なく発揮していました。

 相手ボールを奪うプレー、フィッシングと呼ばれたりジャッカルと呼ばれたりしますが、これは「ラグビー競技の最も本質的なプレー」のひとつです。
 攻撃と守備を交互に行うルールの競技とは異なり、ラグビーにおいては相手チームがボールを保持している間は、何時まで経っても自軍の攻撃にはなりません。

 相手チームが、トライやペナルティーゴールを奪い、得点を挙げた時後には、攻撃機会を得やすい形でボールが自陣に蹴り込まれますけれども、これとてしっかりとキャッチ・確保しなければ、走り込んでくる相手チームのプレーヤーにボールを奪われる可能性があるのです。

 攻撃と守備が明確に交互に行われるベースボールといった競技とは異なるものですし、サッカー競技とは同様の形式です。

 つまり、ラグビーは常に「ボールを取り合うスポーツ」なのです。(当たり前のことを書き恐縮です)

 ボールが自軍のものになる形も様々です。

 相手チームがフィールド内にボールを蹴ってくれて、自軍プレーヤーがキャッチした時や、相手チームが外にボールを蹴り出してくれた時(ペナルティーキックの時以外)には、自軍のラインアウトプレーになりますし、相手チームがノックオン等の反則を犯した時にも自軍のボールになります。

 しかし、そういった機会を待っているだけでは「自軍のボール保持率」は上がらず、攻撃機会が増えず、得点機会もなかなか生まれませんから、プレーヤーは「常に相手ボールを奪うチャンスを狙い続ける」ことが必要となるのです。

 リッチー・マコウ選手は、「相手からボールを奪う」という能力において秀でています。世界最高のプレーヤーのひとりでしょう。

 その「奪い方」にも特徴が有ります。

 フィッシングプレーにおいて最も多く観られるのは、「ラックプレーにおいて立ったまま相手ボールを奪う」プレーだと思います。
 ラックになり相手プレーヤーがボールをリリースした時に、素早く当該地点に駆け付けてボールを奪う形です。
 ボールが存在する地点に「いかに早く駆け付けるか」そして、正しい方向からラックに入り、立ったままで前屈みになってボールを奪うのです。

 このプレーが上手い選手も居ますし、マコウ選手も当然ながらこのプレーを行い続けますが、マコウ選手がこうした形でボールを奪っている姿を観ることは、そう多くは有りません。

 マコウ選手は、「ボールを保持している相手プレーヤーに密着しボールを奪うプレー」が、とても上手いのです。
 「密集が生まれ」両チームのFWが殺到します。テレビ画面からは見え難い密集の中で、壮絶なボールの奪い合いが展開されます。

 基本的には「腕力が強い」方がボールを奪い易いのでしょう。
 何しろ、相手プレーヤーが抱えているボールを「捥ぎ取る」のですから、相当強い腕力無くしては成功できそうもありません。

 しかし、マコウ選手のプレー振りを拝見すると、どうも腕力だけでは無さそうです。

 マコウ選手も、身長188cm・体重106kgと伝えられている大男ですし、筋骨隆々のプレーヤーですから、相当の腕力を有しているとは思われますが、このマコウ選手の体格は、大男揃いのFW、ましてやワールドカップの舞台では決して大きな方では無く、どちらかといえば「小柄な部類」に入るようにさえ観えます。

 そうなると、マコウ選手の「ボール奪取テクニック」(私には「マジック」のように感じられます)は、腕力だけではないということになります。
 密集戦における体の各部分の使い方・スピード、力を入れるタイミング(相手プレーヤーの力を削ぎ、自らの力を増大させる、梃の様な体の使い方?)などに「絶妙のものが有る」に違いありません。そして、そのテクニックは、容易に真似することが出来るものでは無いのでしょう。

 そうでなければ、世界最高レベルの舞台で、際立った「ボール奪取の連続」を実現できる筈は無いのですから。

 いつも書くことで恐縮ですが、「本当に大事な情報はいつも不足している」のです。

③ ボール有る所マコウ在り

 マコウ選手に②のような高度なテクニックが存在するとしても、ボールへの接触機会が多くなければ、ボール奪取の増加に結び付かないことは明白です。

 「ボール争奪戦参加回数を増やすこと」が大切なのです。

 この点についても、マコウ選手の能力は驚異的だと思います。「ボール有る所マコウ在り」という感じがします。
 「極めて高いレベルの予測力」を保持していなければ、ボール所在地の未来予測はできない筈ですから、マコウ選手にはその能力が備わっていることになります。

 「さっきあそこでプレーしていたのに、もうここに居る」、マコウ選手のプレーを観ていると、ゲーム中何度もこうした驚きを感じます。
 大袈裟に言えば「マコウ選手が2人居るのではないか」という感覚です。

 この神出鬼没・八面六臂の働きこそが、マコウ選手をして世界最高のプレーヤーのひとりと呼ばせしめ、オールブラックスのキャプテンを10年間に渡って務めさせている、原動力なのでしょう。

 この能力はひょっとするとトレーニングではなかなか向上させることが出来ない、天賦の才なのかもしれません。
 
 リッチー・マコウ選手は、ワールドカップ史上初の連覇を果たしたチームの2大会連続のキャプテンでした。

 こうしたプレーヤーは、これまで存在しませんでした。
 今後再び現れるかどうかも、定かではありません。難しいという気もします。

 こうしたプレーヤーをリアルタイムに観ることが出来た幸せを感じます。

 そして、さすがに次回2019年日本大会においては、38歳となるマコウ選手のプレーを観ることは難しいのではないかとも感じます。

 「オールブラックスのリッチー・マコウ」、ラグビー史上に燦然と輝く巨星です。
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ラグビーWC2015・NZマコウ主将の見事な活躍  
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