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 2016年は、「コパ・アメリカ・センテナリオ」、「ユーロ」と、ナショナルチーム同士の大陸NO.1チームを決める大会が続きました。

 世界最大級かつ最高レベルの大会・ゲームが連続したのですから、サッカーファンにとっては、とても楽しい時期だったのです。

 この2つの大会では、前評判はそれほど高くなかったチームが勝ち進み、いわゆる強豪国チームと当たって「大敗」するというゲームが、いくつか観られました。

① コパ・アメリカ準決勝 アルゼンチン4-0アメリカ合衆国

 アメリカチームは、グループリーグGL・A組を首位で通過しました。
 コロンビアやパラグアイといった強いチームと同組でしたから、アメリカがこの組を勝ち抜くのは容易ではないと言われていましたが、第2戦でコスタリカを4-0と破り、第3戦でパラグアイを1-0で下して、得失点差で首位に立ったのです。

 そして決勝トーナメントT初戦・準々決勝でも、エクアドルを2-1で撃破して準決勝に駒を進めたのです。

 開催国として、どこまで頑張れるかと見られていたアメリカチームでしたが、南米の強いチームを次々と破り、堂々と準決勝に進出してきたのです。

 「勢いに乗る開催国」を相手に、サッカー大国アルゼンチンがどのような試合を見せてくれるかが注目されましたが、一方的な物となってしまいました。

 前半3分にラベッシ選手が先制し、同32分にメッシ選手が2点目を挙げたところで、ゲームは決しました。その後はイグアイン選手が2点を加えました。

 「堅守速攻」で大躍進を見せていたアメリカチームにとっては、開始早々のラベッシ選手のゴールが堪えたと感じます。0-0のままゲーム終盤まで持ち込み、ワンチャンスで1点を捥ぎ取って、1-0で勝つという戦略を立てていたであろうアメリカチームの出鼻が挫かれたのです。

 加えて、メッシ選手の「世界最高レベルのプレー」が衝撃を与えたことでしょう。世界最高レベルの守備をも打ち抜くプレーを目の当たりにして、アメリカチームは気勢を削がれてしまったのです。

② ユーロ・ラウンド16 ベルギー4-0ハンガリー

 GL・F組をハンガリーチームは首位で通過しました。
 ポルトガルやオーストリアといった強豪国が居た組でしたから、ハンガリーやアイスランドは苦しいであろうと見られていたのですが、F組の首位はハンガリー、2位はアイスランドでした。

 ハンガリーチームは、第1戦でオーストリアを2-0で下し、第2戦はアイスランドと1-1で引分け、第3戦のポルトガル戦を3-3で引分けたのです。この3ゲームでのハンガリーの6得点は5人のプレーヤーから生まれています。「堅守速攻」から、どこからでも点が取れるチームだったのです。

 「古豪復活」を強く印象付けたハンガリーの決勝T初戦・ラウンド16の相手はベルギーでした。ポルトガル戦でも観られたように、得点力十分のハンガリーチームを相手に、世界ランキング2位のベルギーチームがどのような試合を見せてくれるかに注目が集まりました。

 しかし意外なことに、ゲームは一方的な物となりました。
 前半開始10分、ベルギーのアルデルヴァイデルト選手が先制ゴールを挙げました。
 その後しばらくは、互角の展開が続きましたが、後半33分にバチュアイ選手が2点目を挙げたところでゲームは決しました。
 
 ハンガリーとしては、0-0で試合終盤まで行き、終了間際のワンチャンスで得点して勝つ、あるいは、先制点を挙げ、それを守りきる、といった戦略で戦っていたように思いますが、やはり前半早々の失点が響きました。

 2失点を喫して以降は、アザール選手を中心とする「華麗な攻撃」の前に、成す術が有りませんでした。

③ ユーロ準々決勝 フランス5-2アイスランド

 前述のGL・F組で、アイスランドが2位で勝ち上がった時には、ウェールズ共々「今大会の台風の目」と評されました。

 GL第1戦でポルトガルと1-1で引分けて勢いに乗ったアイスランドは、第2戦もハンガリーと1-1で引分け、第3戦に全てを賭ける体制を整えました。
 そして、その第3戦でオーストリアを2-1で撃破したのです。

 勢いに乗ったアイスランドでしたが、ラウンド16の相手はサッカーの母国イングランドでしたから、さすがに苦しいと見られていました。
 前半4分にルーニー選手が先制した時には、「ゲームはイングランドペース」と感じられました。ところが、そのゴールから僅か2~3分後の前半6分、シグルズソン選手が同点ゴールを挙げたのです。

 そして前半18分、シグソールソン選手が2点目を挙げて、アイスランドが2-1とリードしました。

 以降は、イングランドが懸命の攻撃を続けましたが、ついに同点ゴールを挙げることが出来ませんでした。こうした大会での、イングランドチームの「得点力不足」が再び現れたゲームとなったのです。

 「勢いに乗る」アイスランドを迎えて、開催国フランスがどのようなゲームを見せるか、準々決勝が注目されました。

 しかし、前半12分にジルー選手が先制点を挙げると、同20分にはポグバ選手が2点目、同43分にはバイェ選手が3点目、同45分にはグリーズマン選手が4点目を決めて、フランスチームが前半を4-0とリードしました。
一方的なゲームとなってしまったのです。

 アイスランドチームは後半2点を挙げ意地を見せました。こうした一方的なゲームで、2点を返すというのは見事な粘り腰です。この「諦めない粘り強さ」がアイスランドサッカーのDNAであるとすれば、今後の国際大会でも注目の存在となることでしょう。

 以上、コパ・アメリカ・センテナリオ2016とユーロ2016において、大健闘を見せて勝ち上がってきたチームが、強豪国チームに大敗したゲームを挙げてみました。

 どのゲームも、「堅守速攻」を武器に、力量上位と予想されたチームを破ってきたチームが、サッカー強豪国との対戦で、「早々に先制され」てしまい、自分達のゲームプランに狂いが生じ、同点を目指すものの、追加点を許して、大敗してしまったというパターンでした。
 「2失点目を喫しての精神的なダメージ」も大きかったと思います。やはり、こうしたチームが強豪チームを相手に、2点・3点を挙げるというのは至難の業なのでしょう。

 さすがに、強豪と呼ばれるチームは、「堅守」を前にしても多彩な攻めを展開し、相手チームが同点を狙って「前掛かり」になったと見れば、その隙を付いて、次々と得点を挙げる術・ノウハウを保持しているのです。
 逆に言えば、「だから強豪チーム」なのです。

 また、アメリカやハンガリー、アイスランドにとっては、調子をピークにして大会に入り、そろそろコンディションが下がる頃に、強豪チームと当たってしまったことも、大敗の理由のひとつなのでしょう。

 「近時の流行り」とも言える、新興チーム(あるいは古豪復活チーム)の「堅守速攻」戦術に対しては、「早々の先制点」が最も有効であることを示している事実、なのであろうとも思います。
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