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HOME   »   日本プロ野球  »  [NPB・MLB] 長嶋茂雄とデレク・ジーター
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 1974年(昭和49年)10月、巨人軍の長嶋茂雄内野手が引退しました。そして10月14日、長嶋選手の引退試合が対中日ドラゴンズのダブルヘッダーとして、後楽園球場で行われました。学生だった筆者は、一目でもいいから長嶋を観ようと、チケット無しで後楽園球場に駆け付けました。チケットを持たず、ダフ屋から手に入れるノウハウ?も持っていなかったので、当然ながら入場できませんでした。周りに居た、沢山の入場できない人達と同じように、私は球場付近のお蕎麦屋さんに入って、テレビで長嶋の引退セレモニーを観ていました。

 長嶋は、これで引退したのですが、実はこの年はシーズン終了後、大リーグ(当時は大リーグで、MLBとは呼んでいませんでした)のニューヨーク・メッツが来日、全国各地で日本プロ野球チームと親善試合を行ったのですが、その対巨人戦には、引退した長嶋が出場したのです。

 引退試合は観られなかった筆者も、この親善試合でなら長嶋を観られるかもしれないと思い。再び後楽園球場を訪れました。恐縮ながら日付は憶えていませんが、確か11月に入っていたと思います。晩秋の後楽園球場の特徴である砂埃が相当強く舞っているデーゲームでした。先発メンバーに長嶋の名前はありませんでした。

 私は、レフトスタンド最後尾の立見席で、長嶋の登場を待ちました。みんな待っていたことでしょう。
ついに「代打・長嶋」が告げられたのです。その場内アナウンスが響いた時の球場の歓声の凄かったこと。地響きのような歓声に、メッツのレフトを守っていた選手が振り返ってこちらを見たほどです。「ナガシマって誰?」と思ったのか「ナガシマの人気は凄い」と思ったのか、分かりませんが、メジャーの選手がとても驚いた様子であったことを良く憶えています。
 この頃は、座席が今より小さかったのか、観客が隙間なく入っていたのか、三塁側、レフトスタンドともに(もちろん球場中一杯なのですが、その時眼に入ったエリアのことです)立錐の余地もない超満員。その超満員の観衆が、一斉に叫び・拍手したのです。

 打席での長嶋の一挙手一投足に場内が沸いたことは言うまでもありません。そして、長嶋はレフト前にクリーンヒットを打ちました。ゴロではなく、低いライナーで三遊間を破る素晴らしい当たりです。大歓声・絶叫とともに「引退しなくていいぞー」という声が、あちこちで聞こえました。私もそう思いました。

 長嶋選手が塁に出ました。次の打者が誰だったか、恐縮ながら憶えていないのですが、この打者の時、長嶋は盗塁を試みます。あの肘を折りたたんだ姿勢で腕を振り、二塁に向かって全力疾走です。打者がファウルを打ちます。長嶋はセカンドベース付近まで走ってきて、一塁ベースにゆっくりと戻って行きます。笑顔で、例のランニングフォームで。

 次のボールのとき、やはり長嶋は走ります。そしてファウル。ひょっとするとヒットエンドランのサインでも出ていたのでしょうか。いや、あの親善試合ではエンドランのサインは無い。やはり長嶋は盗塁を狙っていたのだと思います。デビュー当時の快速(長嶋はデビュー年に本塁打王+打点王+盗塁王)よりは少し遅い脚ですが、全力で走ります。こうしたトライ、姿が2~3回繰り返されましたが、長嶋は結局盗塁できませんでした。ゆっくりと一塁に戻っていく長嶋にも大きな拍手が送られて、再びレフト守備の選手は、驚いた様子でこちらを見ました。

 その次の打者は、王選手でした。王はここでホームランを打ちます。低いライナーがライトスタンドに飛び込みました。レフトスタンド最後尾で立見の私からは、とても低く速い打球に見えました。長嶋を一塁に置いて王がホームラン。場内は、割れんばかりの大歓声でした。この試合は、巨人が勝ちました。

 この試合の観衆は、とても満足して帰ったと思います。私もとても満足しました。そして、一生記憶に残るゲームです。こうしたプレーをするプレーヤーを「プロフェッショナル」と呼ぶのでしょう。引退表明後もゲームに出てきて、観客を満足させるプレーをする長嶋茂雄、そしてそのタイミングでホームランを打つ王貞治。まさに、プロフェッショナルと呼ぶに相応しい素晴らしいプレーヤーです。

 この長嶋が引退した1974年に、アメリカ・ニュージャージー州にデレク・ジーターが生まれます。(いささか、こじつけがましくて恐縮です) →(続きへ)

 現在のニューヨーク・ヤンキース不動の遊撃手にして、第11代目主将。1995年からヤンキース一筋、ワールドシリーズ制覇5回、ゴールドグラブ5回、オールスター出場13回を誇るMLBを代表する38歳のスーパースター、とジーターを称賛する言葉は枚挙にいとまがありません。それは別の稿に譲るとして、ここでは今から5年ほど前、まだ松井選手がヤンキースに居たころに、TVでジーター選手が話した言葉を採り上げます。

「我々は毎日ゲームに出ているが、お客さんは今日だけグランドに来ているかもしれない。ひょっとすると、一生に一回のグランド観戦かもしれない。だから僕はいつも全力でプレーするんだ。」と。

 なんと素晴らしい言葉でしょうか。プロフェッショナルの神髄、本質に迫る言葉だと思います。ジーターは、レギュラーに定着した1996年から2011年の16年間の内、12年間で150試合以上の試合に出場しています。また、2年間は147試合と148試合に出場しています。年間162試合のMLBにおいて、素晴らしい実績だと思います。

 ジーターが故障した時、当時の監督だったジョートーリが様子を見に行ったら、ジーターが明日からでも出たいと言う。「ジーターのやる気を抑えるのは大変だった。」とコメントしていました。
 ケガも不調もある中で、常に出場し成績を残す。全ての試合でヒットを打つわけではないし、エラーもするでしょう。しかし「全力でプレーする」ことは怠らない。だから、ジーターはMLBのスーパースターであり続けるのでしょう。

 「観客が観たいと思う選手」がスターでありプロスポーツ選手だと思います。様々な記録は、「観たい」と思わせる条件の一つであって、絶対に必要なものではないと思います。筆者も一度でいいから、ジーターをヤンキースタジアムで観てみたいと思います。(急がなければ)
 長嶋とジーターは、プロスポーツ選手の代表格でしょう。こうしたプレーヤーの存在が、当該プロスポーツの繁栄のひとつの条件であると思います。

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