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HOME   »   競馬  »  [競馬コラム162] 東京新聞杯の歴史を飾る優駿達
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 2月7日に行われた東京新聞杯2016は、唯一の牝馬・スマートレイアーの優勝で幕を閉じました。
 現在ではG3に格付けされているレースですが、このレースの初期の歴代優勝馬を観ると、日本競馬を代表する名馬が並んでいて「壮観」です。

 1951年・昭和26年に「東京杯」として始まったレースは、1967年までは2400mで行われ、春の天皇賞(3200m)に挑む有力馬のステップレースでした。
 当時は、重賞レースそのものが少なかったことと相俟って、優勝馬に超一流馬が並ぶこととなったのでしょう。

 少し見てみましょう。

・第1回1951年 トサミドリ
・第2回1952年 ミツハタ
・第4回1954年 ハクリヨウ
・第5回1955年 タカオー
・第6回1956年 オートキツ
・第7回1957年 ハクチカラ
・第10回1960年 コマツヒカリ
・第11回1961年 タカマガハラ
・第16回1966年 コレヒデ

 トサミドリ号は、皐月賞・菊花賞・天皇賞(秋)(当時は3200m)などに優勝し、通算31戦21勝を挙げました。あの初代三冠馬セントライトの弟ということもあり、種牡馬としても素晴らしい成績を残しました。当時全盛を誇った輸入種牡馬ヒンドスタン(シンザンの父)やライジングフレーム(セイユウの父)と伍して、優秀な産駒を世に送り続けたのです。
 JRA顕彰馬に選出されています。

 ミツハタ号は、本ブログでも「トキノミノル・イツセイ・ミツハタ」の記事で登場していますが、無敗の日本ダービー馬トキノミノル亡き後、日本競馬の長距離界を支えた存在で、天皇賞(春)の優勝を含めて、通算36戦16勝の成績を残しました。この時代の2000mを超えるレースでの強さは圧巻でした。

 ハクリヨウ号は、菊花賞と天皇賞(春)の優勝馬であり、通算25戦16勝・2着4回・3着5回と、生涯4着以下は1度もありませんでした。種牡馬としても、シーザーやヤマノオー、シーエースを送り出しています。
 この馬の主戦騎手は、当時のNO.1ジョッキー・保田隆芳でしたが、数え切れないほどの名馬に騎乗した保田騎手が、「強さならハクリヨウが一番だろう。加速する時重心が沈み込み、ロールスロイスに乗っているようだった」とコメントしていたと記憶しています。
 ハクリヨウは「初代の年度代表馬」となっていますが、JRA顕彰馬には選ばれませんでした。不思議なことだと感じます。

 タカオー号は、天皇賞(春)の優勝を含む、通算64戦31勝の成績を残しました。一般的に、現在より出走回数が多い時代とはいえ、月3レースを続けていた時期もあり、そのタフさは驚異的でした。
 スパルタトレーニングで鳴らした飯原牧場の産で、ダイナナホウシユウと共に小さな馬体で戦い続けました。

 オートキツ号は、日本ダービー優勝を含む22戦14勝。父・月友、母トキツカゼ(皐月賞・オークス優勝)という良血馬でした。
 母トキツカゼが惜しくも逃した日本ダービー(トキツカゼという牝馬も凄いサラブレッドです)を「8馬身差」という圧勝で制しました。

 ハクチカラ号は、日本ダービー・天皇賞(秋)・有馬記念を含む49戦21勝。1958年にアメリカに遠征し、ワシントン・バースデー・ハンディキャップ競走に優勝、「日本馬として初の海外重賞競走制覇」を成し遂げました。
 この時代のロジスティックスを考え合わせれば、ハクチカラのアメリカ競馬における重賞制覇は空前のものであったと思います。
 また、ハクチカラの主戦騎手も保田隆芳でしたが、この時の遠征で「モンキー乗り」を習得して帰りました。騎乗技術の近代化にも大きく貢献した、ハクチカラと保田騎手のコンビだったのです。
 JRA顕彰馬に選出されています。

 コマツヒカリ号は、日本ダービー優勝を含む35戦6勝。父は第1回東京杯の優勝馬トサミドリ、母はアイルランドからの輸入馬イサベリーンでした。
 イサベリーンは、もう一頭の日本ダービー馬ヒカルメイジをも産しています。ヒカルメイジとコマツヒカリは「兄弟で日本ダービーに優勝」しているのです。
 
 タカマガハラ号は、天皇賞(秋)の優勝を含む51戦10勝。船橋競馬場や川崎競馬場といった南関東競馬で活躍の後中央競馬に入りました。そして5歳の1962年、アメリカの芝コースレースの最高峰ワシントンDCインターナショナルに挑戦しました。日本馬として、初の出走でした。地方競馬から中央競馬、そしてアメリカ競馬と、タカマガハラの活躍の場は広がって行ったのです。
 また、タカマガハラ・オンスロート・ホマレボシ・シーザーの「4強時代」は、中央競馬が大いに盛り上がりました。競馬ブームの先駆けでもあったと思います。

 コレヒデ号は、天皇賞(秋)と有馬記念優勝を含む29戦14勝。この馬の主戦も保田隆芳騎手でした。クラシックレースでは成績を残せなかったコレヒデが本格化したのは、まさに東京新聞杯に優勝してからでした。
 1966年の年度代表馬です。

 ちなみに、何度も登場する保田隆芳騎手についても少し触れておきたいと思います。

 1920年東京都千代田区生まれ、1936年に騎手デビューすると、名門・尾形藤吉厩舎の主戦ジョッキーとして、幾多の名馬の手綱を取り続けました。
 1963年には「中央競馬史上初の1000勝ジョッキー」となり、1968年には史上初の八大競走(クラシック5レース+天皇賞(春)(秋)+有馬記念)完全制覇を成し遂げるなど、当時の日本競馬を代表する騎手でした。
 前述の「モンキー乗り」を日本競馬に紹介した功績も含めて、偉大なジョッキーと呼ぶにふさわしい存在です。

 引退した時の通算1295勝は「不滅の記録」でした。現在と比べてレース数が少なかったことを勘案すれば、現代においても全く輝きを失わない記録だと思います。

 ちなみに、東京新聞杯でも前述の3勝に加えて、1969年にはタケシバオーで優勝していますから、通算4勝です。

 本稿は、東京新聞杯競走の初期の優勝馬を採り上げました。

 当初2400mコースで行われていた東京新聞杯でしたが、1968年から施行距離が短くなり始め、2200m→2100m(ダートコース)→2000mとなって1984年からは1600mのマイル重賞となりました。
 天皇賞(春)のステップレースから、安田記念のステップレースへと変貌したのです。

 とはいえ、1951年創設の歴史と伝統を誇る重賞レースとしての東京新聞杯の優勝馬には、太平洋戦争終戦後間もない日本競馬を彩った優駿達の名前がずらりと並んでいますし、マイル重賞となった後も、安田記念を目指すマイラー達の大事なレースとなっています。

 東京新聞杯は、これまでもこれからも、日本競馬にとって大切な重賞競走なのでしょう。
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