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HOME   »   スキー  »  [FISアルペンW杯2016・日本大会] 皆川賢太郎氏の解り易い解説
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 久し振りの日本開催となったアルペンスキー・ワールドカップでしたが、NHKテレビ放送の皆川賢太郎氏の解説は、とても解り易いものだったと感じます。

 どんな競技でも、そのプレーを観ながら解説するというのは容易なことではありませんが、アルペンスキーも同様です。

 プレーヤーの体格や筋力の状況、精神的な特徴といったプレーヤーそのものの特性に、雪面の状況や旗門の配置、気象状況といった要因を加味しながらの解説は、極めて難しいものでしょう。

 結果として、ライン取りが膨らんだり、スキーヤーがバランスを崩したりすると、直ぐに「失敗しました」といった解説をしがちです。
 その直後に、良い通過タイムが計時されたりすることが多いのです。

 本ブログではいつも書いていますが、アルペンスキーは走破タイムを競うスポーツですから、全てのプレーが滑るスピードとのバランスの上に検討されるべきものなのです。

 世界トップクラスのスキーヤーが登場する大会なのですから、「(勝敗に関与できるレベルの)望ましいスピードより少し遅い速度で滑っていれば、いつも「綺麗なスラローム」が実現できるのは、当然のことです。
 従って、滑っている姿が綺麗、バランスが良くバタバタした様子が無い、といった滑りでは、勝ち負けを争うタイムを叩き出すことが困難ということなりそうです。

 滑りの過程で、何回か危ないシーンが観られる位のトライでなければ、到底優勝は望めないのでしょう。世界トップクラスのスキーヤーがタイムを縮める為にギリギリの滑りを展開するのが、ワールドカップであると思います。

 例えば、スラロームを観ていて、今時速50kmで滑っているのか、時速51kmで滑っているのかを見極めることは、とても難しいことだと思いますが、時速51kmならメダルを取れるが、時速50kmでは入賞も出来ない、というのがこうした大会でしょうから、大事なのは「速度」であって、フォームやラインでは無いということになります。

 こうした難しい競技の解説では、ピントの外れたコメントも多いのですが、今回の皆川氏の解説は、解り易いものでした。
 いかにも、「世界のトップクラスで戦ってきた」本物のアスリートならではの視点であったと感じます。

① 滑りの「リズム」

 皆川氏は、各選手がスタートした直後の数秒の滑りを観て「良いリズムで滑っています」とか「少し遅れ気味です」といったコメントを披露しました。皆川氏の感性と経験から発せられているコメントなのでしょう。

 この「滑りのリズム」というのが、とても大切であることを示したのです。

 滑り終えての各選手のタイムは、皆川氏の指摘通りになっていることが多かったと感じます。

 個々のスキーヤーにとって、良いリズムなのか悪いリズムなのかが、優勝を争う上でとても重要であるとの解説でした。

② 「スピードを繋げる」こと

 前述のように、ギリギリの滑りを展開している各選手が、ポイントとなる旗門でバランスを崩すことは間々あることなのですが、皆川氏は「スピードを繋げることが出来ているか否か」に注目していました。

 バランスを崩そうが崩すまいが、「スピードを維持できているかどうか」がポイントであると指摘したのです。
 的を得た指摘だと思います。

 スピードを上げる為に、ギリギリの状態で旗門に飛び込んで行くプレーヤーが、そのスピードを継続して行けるかどうかがポイントなのです。

 途中計時のタイムが良いか悪いか、よりも、スピードが維持されているかどうかに注目することは、とても大切な視点だと思います。
 例えば、途中計時が3か所あるとして、その2か所目のタイムが良いとしても、その場所でスピードを失っていれば、3か所目の計時タイムは「一気に悪化する」ことになります。当たり前のことを書き恐縮ですが、肝心なのは2か所目のタイムでは無く、2か所目を滑っている時のスピードなのです。

③ 体の大きさと「溝」

 ワールドカップでは、その時点のシーズン通算成績上位7名が「神セブン」と称され、上位15名が第一シードとなります。
 回転・大回転種目では、1本目でまず「第一シード」の選手達が滑るのです。

 コースというか雪面の状態がとても良い時に、シード選手達はトライすることが出来ることになります。第二シード以下の選手達は16番目以降のトライになるのです。雪面に相当の「溝」が出来た状態での滑りになるわけです。

 そして2本目は、1本目の成績上位30名のスキーヤー達が、30番目の選手から1番目の選手の順に滑ります。
 つまり、優勝を争う選手達は「後から」滑るのです。結果として、1本目トップ10の選手が滑る頃には、コースには前の選手達が残した「溝」が深く・多く残っていることになります。

 皆川氏は「大きな選手の方が溝に合わせて滑ることについては有利」であるとコメントしました。今大会には身長2mを超える選手も出場していましたが、身長の高い選手の方が、一般的には脚が長く、下半身の可動域が大きいので、溝に脚を合わせ易いということなのでしょう。
 だから有利なのかどうかはともかくとして、「溝」への対応については、体格差が影響することを示したのです。

 こうした解説も、とても大切だと感じました。

 アルペンスキーの魅力をテレビの視聴者に伝えていくために、解説はとても大切な仕事になります。
 私の様な素人には分からない視点からの解説が、より深く楽しむために必要なものなのだと改めて感じさせる、皆川氏の素晴らしい解説でした。
 
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