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HOME   »   競馬  »  [競馬コラム191] 21世紀の英ダービー馬
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 「ダービーステークス」と言えば英国のレースです。

 英国は、近代競馬発祥の地であり、ダービーを始めとする多くのレースが始まった国なのです。

 今回は、その「ダービーステークス」の勝ち馬、1780年に始まり、今年第238回を迎えるという長い長い歴史の中から、21世紀の勝ち馬を見て行きたいと思います。(馬名に続いて、生産地、通算成績、主な勝ち鞍)

・2001年 ガリレオ(アイルランド) 8戦6勝 英ダービー、愛ダービー、キングジョージQE
・2002年 ハイシャパラル(アイルランド) 13戦10勝 英ダービー、愛ダービー、ブリーダーズCターフ2勝
・2003年 クリスキン(アメリカ) 7戦3勝 英ダービー
・2004年 ノースライト(アイルランド) 7戦3勝 英ダービー
・2005年 モティベイター(イギリス) 7戦4勝 英ダービー
・2006年 サーパーシー(アイルランド) 10戦5勝 英ダービー
・2007年 オーソライズド(アイルランド) 7戦4勝 英ダービー、英国際S
・2008年 ニューアプローチ(アイルランド) 11戦8勝 英ダービー、愛チャンピオンS、英チャンピオンS
・2009年 シーザスターズ(アイルランド) 9戦8勝 英2000ギニー、英ダービー、エクリプスS、英国際S、愛チャンピオンS、凱旋門賞
・2010年 ワークフォース(イギリス) 9戦4勝 英ダービー、凱旋門賞
・2011年 プールモア(アイルランド) 5戦3勝 英ダービー
・2012年 キャメロット(イギリス) 10戦6勝 英2000ギニー、英ダービー、愛ダービー
・2013年 ルーラーオブザワールド(アイルランド) 11戦4勝 英ダービー
・2014年 オーストラリア(イギリス) 8戦5勝 英ダービー、愛ダービー、英国際S
・2015年 ゴールデンホーン(イギリス) 9戦7勝 英ダービー、エクリプスS、愛チャンピオンS、凱旋門賞
・2016年 ハーザンド(アイルランド) 7戦4勝 英ダービー、愛ダービー

(凡例 愛ダービー→アイルランドダービー、キングジョージQE→キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス、エクリプスS→エクリプスステークス、英国際S→英インターナショナルステークス、エクリプスS→エクリプスステークス、愛チャンピオンS→アイルランドチャンピオンステークス、英チャンピオンS→イギリスチャンピオンステークス、全てG1)

 さすがに錚々たるメンバーが並んでいます。
 我が国の競馬報道の中で、自然に耳にしてきた馬名も多いのです。

 最初に眼に付くのは「アイルランド産馬」の多さでしょう。
 2001年~16年の16頭のダービー馬の内、10頭がアイルランド産馬です。
 これは圧倒的なシェアです。イギリス産馬5頭、アメリカ産馬1頭より遥かに多いのです。
 
 現代のイギリス競馬は、アイルランド産馬なくしては成立しない、と言っても良いでしょう。

 アイルランドの生産馬に押されっぱなしであったイギリス産馬ですが、2010年以降は4頭が優勝しています。おそらく、イギリスにおけるサラブレッド生産体制が整ってきているのであろうと思います。アイルランドの競馬界がイギリス競馬界を刺激してきたと言っても良いと思います。

 加えて、英ダービーと愛ダービーの両方を勝っている馬も眼に付きます。
 ガリレオ、ハイシャパラル、キャメロット、オーストラリア、ハーザンドと5頭も居るのです。
 愛ダービーは、英ダービーからのスケジュールも丁度良い上に、欧州中の強豪3歳馬がこぞって参加するG1レースですので、「勝つ価値のある大レース」となっているのです。

 16頭のダービー馬の成績を見ると、「勝率の高い馬」が多い印象です。
 2009年のシーザスターズ・9戦8勝、2015年のゴールデンホーン・9戦7勝、2008年のニューアプローチ・11戦8勝を始めとして、勝率5割以上のサラブレッドが16頭中12頭。相当高い比率でしょう。

 加えて、英ダービー以外のG1に勝っている馬も多く、10頭が複数のG1レースを制しています。

 当たり前のことだと叱られそうですが、「英ダービー馬は強い」のです。その世代のヨーロッパ最強馬の一角を占めることは、間違いないのでしょう。

 そうした「強い」ダービー馬ですが、2003年から2006年まで4年連続で、G1勝ちがダービーのみという年が続きました。
 おそらく、この頃の英国競馬は、少し地盤沈下していたのではないかと思います。
 そして、近代競馬発祥の地としての強化施策が実行されて、2008年のニューアプローチ、2009年のシーザスターズの誕生に結び付いていると感じられます。

 個別に見て行きましょう。

 まずは、2001年のガリレオ。

 8戦6勝、英愛ダービーとキングジョージQEを勝っている戦績、その結果2001年のカルティエ賞(ヨーロッパ年度代表馬表彰)最優秀3歳牡馬となった戦績も素晴らしいのですが、種牡馬になっての活躍はより凄いものです。

