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HOME   »   競馬  »  [競馬コラム158] 「京都3歳ステークス」を制した名牝 ミスオンワード号
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 阪神ジュベナイルフィリーズJFは、最強2歳牝馬を決めるレースです。
 東西の強豪2歳牝馬が集い、阪神競馬場で戦います。

 この阪神JFの前身であったレースが「阪神3歳ステークス」です。
 まだ、「競走馬の東西交流」というか「東西移動・サラブレッドの移送」が現在の様に容易では無かった時代、中央競馬は主に東西別に開催され、大レースにおいて東西対決が見られる形でした。
 この頃の2歳馬(当時の3歳馬)の大レースは、東は朝日杯3歳ステークス、西は阪神3歳ステークスであり、牡馬牝馬の区別無く、東西それぞれの地域の最強馬を決めるレース体系だったのです。

 この体系が変更されたのは1991年。
 阪神3歳ステークスは、牝馬限定の「阪神3歳牝馬ステークス」となりました。3歳牝馬の日本一を決めるレースとなったのです。
 そして2001年に、馬齢表記が「数え年」から「満年齢」に変更(国際基準に合わせたもの)されたのを契機に、現在のレース名・阪神ジュベナイルフィリーズへと変更されました。

 「阪神2歳牝馬ステークス」でも良かった、というか、私などは歴史と伝統を感じさせる「阪神○歳ステークス」の方が良いのではないかと、当時感じた覚えがあります。

 さて、1949年・昭和24年に創設された阪神3歳ステークスは、その名に「阪神」を冠していますから、創設当初から阪神競馬場を舞台として現在に至っています。阪神競馬場で幾多の名馬が覇を競ってきたのです。

 その66回に及ぶ長い歴史の中で、二度だけ、このレースが京都競馬場で開催されたことが有ります。1956年と1980年です。阪神競馬場の改修工事に伴うものです。

 その1956年・昭和31年の第8回レースは、「京都3歳ステークス」と名付けられました。
 その後「京都3歳ステークス」の名前は使用されたことが有りませんから、唯一無二のレースとなりました。
 そして、この「京都3歳ステークス」を制したのが、ミスオンワードでした。今から60年ほど前の話です。

 ミスオンワードは「無敗の二冠馬」となりました。桜花賞とオークスを無敗で制したのです。

 新馬戦から3戦3勝で臨んだ京都3歳ステークスも快勝しました。
 当時は1200m戦(第1回から12回まで)でした。5頭立てとなったレースで一番人気であったミスオンワードは、2着のトップランに1/2馬身差で優勝したのです。

 3歳となって、オープン競走をステップレースとして臨んだ桜花賞も1番人気でした。
 そして、2着のヒシチヨに1・3/4馬身差で勝ちました。

 再びオープン競走を叩いて臨んだ優駿牝馬(オークス)でも、2着のヨドザサクラに1・1/4馬身差で快勝しました。
 デビュー以来8戦8勝の二冠馬の誕生でした。

 「3歳牝馬に敵無し」を証明したミスオンワードに、牡馬への挑戦の話が持ち上がったのは、ある意味では自然なことなのでしょう。
 戦前・戦中のクレオパトラトマスやクリフジといった名牝と同じように、牡馬との力比べに期待が集まったのです。

 そしてミスオンワードは、勇躍東京優駿(日本ダービー)への出走を決めました。
 連闘というハードスケジュールが懸念されましたが、挑戦を決めたのです。

 とはいえ、さすがにこれは荷が重すぎました。いくらなんでも、優駿牝馬と東京優駿の連闘はきつかったのでしょう。
 3番人気に支持されたものの、優勝したヒカルメイジの17着に敗れました。

 しかし、日本ダービーで初めて敗れたミスオンワード陣営は、牡馬への挑戦を諦めませんでした。
 秋の菊花賞を目指したのです。

 現在に比べて、重賞レース・大レースがとても少なかった時代、エリザベス女王杯も秋華賞も無かった時代ですから、桜花賞・オークスの二冠馬が目指すレースは菊花賞しかなかったのでしょう。

 秋緒戦のオープン競走で3着だったミスオンワードは、ステップレースであった重賞・神戸杯(現、神戸新聞杯)で牡馬を相手に大接戦(2着ライジングウイナー、3着ハタリユウ、4着ヨドノカゼとハナ・ハナ・クビ差)を制して優勝し、菊花賞に駒を進めました。
 1番人気でした。

 しかし、菊花賞は不良馬場にも祟られたのでしょうか、ラプソデーの10着と敗れました。

 このレースでは、3着に牝馬のヨドサクラが入着しています。
 春は常に先着していたヨドサクラが3着に食い込んでいたのですから、馬場にさえ恵まれていれば、ミスオンワードにも好成績が期待できたのではないかと思います。

 残念ながら、日本ダービー・菊花賞では好成績を収めることが出来なかったミスオンワードでしたが、4歳になっても牡馬との戦いを続けました。
 1958年・昭和33年の目黒記念(秋)では、マサタカラ、オンワードゼアといった牡馬一線級を相手に優勝しています。大レースが少なかった当時、目黒記念は現在より格上、現在で言えばG1に相当するレースであったと思います。

 4歳で競走馬を引退したミスオンワードは繁殖に入りました。
 そして、オンワードセカンド、アポオンワード、ハードオンワードの3頭の重賞ウイナーを輩出しました。
 「競走成績が優秀な牝馬の繁殖成績はいまひとつ」とはよく言われることなのですが、ミスオンワードは競走馬としても、競走馬の母としても、とても優秀な成績を残したのです。
 素晴らしいことだと思います。

 また、何より凄いのは「33歳(満32歳)という長寿」でしょう。
 それも、老衰では無く、放牧中の転倒による大腿骨骨折・安楽死処置でした。こうした事故が無ければ、日本におけるサラブレッドの長寿記録をシンザンと争ったかもしれません。
 まさに「無事これ名馬」です。

 ミスオンワード号、父ハードソース、母ホールドタイト、母の父の父ゲインズバラ、持込馬。通算成績28戦14勝、2着3回、3着5回。主な勝ち鞍、桜花賞・オークス・京都3歳ステークス(阪神JF)・神戸杯(神戸新聞杯)・目黒記念(秋)。
 8連勝での牝馬二冠、日本ダービー・菊花賞への挑戦と、太平洋戦争後、復興へと向かう昭和30年代、日本競馬の隆盛に大いに貢献した「名牝」でした。

 日本競馬史上屈指の「名牝」であったと思います。

 ミスオンワードは、その馬名から推測されるように、服飾ブランド「オンワード樫山」の樫山純三氏の持ち馬でした。
 そして、「ミスオンワード」は高級コートのブランドとして、日本女性を彩り続けたのです。
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