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HOME   »   大相撲  »  [大相撲] 二所ノ関部屋 閉鎖
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 2013年1月場所後、大相撲の名門二所ノ関部屋が閉鎖される見通しになりました。現在の親方、元関脇・金剛が昨年10月に脳梗塞により入院し、回復がままならないうえに、後継者が見つからないためだそうです。

 大相撲の相撲部屋(単に「部屋」とも言います)は、現在46を数えます。そして、この46の部屋は、5つのグループに区分されます。
 出羽の海一門(12部屋)、二所ノ関一門(10部屋)、時津風一門(8部屋)、高砂一門(5部屋)、伊勢ヶ濱一門(6部屋)、その他として5部屋がありますが、この6番目のグループは最近、貴乃花グループとも呼ばれています。

 「いずれかの相撲部屋に所属していないと大相撲の土俵に立てない」というルールがありますので、部屋の存在や、部屋を取り仕切る「親方」の権威は絶対的なものです。大相撲に所属する力士の教育・稽古は、全て部屋の責任の下で行われています。
 それどころか、行司や床山、呼び出しといった人達も、必ずいずれかの部屋に所属していますから、日本相撲協会自体が各相撲部屋の集合体と言うことができます。

 話が少し逸れますが、一門は、もともとは地方巡業に行く単位だったのです。前述の通り、大相撲巡業をするための構成員である、力士・行司・呼び出し・床山等は、各相撲部屋に所属しており、その相撲部屋が集まった一門ですから、一門単独で巡業が可能なのです。
 例えば、横綱の人数というのが時々話題になり、ひとり横綱よりは二人、三人が望まれ、多い時には四人以上の横綱が存在していましたが、これも、一門による地方巡業において横綱が居た方が形か付くという側面が大きかったのです。昔は、一門にひとりは横綱が欲しかったのだろうと思います。

 大相撲近代化の流れの中で、地方巡業も協会主導となり、横綱誕生にも横審の答申が必要となるなど、大相撲の歴史から見れば真逆の形式が導入されてきています。大興業としての大相撲を考える時、この歴史・伝統と、現代プロスポーツの融合は、常に大きな問題として提起され続けています。

 さて、そうした相撲部屋の中でも、二所ノ関部屋が一門のリーダー部屋であることが解りますが、その二所ノ関部屋が閉鎖に追い込まれるというのは、大相撲の変化を如実に表す事象です。

 名門二所ノ関部屋ですから、幾多の名力士を輩出しています。特に有名なのは、横綱・大鵬です。幕の内最高優勝、歴代最多32回を誇る大横綱です。

 我が国の戦後復興の時代、昭和30年代に有名だった言葉として「巨人・大鵬・卵焼き」というのがあります。これは、当時の子供達が好きなものを3つ重ねた言葉ですが、昭和30年代に幼年期を過ごした、現在50歳以上の世代にとっては忘れられない言葉です。あまりにも有名なフレーズですので、平成の世になってからも時々テレビ等に登場します。
 戦後1945年以降に沢山登場した「世相を表すフレーズ」の中でも、最も定着したというか、有名なフレーズでしょうし、圧倒的な存在感を示す言葉でもあります。語呂が良く、人々の気持ちを見事に代弁した言葉なのでしょう。

 その横綱・大鵬が現役を引退した時に、二所ノ関部屋を継ぐかどうかで、ひと騒動あったのです。大鵬は、その大横綱としての実績から、当然に一代年寄制度を利用できる(大金を用意して年寄株を購入することなく、親方になれる)立場にあったのですが、一代年寄・大鵬親方・大鵬部屋は、何しろ一代ですから継承できません。従って、大鵬としては名門であり、自身が所属した二所ノ関部屋を継ぐべく、第9代二所の関親方になろうとしたのです。(現在でも、元横綱・千代の富士は一代年寄制度を利用せず、高砂一門の九重部屋・九重親方を継承しています。一方、元横綱・貴乃花は、一代年寄・貴乃花親方となり、貴乃花部屋を起こしました。大横綱も現役引退後の選択は異なります)

