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HOME   »   大相撲  »  [大相撲2017・1.月場所] 横綱・白鵬の相撲
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 2017年1月場所の最後の取組「白鵬VS稀勢の里」は、大相撲の歴史に刻まれる一番であったと思います。

 この場所、荒鷲や高安、貴ノ岩といった若手力士の一気の寄りに屈していた白鵬が、この一番では逆に、一気の寄りに勝機を見出そうとした取組でした。

 NHKテレビのリポートで、支度部屋で白鵬が「左四つ」になる形を何度も繰り返していると報じられていました。稀勢の里得意の左四つに自ら誘導することで、早期に両力士が密着し、自らは相手力士のまわしを取って、一気に寄ることで、寄り切り・押し出しを実現しようという目論みだったのでしょう。

 この目論見は概ね成功し、白鵬は稀勢の里を西土俵際に追い詰めました。
 ここで稀勢の里が踏ん張り、踏ん張りながら左をこじ入れ、右へのすくい投げで逆転勝利を収めたことは、ご承知の通りです。
 白鵬としては、相撲に勝って、勝負に敗れたというところでしょう。

 こうした取り口を見るにつけ、横綱・白鵬の相撲の変遷を感じます。

[第一期]
 白鵬が最も強かった時期、驚異的な勝率を誇り、63連勝を記録した時期には、「低く鋭い立ち合いから前みつを取り、上手も取って、相手には片方の回ししか許さず、寄り切りや上手投げで料理するという、「万全の取り口」が目立ちました。
 この頃の白鵬の立ち合いは見事なもので、少し右足を引いた形から、右膝が土俵から10㎝位しか離れていない形で突進し、相手力士のまわしをものにしていました。この立ち合いこそが、白鵬の相撲だったのです。

[第二期]
 その後、白鵬は相手力士のまわしを取る頻度が下がりました。その原因は、「相手力士の研究」「白鵬自身のフィジカルの衰え」等々いくつかの要因が重なったものなのでしょうけれども、いずれにしても「万全の形」になる頻度が下がったのです。
 その結果、白鵬は「かち上げ」や「張り手」を多用するようになりました。これらの手段により、相手力士のバランスやリズムを崩し、自らの有利な形を作り易くしたのでしょう。
 結果として、白鵬の立ち合いは次第に「高い」ものとなり、当たりの威力も減少していったのではないでしょうか。

[第三期]
 「かち上げ」や「張り手」といった手段がファンからの意見等も有って多用できなくなると、白鵬はスピードと連続技で勝機を見出すようになりました。相手力士の重心が落ち着く暇を与えない相撲であり、「自在の取り口」とも言えますが、見方によっては自身の重心も落ち着かない相撲ですので、失敗するリスクの上昇に繋がったのかもしれません。

 もともと白鵬は、スピード相撲が得意ではなかったはずです。

 史上最長であった、横綱・朝青龍の「ひとり横綱」時代や、朝青龍と白鵬が横綱として張り合っていた時代には、白鵬は朝青龍のスピード相撲に苦労していました。
 時には、朝青龍が体を交わした後、白鵬が自ら土俵外に飛び出していくという取組があったほどです。

 こうした経験を踏まえて[第一期]の取り口を身に着け、大横綱への道を歩み始めた白鵬でしたが、時間の経過と共にスピード相撲に回帰してきたことは、ある意味では皮肉なことかもしれません。

 そして、1月場所では荒鷲や貴ノ岩のスピード相撲に敗れたのです。

 三種類の全く異なると言っても良い取り口を、いずれも「高いレベル」で身に着け、白星を積み上げていったという点からは、白鵬の力士としての非凡さ、極めて高い能力を感じます。
 
 史上最多37度の優勝を誇る大横綱・白鵬には、「第四期」の相撲を期待したいところです。

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