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HOME   »   ゴルフ  »  [PGA] タイガー イズ バック (その2)
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 タイガー・ウッズのプレーの魅力は、どこにあるのでしょう。

 第一には、その飛距離でしょう。現在でこそ、ババ・ワトソン選手らに、飛距離の点では及びませんが、1996年21歳でデビューしてからの数年間の、タイガーの飛距離には、度肝を抜かれました。
 タイガーは、1996年のPGAツアーデビュー後10か月間で7勝を挙げるという離れ業を演じています。そして、PGAツアー史上最年少賞金王に輝いているのですが、その7勝の中にマスターズ・トーナメントの21歳3か月という史上最年少勝利が含まれています。

 ゴルフファンの方なら誰でもご存じのことですが、マスターズは4大メジャートーナメントの中で唯一、毎年開催コースが同一のトーナメントです。オーガスタ・ナショナルゴルフクラブG.C.という、アメリカはアトランタ郊外にある美しいコースです。
 毎年同一のコースで開催されますから、私達ファンは、毎年同じ光景をテレビ画面で目にしてきたのです。アーメンコーナーと呼ばれる、11番パー4、12番パー3、13番パー5などは、その中でも有名なホール達です。

 ところが、タイガー・ウッズが登場した1996年のマスターズは、テレビ画面の光景が違いました。例えば、11番のミドルホール。セカンドショットを打つあたりから、グリーンを見ると、グリーンの左側に大きな池があり、グリーンの半分くらいまで池が張り出しています。加えて、グリーンは池に向かって相当の角度で傾斜しているのです。大変難しいホールで、ピンをデッドに攻めると、池に捕まるリスクが高いので、プレーヤーはグリーンの右サイド、それもグリーンの端を狙って、第二打を打っていくのが一般的でした。
 グリーンの端を狙うとはいっても、第二打も200ヤード近い距離を打たなくてはなりませんから、世界中のマスターと呼ばれる超一流選手達でも、グリーンヒットするのは容易なことではなく、二人に一人がグリーン右サイドあるいはグリーン奥に外すという感じでした。

 しかし、タイガーは違いました。第二打地点からグリーンを見ると、確かに左サイドに池はありますが、グリーンには係っていません。常にグリーンに対する障害となっていた池が、グリーンの左側にあるだけの存在になっていたのです。タイガーは、グリーンの真ん中に向かってショットすればよく、飛距離のリスクは、単にショートするだけなのです。
 つまり、ティーショットが他の選手より20~30ヤード多く飛んでいたので、第二打地点の景色が全く異なっていたというわけです。タイガーの桁違いの飛距離が、オーガスタ・ナショナルG.C.の設計者達の意図を、遥かに超えてしまったということです。(ちなみに、オーガスタ・ナショナルの当初の設計者は球聖ボビー・ジョーンズですが、コースには時代とともに大きく手が加えられてきていますので、1996年のコースや現在のコースも、最初のころとは相当に違うコースになっています)

 この後、マスターズ・トーナメントを主催するマスターズコミッティが11番ホールの距離を大幅に伸ばしたことは言うまでもありません。難しいことで有名だった11番パー4が、普通のホールになってしまうのでは、マスターズ・トーナメントの権威や人気にもかかわりますから。

 このように、1996年当時、他の選手に比較して圧倒的であったタイガーの飛距離でしたが、その後、タイガー自身のショットの調子、特にドライバーの不調と、他の選手の飛距離アップが相まって、タイガー・ウッズの飛距離優位性は、徐々に薄れていきました。
 道具、特にゴルフクラブの進歩を十分に活用している他の選手に比べて、タイガーのドライバーショットはダグフックが時々出るようになり、その頻度が高くなってしまいましたから、特にメジャートーナメントではフェアウェイヒットを目指して、3番ウッドやドライビングアイアンを多用するようになりました。

 タイガーのことですから、3番ウッド(スプーン)でも280ヤード以上、時には300ヤードショットも放ちます。しかし、さすがに1番ウッド(ドライバー)を多用するプレーヤーには、平均飛距離では劣りますので、第二打の残り距離は他の選手より長くなってしまいます。アプローチショットも上手いタイガーですが、ティーショットでアドバンテージを取ってきたタイガーにとっては、不満が残るラウンド内容になってきたのです。

 2007年頃からは、フックの出過ぎを防ぐためと膝への負担減少を目指して、フラットなスイングプレーンに修正してきたためもあってか、右にストレートに突き抜けるティーショットも目立つようになりました。
 左にも右にも曲がるドライバーショットでは、安定したスコアが望めなくなり、タイガーの勝率は下がったのでしょう。そして、2012年・復活の年も、この傾向は続いていました。

 そして、今回の2013年ファーマーズ・インシュアランスオープンを迎えたのです。やはりフラットなスイングでしたが、その安定感は格段に上がり、加えて飛距離もアップしました。このトーナメントでの、タイガーのティーショット平均飛距離は308ヤードを越えました。これは、出場全選手中8位であり、昨2012年シーズンのタイガー自身の平均飛距離を10ヤード以上上回るものでした。
 この飛距離面の優位確保は、タイガーの真の復活のためには不可欠のものと考えられていましたから、このトーナメントのプレー振りは、ファンに大きな夢を与え、タイガー本人にとっても、大きな自信になったものと思います。

 タイガー・ウッズのプレーの魅力の第二は、小技の上手さです。まあ、飛距離が出て、小技が上手いとなれば、トーナメントで好成績を残せるのは当然なのですが、全盛時のタイガーは、この二つの共存を実現していたのです。

 タイガーは、アプローチショットも抜群に上手く、バンカーショットも高い精度を誇りました。これは、タイガーが30歳を迎えた2005年以降の不振の時期にも、相当高度な技を魅せていましたが、この時期に不調だったのはパターでした。
 全盛時には、トーナメント中に何回かは決まっていたロングパットが、なかなか決まらなくなりました。ミドルパットやショートパットでも、ミスショットが目立つようになり、スコアが伸びなくなったのです。

 あの帝王ジャック・ニクラスが「タイガーは、ここぞというパットは必ず決める。それが、タイガーの強さの源だ」と評していたパッティングが、決まらなくなっていたのです。これは、特にメジャートーナメントの終盤・勝負所で大きな影響を与えました。2008年の全米オープンでの勝利を最後に、タイガーはメジャートーナメントの優勝から遠ざかっています。

 しかし、今回のファーマーズ・インシュアランスオープンでのタイガーのパッティングはとても安定していました。入らずとも、1m近くオーバーしていくパッティングは、タイガー・ウッズ本来のものです。

 ドライバーの飛距離・安定感と、パッティングの感覚を取り戻したのですから、鬼に金棒でしょう。当然、大会毎の調子の上下はあるでしょうが、まずは4月11日~14日に開催されるマスターズ・トーナメント2013が最初の目標になるのでしょう。
既に4勝している相性の良い大会であり、タイガー・ウッズに向いているトーナメントだと思いますが、意外にも2005年に勝って以来、勝てていません。

 オーガスタの素晴らしく綺麗なグリーン上で、8年振りのタイガーの雄叫びを観てみたいものです。
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