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HOME   »   競馬  »  [競馬コラム40] 中山牝馬ステークスとスカーレットブーケ
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 中山牝馬ステークスは、1983年・昭和58年に、4歳以上の牝馬限定ハンディキャップ重賞競走として、創設されました。施行距離は、第一回から1800mでした。比較的新しい重賞競走です。1984年のグレード制導入に向けて、中央競馬会は番組編成の見直しを進めていた時期ですので、その一環であったのだろうと思います。

 新しい重賞競走とはいえ、古馬牝馬限定のレースは少ないので、貴重なレースと言えます。加えて、ハンデ戦ですから、実績十分の古馬牝馬は酷量を嫌って回避することが多いので、「中堅の古馬牝馬」にとっては、本当に貴重な重賞競走と言えます。

 そして、2006年には古馬牝馬限定の春のG1競走であるヴィクトリアマイルが新設されましたから、中山牝馬ステークスはこのG1レースの前哨戦としての役割も具備したのです。また、中山競馬場と友好関係にあるアメリカ・ローレル競馬場から優勝杯が寄贈されていますので、このレースの正式名称は「ローレル競馬場杯中山牝馬ステークス」です。

 こうした歴史を持つレースですから、勝ち馬はバラエティに富んでいますが、本稿で採り上げるのは、1992年・第10回の優勝馬スカーレットブーケです。

 スカーレットブーケ号、父ノーザンテースト、母スカーレットインク、母の父クリムゾンサタン、生涯成績21戦6勝。

 1990年7月札幌でデビュー、2着に5馬身差を付けて快勝しました。2戦目のG3札幌3歳ステークスも5番人気ながら優勝して、一躍クラシック候補に名を連ねました。続く重賞2戦は、ソエが出た影響もあってか勝てませんでしたが、明けて3歳緒戦のG3クイーンカップは3馬身差をつけて快勝、続くG3チューリップステークスは、後の桜花賞馬シスタートウショウの2着と敗れるものの、完全に3歳牝馬トップクラスの地位を確保しました。

 しかし、G1桜花賞4着、G1オークス5着、エリザベス女王杯3着と健闘するも、勝てないレースが続きました。スカーレットブーケは、3歳時重賞ばかり9戦も走りました。そして、1着は前述のクイーンカップ1つ、2着3回、3着3回、4着1回、5着1回と、とても堅実な成績を残しています。3歳時、重賞を9戦する牝馬は滅多に居ません。スカーレットブーケが、競走能力が高いことはもちろんとして、丈夫で故障が少ない馬であることを示していると思います。

 古馬となった4歳緒戦の洛陽ステークス(オープン競走)で12着と久しぶりの大敗を喫したスカーレットブーケですが、続くG3京都牝馬特別を優勝して重賞3勝目。そして、次に選んだのが中山牝馬ステークスだったのです。

 トップハンデ57㎏を背負ったスカーレットブーケでしたが、力の差を見せて2着のユーセイフェアリーに2と1/2差をつけて快勝しました。これで重賞4勝目。スカーレットは、4歳時も8戦を走っています。12月の中山でオープン競走のターコイズステークスを勝って、現役を引退しました。450㎏前後の綺麗な栗毛の馬体で、2~4歳時に21戦(内重賞18戦)を走り切ったスカーレットブーケは、稀に見る健脚の牝馬であったと思います。
 そして、繁殖牝馬となるべく生まれ故郷の社台ファームに帰ったのです。

 スカーレットブーケには、ここからもうひとつの物語があります。繁殖牝馬として、素晴らしい成績を残したのです。

 初仔のスカーレットメール号(父トニービン)は13戦1勝でしたが、G3チューリップ賞2着の成績を残しました。第二子ヴィノロッソ号(父トニービン)は、重賞競走では目立った成績は残せませんでしたし、主に地方競馬で走ったのですが、110戦4勝でした。110戦も走ったのです。繁殖牝馬の評価の重要なポイントに「丈夫な馬を生む」ことがありますが、スカーレットブーケは完全な合格と言えます。

 第三子、第四子はサンデーサイレンスとの配合でした。2頭共、堅実に走り、きちんとした成績を残しました。18戦5勝だった第三子のスリリングサンデー号は、種牡馬になっています。

 そして、同じくサンデーサイレンスを父とした第五子が、ダイワルージュ号でした。ダイワルージュはG3新潟3歳ステークスに優勝し、G1桜花賞3着の成績を残しました。スカーレットブーケの仔として、初めての中央競馬重賞勝ち馬となったのです。

 続いて第七子にダイワメジャー号(父サンデーサイレンス)が生まれました。ダイワメジャーは、ご存じのように皐月賞、天皇賞(秋)、安田記念、マイルCSを2回とG1を5勝しました。

 さらに第十子はダイワスカーレット号(父アグネスタキオン)です。ダイワスカーレットは、桜花賞、秋華賞、エリザベス女王杯、有馬記念とG1を4勝しました。

 これで、産駒のG1勝利数が9勝となり、中央競馬史上最高記録を更新したのです。

 この産駒達の大活躍も見事の一語ですが、私が感心するのは、1994年に初仔を設けてから、2008年までの間、2000年と2006年を除いて毎年仔を生んでいるということ、つまり仔出しが極めて良いということと、この間の産駒13頭の全てが中央競馬のレースに出走しているということです。
 10頭以上の仔を生んで、その産駒全てが、レースに出走しているというのは、滅多にない大記録だと思います。私は他には知りません。競走馬時代にも見られた「スカーレットブーケの健康で丈夫な体」が、この偉業を可能にしたのだろうと考えます。

 現役時代に重賞4勝、母としては産駒がG1を9勝というスカーレットブーケ号は、ある意味では、日本競馬史上最高の牝馬ということもできます。
 そして、ダイワメジャーが種牡馬として大活躍しています。加えて、ダイワスカーレットを始めとする複数の直仔繁殖牝馬達が、スカーレットブーケの血統を脈々と受け継いでいってくれるものと確信しています。

 丈夫な体が自慢のスカーレットブーケですから、25歳となった現在も健在を伝えられています。
 たまには、沢山の子供達や孫達と集まりたいと考えているのかもしれません。
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第10回中山牝馬ステークス優勝スカーレットブーケ  
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