 2008年ダービー馬ニューアプローチ、2013年ダービー馬ルーラーオブザワールド、2014年ダービー馬オーストラリア、と3頭のダービー馬の父です。産駒のG1馬は枚挙に暇が無く、特に1000ギニー、2000ギニーといった短距離から中距離のレースで力を発揮している産駒が多いように感じられます。「現代競馬にフィットした血統」なのでしょう。
 その代表格がフランケルです。14戦14勝・G1を10勝という怪物フランケルの父であるガリレオの血統=父サドラーズウェルズ(ノーザンダンサーの直仔・大種牡馬)、母アーバンシー(1993年凱旋門賞馬、同年のジャパンカップにも出走。2009年英ダービー馬シーザスターズの母でもありますから、2頭の英ダービー馬の母)は、今後も欧州競馬の中で脈々と受け継がれていくのでしょう。

 続いては、2002年のハイシャパラル。
 13戦10勝ですが、残りの3走も2着1回、3着2回。デビュー戦の2着はともかくとして、2回の3着が3歳時と4歳時の凱旋門賞なのです。これに勝っていれば歴史的名馬と評されていたことでしょう。
 種牡馬としても、ソーユーシンクなどの強豪馬を輩出しています。

 続いては、2005年のモティベイター。
 G1勝ちは英ダービー1勝ですので、競走成績としてはやや物足りないのですが、種牡馬としては、我が国に知られるサラブレッドを送り出しました。あのトレブです。
 ご承知のように、トレブは2013年・2014年の凱旋門賞優勝馬であり、2013年のレースでは、我らがオルフェーヴルをゴール前差し切ったのです。
 牝馬ながらも、2013年には仏オークス、ヴェルメイユ賞、凱旋門賞のG1を3勝しての4戦4勝という好成績を残して、カルティエ賞年度代表馬・最優秀3歳牝馬のダブル受賞を果たしました。
 モティベイターは「女傑」の父なのです。

 続いては、2008年のニューアプローチ。
 11戦8勝、2着2回、3着1回ですが、この2着2回が英愛の2000ギニーなのです。共にヘンリーザナビゲーターに敗れました。ヘンリーザナビゲーターはマイル戦に滅法強い馬でした。ミルリーフとブリガディアジェラードではありませんが、強い馬が同世代と言うのは、時々見られることです。
 産駒のトーンアプローチが英2000ギニーを制していますから、ニューアプローチの夢は、その仔が達成してくれたのです。

 そして2009年のシーザスターズ。
 21世紀の英ダービー馬では最強かもしれません。
 9戦8勝ですが、敗れたのはデビュー戦(4着)のみ。その後は勝ち続け、英2000ギニーに勝利して以降はG1を6連勝しています。
 英ダービーに勝ち、英国際Sを制して、凱旋門賞も快勝(2着のユームザインに2馬身差)しました。3歳馬として、欧州中の古馬を相手にしての快進撃は高く評価され、2009年のカルティエ賞年度代表馬・最優秀3歳牡馬をダブル受賞したのです。
 種牡馬としても、2016年の英ダービー馬ハーザンドを出しています。「ダービー馬はダービー馬から」という原則?がここでも生きているのです。

 続いては、2012年のキャメロット。
 1970年のニジンスキー以来の「三冠馬」誕生かと期待され、セントレジャーステークスで惜しくも2着(勝ったエンキーと3/4馬身差)に敗れましたが、セントレジャーを回避するダービー馬が続いていた中で、果敢な挑戦は高く評価されました。
 デビューから5戦5勝で2000ギニーとダービー(2着に5馬身差)を制し、愛ダービーにも快勝した(2着に2馬身差)した時には、三冠への期待が膨らみました。
 一方で、3歳の凱旋門賞で7着に大敗して以降は、やや精彩を欠きました。

 最期は2015年のゴールデンホーン。
 9戦7勝、2着2回という素晴らしい戦績です。5連勝でダービーとエクリプスSのG1レースを連勝した時には、無敗の記録をどこまで伸ばすかが注目されましたが、続く英国際Sでよもやの2着となりました。3歳牝馬アラビアンクイーンにクビ差及ばなかったレースでしたが、生涯唯一のG1勝利を挙げたアラビアンクイーンの一世一代の走りだったのでしょう。(いずれにしても、前述のトレブもそうですが、国際大レースにおける3歳牝馬の活躍が続いているのです)
 初黒星を喫したゴールデンホーンでしたが、続く愛チャンピオンSに勝ち、凱旋門賞も快勝し、強さを証明してみせたのです。

 今回は、「ザ・ダービー」と呼んでよい英国ダービー、その21世紀の優勝馬を見てきました。さすがに「強いサラブレッド」が目白押しであったと感じます。

 そして、各馬の「通算レース回数の少なさ」も印象的でした。

 最も多く走ったハイシャパラルでも13走であり、16頭中13頭が10走以下なのです。
 レース体系の違いや、2~3歳時の使い方の違いもあるのでしょうが、「ダービー馬への敬意」も感じられます。
 「ダービー馬」という最高の栄誉を手にしたサラブレッドには、相応しいレースを選び、可能な限り万全のコンディションでレースに臨み、やや力が衰えたと観れば、引退させるといった「文化」が、イギリス競馬にはあるのかもしれません。

 もちろん、ダービー馬ともなれば種牡馬になるケースが大半なのでしょうから、早々に引退させてシンジケートを組むということも有るのでしょうが、必ずしも「良い血統」では無い馬でも、いつまでも走らせているケースは少ないと感じます。

 受け継がれていく「ダービー馬への敬意」こそが、ダービーステークスを発展させて行く最強の原動力なのでしょう。
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