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 サッカー競技においては、スペイン代表チームが欧州選手権2008を制した頃から、さかんに「ポゼッション・サッカー」という言葉が使われるようになりました。
 スペインチームの圧倒的な強さも、「ポゼッション」という言葉の普及?に寄与したのでしょう。

 ラグビー競技においても、ワールドカップ2015において時折「ポゼッション・ラグビー」という言葉を耳にしました。

 「ポゼッション」は「ボール支配率」といった意味であろうと思います。
 ゲームにおいて、自軍がボールを持っている時間のこと、さらには「相手チームと自チームのボール保持時間を比較」して、どちらか多くの時間ボールを持っていたか、を算出するといった形で利用される「概念」でしょう。
 例えば、この試合のポゼッションはAチームとBチームの55%対45%といった形で使われます。試合時間の内、Aチームがボールを55%保持し、Bチームは45%であったという意味です。

 ここでは、「ポゼッション」概念の普及において一日の長が有るサッカー競技で観て行きたいと思います。

 試合結果を観ると、「勝ったチームの方がボール支配率・ポゼッションが良い」というのは、一般的には当然のことでしょう。
 サッカーは「得点数」を争う競技ですから、守備だけでは勝つことは出来ませんので、攻撃を行う必要があります。一般的には「攻撃機会数と得点数はリンク」しているのでしょうから、攻撃機会を増やす→ボールを自軍が保持する時間が多いチームの方が、勝つチャンスが増えそうです。

 正確な数字は持っていませんが、10.試合を戦えば、ポゼッションで勝るチームの方が7勝3敗位の成績なのではないかと感じます。

 一方で、ポゼッションが劣っていたからといって試合に負けるというわけではありません。(当たり前のことを書き恐縮です)
 サッカーは「優勢勝ちの無い競技」であり、ゴール数の比較により勝敗を決するのですから、どんなにボール支配率が高くとも、ゴール数で相手チームを上回らなければ勝てないのです。

 ボールポゼッションが20%対80%の劣位にあったとしても、1点を挙げて相手チームを0点に抑え込めれば勝てるのです。
 実際にそういう試合も数多く観られます。

 2010年前後のスペイン代表チームや、FCバルセロナチームは、所謂「ポゼッション・サッカー」で圧倒的な力を示してきたという見方が有ると思います。
 私も、2010年前後のスペインや過去10年近くに渡ってのバルセロナの強さは素晴らしいものだと思いますが、それが「ポゼッション・サッカー」によるものであるとは思っていません。

 スペインやバルセロナのサッカーは、パスサッカーであり、自軍のプレーヤー間で素早いパスを繋ぎながら「攻撃のチャンス・得点の形を探り」ゴールを挙げて行くサッカーなのです。
 そのラストパスやラストパスに繋がるパスの「正確で速い」ことが、その強さの秘訣であろうと思います。

 中心的なプレーヤーであったシャビ選手のパスは、まさに「世界サッカー史上最高レベル」のものでした。

 こうしたプレーを積み上げて行った「結果」として、スペインやバルセロナのポゼッションは良くなっていたのです。
 「ポゼッションの良し悪しは、プレーの結果」なのであろうと考えます。

 注意しなければならないのは、「ポゼッションを目的としてプレー」することでしょう。これは避けなければならないと考えます。

 最終ラインでパスを繋ぎ続け、なかなか前線にパスを送れない状況が続き、結果として試合に敗れたとして、試合後ポゼッションを観てみたら60%対40%で優位にあったとしても、何にもなりません。
 そこで「ポゼッションは優位にあったのに何故負けたのだろう」と考えるようでは、到底勝利は覚束ないでしょう。

 ポゼッションを目的としてしまうと「無駄なパスが多くなる」傾向が有りそうです。

 攻撃=得点を取りに行くプレーに結び付かないパスは、あまり意味が無い、昔風の言葉?で表現すれば「パスを回させられている状態」なのでしょう。
 攻め口が見つからず、バックラインや中盤でパスばかり回しているのでは、相手チームの思う壺、というゲームもあるのでしょう。

 ポゼッション・サッカーにおいては、パスプレーにおける「正確さ」と「スピード」が不可欠なのです。
 FCバルセロナにおけるメッシ選手へのラストパスはいつも、そのスピード・コース・球質ともに素晴らしいものです。
 こうした「正確で素早いパス」を生み出せるチームにおいて、ポゼッション・サッカーが有効であるということになるのでしょう。

 逆に言えば、パスの精度・スピード共に劣るチームであれば、ポゼッション・サッカーを選択するべきではないのかもしれません。
 「パスを回させられている状態」が長く続けば、疲れるのはパスを回しているチームの方になってしまい、そのパスをカットされてピンチを招くことに繋がりかねません。(前述のスペイン代表やFCバルセロナのパス回しであれば、いつ何時凄いラストパスが生まれるか分かれませんので、相手チームのプレーヤーは各々のパスに反応し続けることとなり、右往左往しますから、相手チームの疲労が増すばかりとなります。その差は「パスの精度とスピード」から生まれるのでしょう)
 
 「パスの精度・スピード共に相手チームより劣るチーム」は、カウンターやショートカウンター、セットプレーから得点チャンスを見出す方が有効な感じがします。
 守備を固めて失点を最小限に抑え込み、機を見て反撃するのです。
 オールドファッションなサッカーではないか、といった見方もあるでしょうが、そちらの方が勝率は高くなるのではないでしょうか。

 最終ラインでのパスばかりが続き、前線にパスを供給できないまま、ポゼッションばかりが高くなり、結局得点を挙げることが出来ないチーム・ゲームを観ると、その感を強くします。

 「ポゼッションの優劣は試合の結果」であり、ポゼッションの優位を「試合の目的」とすることには、十分な注意が必要だと思います。
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