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HOME   »   駅伝・マラソン  »  [箱根駅伝] 中央大学チームに何が起きたのか?
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 2013年1月2日と3日に行われた、第89回東京箱根間往復大学駅伝競走は、日本体育大学が30年振り10回目の総合優勝を果たしました。予選会1位から本戦に出場し、2日の往路の5区服部選手の快走でトップに立ち、復路も各ランナーが安定した走りを展開して、2位の東洋大学の姿をほとんど見ることもなく、圧勝しました。日本体育大学の関係者の皆さん、本当におめでとうございます。

 2位の東洋大学、3位駒澤大学、4位帝京大学、5位早稲田大学、6位順天堂大学、7位明治大学、8位青山学院大学、9位法政大学、10位中央学院大学の各校がシード権を獲得しました。これだけ注目されるようになった箱根駅伝で、10位以内に入るというのは大変なことです。好成績、おめでとうございました。

 さて、今大会最も気になったことは、中央大学チームの途中棄権でした。
 本ブログにも書きましたが、中央大学は箱根駅伝NO.1の名門校です。出場回数は87回、89回の大会の内87回に出ているというのは、もの凄いことです。連続出場84回、優勝14回も、史上最高です。そして、近時も28回連続でシード権を確保するという「偉業」を続けていました。本ブログでも「中央大学チームには箱根駅伝に関するノウハウが蓄積されている」旨、記載しました。

 その中央大学駅伝チームが、史上初めて途中棄権したのです。どんな競技でも、どんなプレーヤーでも、不調の時があるとはいえ、87回のレースで1回も棄権したことが無かったチームが、棄権してしまったということは、何かが従来の中央大学チームとは異なっていたということです。

 確かに、今大会の往路は、強風に見舞われました。強風というより、暴風に近い、10mを遥かに超える風が、ランナーを悩ませました。テレビ画面を見ていても、各ランナーが前屈みになり、ようやく歩を進めている状態が、何度も映し出されていました。特に、山登りの5区の最高点874m地点前後の風は強く、元気なランナーでなければクリアしていくのが困難な様子でした。
 こうした中で、中央大学と城西大学のランナーが前に進むことができなくなり、棄権したのです。中央大学の5区野脇選手は、山の上り下りは何とか走破しましたが、芦ノ湖畔のゴールまで1.7㎞のところで力尽きたと報道されています。

 こうしてみると、中央大学野脇選手の棄権も「滅多に見られない箱根の強風」による止むを得ないものかもしれませんが、中央大学が出場した87回の大会の中では、今回の強風と同じ程度の自然の脅威(降雪や低温等)が存在したと思いますし、それらの障害を何とかクリアしてきた中央大学が、今回の障害はクリアできなかったのには、やはり相応の理由があるように考えます。

 箱根駅伝においては常に安定した成績を残してきた中央大学チームですが、今大会の往路では、スタート直後から不安定な様子が観られました。
 1区大須田選手こそ区間9位の成績でしたが、エース区間2区の新庄選手は20チーム中20位とブレーキとなりました。この新庄選手の戸塚中継点手前の失速は、テレビでも放送されました。脱水症状の様子で倒れる寸前、歩くように襷を繋ぎました。箱根駅伝では時々見られる光景ではありますが、中央大学チームでは見たことが無いシーンでした。
 そして、3区のランナーが区間12位、4区のランナーが14位、チームとしては通算18位で山登りに臨み、その5区で棄権という結果です。

 これは明らかにコンディショニングの失敗でしょう。不思議なのは、箱根駅伝における中央大学チームの最大のノウハウが、このコンディショニングであったことは、過去の成績からも明らかなのですが、その中大がコンディショニングに失敗したことです。いったい何があったのでしょうか。
 こうした大会のコンディショニングにおいては、特に直前の2週間の調整が大切だと思います。そして、この直前2週間の調整方法における中央大学チームのノウハウは、他校の追随を許さない、絶対的なものであったと思うのです。

 私は温泉好きで、年末に休みが取れると近隣の温泉地に出かけて行きます。数年前には、千葉の白子海岸に出かけました。確か12月の29日から30日にかけて一泊したと思います。その宿の関係者の方と、ロビーで話をする機会がありました。
 前日まで、箱根駅伝に参加する大学が合宿していたとのこと。その練習もすごいが、食事もすごいとのことでした。食事のメニューは、全て大学チーム側からの指示によるのだそうです。そして、何より驚いたのが「肉類」は一切食べないという点でした。これから、20㎞以上の距離を競走しようとするランナー達が、一切肉類を食べないというのです。