 さて、二所ノ関部屋継承問題に戻りますが、私達大相撲ファンも、大鵬が二所ノ関部屋を継ぐものだと思っていました。なにしろ昭和の大横綱ですし、「巨人・大鵬・卵焼き」に代表される、絶大な人気を誇った力士ですし、日本相撲協会の看板力士ですし、大相撲の歴史の中でも最高の力士の一人である大鵬ですから、名門二所ノ関部屋を継承するに相応しいと、誰もが考えていたのです。

 ところが、二所ノ関部屋の部屋付親方であった押尾川親方(元大関・大麒麟)が、二所ノ関部屋継承に名乗りを上げ、大鵬に対抗しました。1年を超える争いになりましたが、嫌気がさした大鵬は、継承争いから降り、一代年寄大鵬を襲名して、大鵬部屋を起こしました。
 これで、二所ノ関部屋は大麒麟が継承するのだと思われましたが、これを8代目二所ノ関親方夫人が拒否、結局部屋所属の力士・金剛を、8代目二所ノ関親方の次女の娘婿とする形で継承させたのです。

 何か、どろどろした継承争いを書きましたが、大相撲の世界では、こうした争い事は珍しいことではなく、部屋の継承争いに限らず、重婚、駆け落ち、などなど、見ていて恥ずかしくなるような醜態が、いつの時代も存在しています。

 私は、こうした醜態について批判するつもりは全くありません。世間一般の物差しで測れるような世界ではないのですし、こうした世界だからこそ、あの大きな肉体が、驚異的なスピードとパワーで動き回る、素晴らしいスポーツを生み出せるのだと考えています。天賦に恵まれた天才の集団が織り成す、様々な好プレーや醜態に対して、我々凡人が、平凡なる人生から得た教訓などを、当て嵌めるべきではないと考えています。また、どこにでもあるような教訓が当て嵌まるような世界では、魅力も半減してしまうのかもしれません。

 土俵の上で、素晴らしい取り組みを魅せてさえいただければ、土俵の外では何をしていただいても良いと思います。もちろん、何をしても良いとは言っても、違法行為・犯罪はだめですけれども。

 この騒動の後、つまり元関脇・金剛が二所ノ関部屋を継いで後、二所ノ関部屋の勢いは急速に衰えました。昭和の時代には、関取を多数輩出し、特に十両における二所ノ関部屋および二所一門の力士が、十両の力士全体に占める割合が極めて高かったのです。

 十両は、現在ではあまり人気がありませんけれども、およそ相撲取りを目指す若者が、まず憧れるのは「関取」になることです。関取になって初めて、日本相撲協会から給金(給料)がもらえるのです。そして、十両力士以上になることが、関取になることなのです。
 従って、幕下から十両に上がって、これから幕内を目指していく、伸び盛りの力士にとっては、幕内経験者が数多く居る十両を突破することが、最大の目標になります。以前は、十両は「鬼の棲家」と呼ばれました。長く幕内を張ってきて、ついに十両に落ちた力士達は皆、自分の型を持っていますし、自分の型になれば、幕内・三役力士にも引けを取らないわけですから、伸び盛りの若手力士にとっても大変な壁です。

 有名なところでは、若ノ花、貴ノ花兄弟が、幕下を突破し十両に上がった時、まだ10代でしたから、この壁を突破できるのかどうかが話題となりました。若貴兄弟は、この「鬼の棲家」を早々に突破、幕内に上がり、ご存じのような大活躍を魅せました。

 一方で、昭和の終盤に多くの関取を擁し、大相撲の一大勢力であった二所ノ関部屋と二所一門の力士には、いわゆる八百長疑惑が常に囁かれていました。特に、幕内下位から十両に居た力士が多かったのですから、こうした疑惑をもたれたのも止むを得ないことでしょう。

 例えば、スター誕生が待たれた相撲界にとって、若貴兄弟が十両で停滞することは許されず、そこで二所一門の力士が大きな役割を果たした(わざと負けた)、などとも報道されていました。真偽のほどは分かりませんが、そうした報道がなされるほど、二所一門の勢力は大きかったということです。

 近時の、多くの十両・幕内力士が廃業に追い込まれた八百長疑惑や、朝青龍騒動を経て、大相撲は変わろうとしています。こうした時期に、名門二所ノ関部屋が閉鎖されるというのは、大相撲にとってのひとつの時代の終焉を象徴している事象なのかもしれません。
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