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[1月11日・TCFバンクスタジアム]
シアトル・シーホークス10-9ミネソタ・バイキングス

 シーホークスが勝ったという試合結果自体は、試合のラストプレーであったバイキングスのフィールドゴールFGトライが失敗したという「信じられないようなプレー」によるものでした。
 
 逆転を狙ったバイキングスの「27ヤードのFGトライ」でした。NFLのキッカーの能力を考慮すれば、27ヤードのトライは「100発100中」の距離ですし、バイキングスのキッカー・ウオルシュ選手は素晴らしいプレーヤーでもありますので、このキックがポスト左に外れた時には、スタジアムは静まり返りました。

 バイキングは「大魚を逸した」ゲームでしたし、シーホークスは「命拾い」という形でしょう。

 このゲームでは、もうひとつ注目されたポイントが有りました。
 「ランニングバックRBエイドリアン・ピーターソン選手のランを、シーホークスが止められるか」という点でした。

 ピーターソン選手は、現在のNFLを代表するRBです。今季レギュラーシーズンでも1,485ヤードを走り、NFL全体1位の成績を残しました。
 その「ランニングスピード」「左右ステップの俊敏性」「体の柔軟性」「判断の速さ」・・・等々のスキルは、天才の名を欲しい儘にしています。NFL史上でも屈指のRBでしょう。

 従って、バイキングスの攻撃はピーターソン選手のランプレーを主体に組み立てられています。ピーターソン選手がボールを持って走ってくることが分かっていても、相手チームはそのランを止められないというゲームが多いのです。だからこそバイキングスはプレーオフに進出して来たとも言えるのでしょう。

 この「NFL史上最高レベルのランプレーをシーホークスが止められるのか」が、このゲームのひとつのポイントとなったのです。

 そして、シーホークス守備陣はこの難題を解決しました。

 このゲームで、ピーターソン選手は殆ど走ることが出来ませんでした。
 23回持って45ヤードの前進という、1ゲームで100ヤード以上走ることも珍しくないピーターソン選手としては、考えられない成績でした。1回当たりの平均も僅か2.0ヤードなのですから、ミネソタのオフェンスが機能しなかったのも無理のないところでしょう。

 シアトルの「ピーターソン封じ」のポイントは以下の2点だと思います。

① 3名のプレーヤーによる徹底マーク
② ディフェンスラインの頑張り

 シアトル守備陣は常に「3名のプレーヤーをピーターソン選手マーク」に当てていました。攻撃側のプレーコールは1プレー毎に変化するのですが、その変化に係らず、常にラインバッカーLBを主体とした3名のプレーヤーが「ピーターソンマーク」に徹していたと思われます。
 結果として、ピーターソン選手がスクリメイジラインを突破したとしても、その直後に次の守備選手がピーターソン選手を捕えることに成功していました。

 前述のように、ピーターソン選手がラインの穴を見つけて、その穴を一瞬で突破する能力は現役プレーヤー最高のものです。穴を一瞬で突破したピーターソン選手は、素晴らしいスピードで前進を続け、度々10ヤード以上のビッグゲインを魅せるのです。
 ところがこのゲームでは、ラインを突破した瞬間のピーターソン選手を、シアトルの第二陣がキッチリと捕捉していました。
 ピーターソン選手が「1回のラン当たり平均2.0ヤード」しか前進できなかった理由はここあると思います。

 また、「ラインの穴自体が少なかった」ことも大きな要因でしょう。
 ピーターソン選手は「自軍攻撃陣が本来意図していたところに穴が無くとも、自ら別の場所に穴を見つけて」華麗で素早いサイドステップで走り込んでいく能力が有りますが、シーホークスの守備ラインは「攻撃側が意図した場所の穴を塞ぐと共に、その場所の近隣にも穴を作らせませんでした。
 これは、とても難しいプレーだと思いますが、ゲームを通じてシーホークスの守備陣はこの対応を徹底したのです。凄いことだと思います。

 このゲームに対するシアトル・シーホークスの戦略は「ロースコア・ゲームの創出」だったのでしょう。ミネソタ・バイキングスの強力な守備陣を考慮すれば、シアトル攻撃陣としてもそうそう得点を積み上げることは難しい。
 そうなれば、ミネソタの攻撃・得点を抑え込まなければならない。イコール「エイドリアン・ピーターソン選手のランを抑え込まなければならない」ということになります。あらゆる局面で、ピーターソン対策を継続するというのはとても難しいことであったと感じますが、練りに練った戦術・フォーメーションを立案し、これを実行したのです。

 そして、結果として10-9で勝ち切りました。両チームを通して、タッチダウンがひとつだけという、現在のNFLでは珍しい「ロースコア・ゲーム」でした。

 エイドリアン・ピーターソン選手の変幻自在のランを期待していたファンにとっては、残念なゲームとなりました。私も「ピーターソンの走り」を楽しみにしていましたので、このゲーム内容には驚かされました。

 アメリカンフットボールという競技における、「戦前の戦略・戦術立案の重要性」を改めて感じさせたゲームであったと思います。
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