 確かに、ラグビーチームの合宿の練習は食事前に行う(食事をしてから練習すると吐いてしまう)と聞いていましたし、激しいスポーツに臨む際には、食事には細心の注意を払うものだとは思っていましたが、レースの1週間前になっても重要なタンパク源である肉類を一切取らないというのは、とても驚きました。
 もちろんメニューの詳細な内容については知る由もありませんでしたが、有名駅伝チームの出身者である当該大学の監督・コーチが指示したメニューなのですから、肉類を摂取しないというのは、駅伝を行う選手やコーチ陣にとっては「当然のこと」なのだろうと思いました。ひとりひとりのランナー毎に、相応に異なる対応が行われているであろうことも想像に難くありません。

 今回の中央大学チームのコンディショニングの失敗の原因は、残念ながら私には判りません。しかし、前述のような細心の注意を払った上での、僅かなミスの結果であろうことは間違いないと思います。
 それにしても、監督・コーチのみならず、沢山のOBが掛かり切りで現役選手の体調管理、調子をピークに持っていくことに全力を傾注してきた、そして他大学に勝る豊富なノウハウを蓄積してきた中央大学チームにおいて、そうしたミスが起こったことは、やはり不思議なことだと思わずにはいられません。

 復路の中央大学チームは、往路に比べればまずまずの走りでした。もちろん往路とは異なり、勝敗や順位と関係がない、参考記録としての参加という、気楽な?状況での走りということを考慮する必要はありますが、たった1日で、これだけ結果が異なるというのも、駅伝という競技の難しさを示しているように思います。ひょっとすると、大学駅伝屈指の名門校である中央大学のことですから、往路担当と復路担当のコーチ陣が異なるのかもしれません。

 この中央大学チーム程ではありませんでしたが、復路9区、10区の明治大学チームにも、同じようなコンディショニングの失敗と思われる事象が発生しました。9区の松井選手は、10区への中継点手前で歩くのがやっとというような状態になり、10区の北選手も大手町のゴール前では「よくゴールできた」という状態でした。2人のランナー共に、自らの実力を発揮することなくレースを終えたのです。
 往路では安定したレースを展開していたように見えた明治大学チームが、最後の2人のランナーのコンディショニングは、やはり上手くいかなかったということでしょうか。

 第89回箱根駅伝も、素晴らしいレースを魅せてくれました。「あの暴風の箱根駅伝」と、後世まで語り継がれるレースであったと思います。
 一方で、2つのチームが棄権したことは、本当に残念なことでした。駅伝という競技のコンディショニングの難しさを観ることもできました。

 それにしても、駅伝素人の私から観ると、長距離ランナーには、筋力アップ、持久力アップの観点から、豊富なタンパク質を継続して摂取してもらいたいものだと思います。
 加えて、食事を含めた様々な点で、既存のやり方に拘らず、世界中のノウハウを取り入れて、新しい調整法を模索していってほしいものだと考えています。

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第89回箱根駅伝   中央大学棄権  
Comment
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ピークは細胞寿命と連関?
アスリートが試合にピークを合わせる技術の内容が良く理解出来ませんが、筋繊維を形造る細胞の寿命と連関するのでしょうか?
強いトレーニングを実施した後に再生される筋繊維の能力が何時最大になるのかが問題なんでしょうね。
代謝サイクルは年齢、環境で変動するでしょうから、タイミングを合わせるのは考えるだに難しそうですね。

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コメントありがとうございます。
私にも詳細は解りませんが、
①個々のアスリートが、各々の競技キャリアの中で、好調であった時期のトレーニング・休養方法などをベースにコンディショニングを調整すること。
②コーチが、個々のアスリートの適性を観ながら、トレーニングを指示すること。
により、調整される面が大きいように思います。
その際に、ピークを示現することと、地力を上げていくことのバランスの間で、僅かな調整ミスが生じて、ピークアウトしてしまうことがあるようです。いずれにしても、ピーク状態を長く維持することは、どの競技においても難しいようです。

本年も、コメントよろしくお願いいたします。

> アスリートが試合にピークを合わせる技術の内容が良く理解出来ませんが、筋繊維を形造る細胞の寿命と連関するのでしょうか?
> 強いトレーニングを実施した後に再生される筋繊維の能力が何時最大になるのかが問題なんでしょうね。
> 代謝サイクルは年齢、環境で変動するでしょうから、タイミングを合わせるのは考えるだに難しそうですね。

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