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HOME   »   ラグビー  »  [ラグビー] 日本選手権大会は社会人チームが優位だったのか?
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 現在は毎年1~2月にトーナメント形式で行われる、ラグビー日本選手権大会(日本ラグビーフットボール選手権大会)は、1996年度の大会までは社会人代表チームと大学代表チームのワンマッチゲームでした。
 それが、1997年度の大会から参加チームを増やし、2008年度以降は10チームによるトーナメント形式の大会となっています。

 ワンマッチゲームから、多数のチームによるトーナメント形式に変更になった理由は、社会人チームと大学チームのレベル差が拡大し、社会人チームの方が圧倒的に優位になったので、真の日本一を決める大会が社会人1チームと大学1チームのワンマッチゲームというのでは実体を伴わない、といった意見が多くなったためと認識しています。
 社会人の2位・3位や他のチームの方が、大学1位のチームより強いという自負から、こうした意見が出てきたのだろうと思いますが、本稿は、この点を考えてみたいと思います。

 日本選手権大会(以下日本選手権)は、前身のNHK杯に続いて1963年度から始まりました。第一回大会は、実は4チーム(社会人2チーム、学生2チーム)で開催され同志社大学が優勝していますが、本稿の趣旨とは合わないので、ここでは1964年度の第二回大会から、1996年度の第34回大会までの33度の大会(ワンマッチシステムの時代)を対象とします。

 この33度の大会の内、大学チームの優勝が7回、社会人チームの優勝が26回となっています。これだけを見れば、確かに社会人優位です。
 ここで、社会人チーム優勝26回の内訳を見てみます。最も優勝回数が多いのは新日鉄釜石チームの8回(1978年度から1984年度は7連覇)、次に多いのが神戸製鋼所チームの7回(1988年度から1994年度の7連覇)です。この2チームで15回優勝しています。どちらのチームも素晴らしいチームでした。

 この日本ラグビー史上に残る好チーム2つの優勝回数15を、社会人の優勝回数26から引くと、この2チーム以外の社会人チームの優勝回数は、計11回になります。大学チームの7回と大差ない回数です。

 当時の新日鉄釜石と神戸製鋼所は「大学チームに対して圧倒的に強いチーム」でしたが「他の社会人チームに対しても圧倒的に強いチーム」でした。我が国で圧倒的にNO.1のチームだったのです。

 私は、社会人チームと大学チームの力量比較に、この2チームの成績を加えないという考え方があっても良いように思います。新日鉄釜石と神戸製鋼所が優勝した計15回の大会は「この2チーム対他の全てのチーム」という構図だったのであって、社会人チーム対大学チームという構図ではなかったと思います。

 この考え方に則れば、ワンマッチシステム時代の日本選手権は、社会人11勝対大学7勝という、拮抗した成績となっていて、とても面白いゲームが展開されたといってよいのではないでしょうか。

 もちろん、この考え方に異論があることは承知しています。
 加えて、この2チーム以外の社会人チームも、地力の面では大学チームに勝っていたことも十分に認識しています。年齢的に見ても、体力面・戦術の熟練度において、社会人になってからの方が向上することは明らかだからです。
 しかし、ワンマッチシステムの下では、社会人チームの出来が悪かったり、過度に緊張していて思わぬミスをしたり、大学チーム側が乾坤一擲の戦術を用意していたりして、地力に勝る社会人チームが、大学チームに足元を掬われるゲームがあったのです。

 例えば、1985年度の慶応大学とトヨタ自動車のゲームは、試合開始まもなくのトヨタゴール前のスクラムで、トヨタがコラプシングの反則を取られました。フォワードFW戦では圧倒的にトヨタ優位という試合前の予想でしたが、これでトヨタのFWは押せなくなりました。最大の武器を封印したトヨタと慶応は、この後互角の戦いを展開し、慶応が18-13で勝利しました。

 こうして見ると、ワンマッチシステム時代の日本選手権は、日本一を決める大会というよりは、社会人代表チームに大学代表チームが挑戦する試合だったのだろうと思います。実力日本一は、社会人リーグ1位のチームだったのでしょう。しかし、試合結果は必ずしもそうはなりませんでした。そういう意味で、とても面白いゲームでした。

 1997年度からは、日本選手権に複数の社会人チームが登場するようになり、社会人チーム・社会人プレーヤーは「無用の緊張感から解放された」ために、社会人チームが圧倒的に強い大会になりました。
 この年度から、日本選手権は「1996年までとは違う大会」になったのです。サッカーの天皇杯のような、カップ戦(リーグ戦以外で、日本一を争う大会)になったのだろうと思います。

 さらに、21世紀に入ると、社会人チームにニュージーランドや欧州各国のナショナルチームに所属する・していたプレーヤーが、数多く加わるようになりました。
 そして、2019年のワールドカップ日本大会開催が決まった後は、日本代表チーム強化のために、今年も先のワールドカップで活躍した世界のトッププレーヤーが相当数トップリーグ各チームに参加しています。

 こうなってしまっては、高校ラグビーや大学ラグビーを経て社会人チームで活躍する先輩と、学生の後輩が対決するという色合いも薄れました。
 日本選手権を1996年度以前のワンマッチシステムに戻したとしても、社会人チームが圧倒するゲームばかりになることは明らかです。日本選手権のワンマッチシステムは過去の遺物となりました。

 あの時代は、正月元旦にサッカー天皇杯決勝を観て、2日午後はラグビー大学選手権・準決勝2試合を観て、8日頃にラグビー大学選手権決勝を観て、15日頃にラグビー日本選手権を観るという、年始のスポーツ観戦スケジュールが確立?されていました。
 私も、ラグビー日本選手権決勝は何度も国立競技場に足を運びました。好天に恵まれる試合が多かったと思います。

 大学代表チームが早稲田や明治だったときは超満員、他の大学であっても8割方は埋まっている大観衆。現在と違って、冬になると枯れてしまう種類の芝でしたから、黄色くなった国立競技場のグラウンドに大歓声が響き渡りました。

 記憶に残る試合も多いのですが、ベストシーンを選ぶとしたら、1987年度の東芝府中と早稲田大学の試合。早稲田がリードして迎えた前半終了間際の、東芝府中石川選手の突進です。石川選手は味方メンバーにボールの所在を示し、早稲田陣左サイドに突進しました。東芝府中の他のメンバーのフォローも凄まじく、一気に30m以上は押し込んだと思いますが、この突進は本当に迫力満点で鳥肌が立ちました。東芝府中は、このプレーで前半をリードして折り返しました。

 この試合は、後半早稲田大学が逆転し、優勝しました。FW第一列の長田選手・森島選手・屯所選手の健闘が目立ったゲームでした。そして、日本選手権で大学チームが優勝した最後のゲームとなりました。

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