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HOME   »   スキー  »  [スキー] ワックスの匂い
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 イタリア北部のバルディフィエメを会場として行われている、2013年世界ノルディック選手権大会の距離スキー競技では、ノルウェーチームの強さが際立っています。
 女子はビヨルゲン選手、男子はノートグ選手を中心とするノルウェーチームは、その地力、選手層の厚さといった点で圧倒的に優位に立ってゲームを進めています。

 私は、距離スキー競技におけるノルウェーチームの強さを目の当たりにして、チームスタッフの能力も上位にあるに違いないと思います。監督・コーチ陣はもちろんとして、ワックスチームも見事な対応を継続して行っているものと思います。

 「ワックス」は、スキー板の裏面、雪に接する面に塗布するものです。アルペンスキー、ノルディックスキーの、どちらのスキー板にもワックスが塗られています。

 ワックスは、競技が行われる時間帯の雪質に合わせて塗られます。乾いた雪か湿った雪か、柔らかい雪か固い雪か、雪面の温度は、といった様々な要素を考慮して、沢山の種類があるワックスの中から、適切なものを選択します。

 例えば、アルペンスキーの滑降競技ともなると、コース距離は3000m以上、高低差は1000mに達しますので、ワックスの塗布も複雑なものになります。スタート地点とゴール地点の気温差も大きく、雪質もコースの部分ごとに変化しますから、それに合わせてワックスを塗って行きます。
 まず、ゴール地点の雪質にマッチしたワックスを塗ります。続いて、ゴールまで600m地点の雪質に合わせたワックスを上から重ねて塗ります。続いて、ゴールまで1200m地点のワックスを上から重ねて塗ります。・・・・こうして、最後にスタート地点の雪質に合ったワックスを塗ります。おそらく、5層6層のワックスが塗られることになると思います。

 選手がスタートすると、雪面との接触により次第にワックスが剥がれて行きます。そして、順番に新しいワックスが現れてきて、ゴール前では最初に塗った、ゴール前の雪面用のワックスが現れることになります。

 そして、ワックスチームは、何通りものワックスを塗ったスキーを用意します。あらかじめコース各所の雪質を丹念に調査し、1本のスキーに対して5・6種類の最適と考えられるワックスを重ねて塗っておくのですが、それでも実際に滑ってみると、先に滑った選手から連絡が入ります。
 例えば「1000m地点から2000m地点の滑りが悪かった」といった報告です。ワックスチームは、この報告を受けて、あらかじめ用意してあった別のワックス・セットを塗ったスキーを、続く選手のために用意するのです。ひょっとすると用意しておいたスキーに最適なものが無く、大慌てで自チームの小屋の中で塗っているケースもあるかもしれません。

 先日のオーストリア・シュラートミングで行われた世界アルペン選手権大会では、アメリカチームのスキー板が良く滑っていたと思います。テッド・リグティ選手の三冠達成には、ワックスチームの力が大きく寄与していたのかもしれません。

 ワックスの塗り方ですが、私の経験(古いのですが)によれば、まずワックスが入っているチューブからスキー板の裏面に押し出します。そして、バーナーの火でワックスを温め、伸ばしていきます。平面に伸ばした後、へらなどの道具を使って薄く綺麗に整えます。ワックスの厚さは、0.1mm以下だと思います。これを、滑降競技ならば5・6層に重ねるのです。ワックスマンの腕の見せ所です。
 スキー板裏面の雪面に強くあたる部分は厚めに、あまり当たらない部分は薄めに塗るなど、極めて高度な塗布技術が必要な作業です。コースや選手によっては、左右のスキー板の塗り方が、異なる場合もあるのではないでしょうか。

 ノルディックスキーでも、ワックスを塗るのは同様です。もちろん、アルペンスキーのワックスとは種類が違います。
 ワックスは、大半の場合「スキーを良く滑らせるために」塗るのですが、ノルディック距離競技のクラシカル競技のスキー板だけは「止めるため」のワックスを塗るのです。選手のスキー靴の真下あたりに塗るのです。クラシカル走法は、スキーを平行にしたまま滑りますから、上り斜面ではスキー板が下に滑ってしまいます。これをワックスで防ぐのです。

 大昔の漁師などが冬行っていた山スキー用のスキー板では、スキー靴の真下の部分に「アザラシの毛皮」などを貼付していたそうです。アザラシの毛が後ろ向きに流れる方向で貼り付けるわけです。そうすると、下り斜面を滑る時には、毛が邪魔にならず、上る時には毛が雪を捕まえる形です。
 この動物の毛皮の代わりになるのが「止めるワックス」ということになります。

 当然のことですが、ノルディックスキー板のワックスも、気温・雪面温度、雪面の状況や競技の距離などに合わせて、選択し塗っていくことになります。
 また、5㎞の競技と50㎞の競技ではワックスの厚さが異なりますし、50㎞競走などの長距離走であれば、競技開始時刻と競技終了時刻の雪面の変化も考慮しなくてはなりません。(開始時刻もスタート順により、相当異なります)こちらも、アルペンスキー競技と同様に、極めて繊細な作業が要求されるのです。

 私は、中学生の頃、陸上競技の短距離走をやっていましたが、住んでいたのが豪雪地域でもありましたので、冬の練習は体育館の中か、屋外での距離スキーになります。天気の良い日は、主に距離スキー(当時は、クラシカル走法しかありませんでした)で練習するわけですが、練習前にあの細いノルディック距離スキー用のスキー板にワックスを塗ります。もちろんワックスマンなど居ませんから、自分で塗るのです。
 世界選手権で使用されているワックスとは比べるべくもない汎用品ですが、それでも塗ると、雪が良く捕まります。焦げ茶色したドロッとしたワックスをバーナーで温めて塗って行きますが、独特の匂いがします。

 校庭横にある小屋の中で作業するのです。冬の放課後、練習のためにその小屋に入ると、必ずあの匂いがします。私の冬の練習は、あの匂いと共にありました。

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