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 スキージャンプ・ワールドカップ(W杯)女子・蔵王大会の第11戦と12戦は、2月10日日本の山形県蔵王にて行われました。
 この2つの試合で、日本の高梨沙羅選手が連勝し、今季W杯で12戦して6勝という、素晴らしい成績を残しています。

 スキーのW杯は、いくつかの競技で行われていますが、1つのシーズンで6勝というのは、ジャンプ男子の葛西紀明選手とノルディック複合の荻原健司選手に並ぶ、日本人選手歴代最高成績です。ジャンプ女子のW杯は、まだ続きますから、日本人選手新記録の7勝目やW杯での個人総合優勝に向けて、一層の活躍が期待されます。

 今シーズン、ジャンプ女子のW杯ゲームが日本に来たのは、2月3日の札幌大会からでした。ここまで既に4勝を挙げていた高梨選手には、大きな期待がかかりましたが、2戦して12位と5位と振るいませんでした。本人の弁によれば、アプローチ(助走路)での姿勢が不十分であったと、報道されていました。

 ジャンプ競技のアプローチ(助走路、ジャンプ台の走路)では、なるべくスピードを上げることが肝心であることは、言うまでもないことです。前進する速度が速いほど、前方への運動エネルギーが大きくなるわけです。後は、上方への踏切の強さ・角度で、飛距離が決まってくるのです。

 ジャンプ競技において、選手の努力により得られるエネルギーは、この二つしかありません。アプローチの滑りによる前方へのベクトルと、踏切による上方へのベクトルにより、飛び出す角度(ベクトルの方向)とスピード・エネルギーの大きさ(ベクトルの長さ)が決まってくるわけですから、アプローチでの滑りは、ジャンプ競技にとって極めて大切ということになります。

 そのアプローチでの滑りを、より速くするためには、スキー板と雪面をしっかりと密着させ、出来るだけ強い力で雪面を押し続ける必要があります。過去の本ブログで書いた通りです。
 そのための、アプローチでのフォーム=クラウチングスタイルは、とても微妙な調整が必要ということになるのでしょう。膝の角度、腰の位置、足のどの位置(爪先なのか踵なのか、中間なのか、など)に力を入れるか等々。アプローチの角度は、スタート地点から踏切地点に進むに従い、緩やかになって行きますし、緩やかになる「なり方」も、最初は少なく、踏切位置に迫るほど急激に、緩やかになって行くわけです。

 選手は当然、急斜面の時と、緩斜面の時では、フォームを変えて行くわけですから、数秒間のアプローチ(助走路)の滑りの過程で、雪面の角度の変化に連動させて、なめらかに正確にフォームを変化させていくという、とても難しい対応を迫られるわけです。

 こうした難しい対応をしている間に、あっという間に「サッツ=踏み切り」がやってきます。これも、タイミングを合わせ、可能な限り力強く・速く、正しい角度で行わなければなりません。

 空中に飛び出したら、可及的早期に空中姿勢を固める=スキー板を自らの体に引き付け、バランスの良い形を構築する、ことになります。そして、風の様子を感じながら、必要であればフォームを矯正しながら、ランディングバーン(着地する斜面)と平行に飛び続けます。

 数秒で「着地」を迎えます。雪面が、急速に迫っていく中で、少しでも飛距離を伸ばし、正確なテレマーク姿勢を取るための着地の準備をするわけです。そして、着地。飛距離はもちろん、飛形・着地形の完成度・美しさも競うのです。

 これが、スキージャンプ競技の選手から観た概要ですが、とても短い時間の間に、大きなパワーと数多くの技術を必要とする競技であることが、分かります。

 これだけ複雑で繊維な競技ですから、札幌で調子を落としていた高梨選手が、わずか1週間で復調するのは、難しいことだと考えていました。しかし、高梨選手はやり遂げたのです。見事という他はありません。

 札幌で12位、5位だった選手が、蔵王では2戦連勝、それも同日に連勝している事実を観ても「ジャンプ競技の成績に風の良し悪しが無関係であることは明らか」です。札幌での4回のジャンプで、全て風に恵まれず、蔵王での4回のジャンプでは、全て良い風が吹いた、それも高梨選手の時だけ、などということは、有り得ないからです。

 ジャンプ競技は、選手の力量により勝敗が決まる競技です。そして、今季12戦して6勝している高梨沙羅選手は、現時点では世界最高の技量を持った女性ジャンパーです。
 この世界一の実力を一層向上させて、来年のソチ・オリンピックでの大活躍を期待しています。

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高梨沙羅選手ワールドカップ蔵王大会2連勝  
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