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HOME   »   大相撲  »  [大相撲2015・11月場所] 第40代・式守伊之助 3日間の出場停止
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 11月場所7日目の白鵬と隠岐の海の取組で「差し違え」てしまった、立行司・式守伊之助が、8日目以降の3日間の出場停止処分を受けたと報じられました。

 式守伊之助は、3日目の日馬富士・碧山戦でも刺し違えており,今場所2度目の差し違えとなり、先9月場所・10日目の鶴竜・妙義龍戦も含めて、2場所で3度目の差し違えとなった形です。

 立行司は常に懐剣しています。「差し違えれば切腹」という意味だとも言われています。
 立行司の責任の重さを感じさせるものです。

① 年功序列

 大相撲の一翼を担う「行司職」の昇進は、原則として「年功序列」だと言われています。
 「伝統ある行司名」で表される、それぞれの地位に昇進して行くためには、それぞれ一定の経験を積み上げて行かなければならないのです。

 先場所も含めて、行司の最高位・木村庄之助は現在空位となっています。

 おそらく、第40代・式守伊之助は、年功序列ルールの中でまだ木村庄之助に昇進する条件をクリアしていないのでしょう。それが、年齢なのか式守伊之助としての経験年数なのかは、分かりませんけれども。

 連綿として続く歴史の中で、当然ながら「本来なら現在木村庄之助となっているべき行司」が存在していたはずなのですが、体調やスキルといった面から、この世代が脱落したということなのかもしれません。

② レフェリーとしてのスキル

 行司には、多くのスキルが求められます。

 第一には、大相撲に関する「様々な有職故実」に関する知識と実践力でしょう。何場所に一度しか現れないような事象に対する対応力も含めて、相当多岐に渡ると思われます。

 第二には、「主審」としての審判員・レフェリーとしてのスキルでしょう。
 激しく凄き回る両力士の動きに合わせて、自らのポジションを変えていく、動きのスピードと予知能力、力士の超速の動きを見極め判定を下すための「動体視力」、素早い判断力等々、行司は身体能力を維持し、磨き上げて行かなければならないのでしょう。

 この「身体能力維持・向上」を、①の「年功序列制度」の元で実現して行かなければならないところが、難しいのでしょう。
 加齢による能力低下、視力低下といった現象をカバーして行かなければならないのです。大変なことだと感じます。

③ 行司と審判員の関係

 前項で、行司を「主審」と表記しましたが、実際の取組においては違うことは、皆さんご承知の通りです。

 土俵の周りには、5人の親方で組織された「審判団」が存在しています。
 この審判団が、行司の判定に同意すればそのまま勝敗が決し、違うと判断したり疑義を感じた時には、手を挙げて「物言い」となります。

 ひとり、あるいは複数の審判員(あるいは土俵際に待機している力士)から「物言い」が表明されると、審判団は土俵に上がり、「行事と共に」協議を行います。現在では、ビデオ判定も加味されています。

 協議後、審判長から協議内容・勝敗の説明が行われる形です。

 従って、行司には「勝敗の最終結果を決定する権利」はありません。
 その点からは、主審では無いということになります。とても難しい立場なのです。

 こうした諸点を考えて行くと、気になることがいくつかあります。

 第一には、審判としてのスキルのピークと、職位のピークが重なり難いという点です。
 様々な有職故実の知識具備と、審判員としての運動能力・動体視力等の能力のバランスを考慮すれば、最も行事としての総合スキルが高くなるのは「40歳代の後半」ではないかと思います。

 一方で、立行司といった「横綱・大関」の取組を裁く職位には、50歳代の後半あるいは60歳台にならないと就けないという点が、大袈裟に言えば矛盾しています。

 体も眼も判断のスピードも衰えて来る年齢にならないと、終盤の取組の行司は行えないのです。
 結果として、取組の後半になると、行司が力士とぶつかり行司が転倒し、時には行司が脳震盪を発症するという事態が起こってしまうのです。力士のスピードに、行司が付いて行けないということになるのです。

 第二には、権限と責任のバランスです。
 前述のように、行司には「勝敗決定の最終権限」はありません。
 一方で、差し違えに対しては、重い責任を問われます。今回も、3日間の出場停止になりました。
 
 「年功序列制度」の為なのか、木村庄之助が空位であり立行司がひとりしか居ない今場所、式守伊之助が出場停止となったことから、「紫色を配した行司」が3日間見られないという事態となったのです。

 形式を重んずる大相撲としては、異例の事態と言って良いでしょう。
 大相撲を神事と見る人達からは、あってはならない状態との意見も出そうです。

 立行司には「差し違えれば切腹」という責任が負わされているにもかかわらず、「勝負判定の最終権限は無い」というのは、今後良く検討して行かなければなないアンバランスであるように感じます。

 加えて、過去の「四つ相撲主体の相撲」ではなく、現代の「スピード相撲主体の取り口」が多い状況下では、相当の運動能力・動体視力が行司に求められます。

 「年功序列制度」についても、再検討が必要という意見も出てきそうです。

 この点については、行司制度のリスク管理の観点からも見直しが必要なのかもしれません。
 差し違えに伴う出場停止のみならず、立行司が土俵に上がることが出来なくなる事態はいくつか存在するでしょう。ご本人の病気・体調不良・事故遭遇等々です。
 リスク管理の点からは、「立行司は常時2名体制」が良いのかもしれません。

 横綱の土俵入りのシーンで、土俵入りを行う横綱の後ろで、軍配の「紫色の房」をくるくると回すシーンは、大相撲の大切な絵のひとつでしょう。
 11月場所の3日間は、紫色では無く朱色の房のみが回ることとなりました。横綱土俵入りの太刀持ちに使用する布は紫色で、合っていません。

 そんな細かいことは気にしないというのでは、大相撲全体の儀礼・儀式を否定することになってしまい、本末転倒になってしまいそうです。
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大相撲2015年11月場所・立行司の居ない3日間  
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