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HOME   »   陸上競技  »  [陸上日本選手権2017] 素晴らしいレース 男子100m
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 役者が揃ったレースでした。

 スタートラインに並んだスプリンター達の「絵」が素晴らしい。

 これほど「輪郭」がしっかりしたランナーが数多く顔を合わせたレースは、日本陸上競技史上初めてだったのではないでしょうか。
 日本男子100m種目のレベルアップを如実に示しています。

 今大会好調のサニブラウン選手と、他の強豪選手がどのような戦いを魅せてくれるのかと観ていましたが、サニブラウン選手が「勢い」で押し切りました。
 
 この日は200mのレースも走っていて、その疲労残りを懸念する声もありましたが、コンディションが整った伸び盛りのアスリートが、少々の疲労には全く影響されることが無く、圧勝するする姿は、洋の東西を問わず、競技・種目を問わず、これまでも再三目にしてきたものです。

 サニブラウン選手は、前日の準決勝を1位で通過した後のインタビューで「決勝が待ち遠しい」とコメントしていました。
 「今すぐにでも走りたい」という感じ。

 陸上の日本選手権大会の決勝を前にして、全く怯むことなく、余計なことを考えることも無く、「楽しみだ」という心持でいる状態。この状態こそが、今大会のサニブラウン選手の強さを示しています。

 相当強い雨が降りしきる中での10秒05のタイムもハイレベル。

 風等の気象条件に恵まれれば、今すぐに9秒台、それも9秒9台の前半を叩き出す実力が備わっていると観るのが、客観的な判断でしょう。いつでも10秒0台で走ることが出来るケンブリッジ飛鳥選手や桐生祥秀選手が、10秒18、10秒26を要したレースで、10秒05で走っているのですから。
 サニブラウン・アブデルハキーム選手は、本当に強くなったのです。

 その走りの特徴は「柔軟性」にあると感じます。関節・筋肉、そして走り全体が伸びやかで、駆動域が大きいのです。そのフォームから、他の選手を凌ぐストライドが生れているのでしょう。天性の走りであると思います。

 さて、日本男子陸上100メートル史上「最高」のレースを戦った、他の選手に付いても見てみましょう。

 10秒16のタイムで2位に食い込んだ多田修平選手も見事な走りでした。
 得意のスタートでリードを奪い、50mを過ぎてもスピードを維持して、ケンブリッジ選手らの追込みを凌いだのですから、決して「スタートだけのランナー」ではありません。
 多田選手の特徴である「切れ味」に磨きをかければ、まだまだ伸びしろがあります。
 何しろ、追い風の下とはいえ9秒94で走る能力が有ることは証明されているのですから。9秒台で走るには、9秒台で走る体躯を備えていなければなりません。その体躯が備わっていなければ、追い風を受けても「バランスを崩す」だけでしょう。
 多田選手は、追い風に代わる筋力・俊敏性・フォーム対応を実現出来れば、9秒94で走ることが出来ることが、既に分かっているのですから、今後のトレーニングの方向性も明確です。

 10秒18のタイムで3位に入ったケンブリッジ飛鳥選手は、相当良いコンディションで今大会に臨んできたと思います。そして、準決勝まで良いパフォーマンスを示していました。10秒08、10秒10のタイムで決勝に進出したのです。
 ケンブリッジ選手の特徴である「体幹のブレない加速」が、20mから60mまでは機能していました。
 しかし、準決勝の残り20m、決勝の残り30mでは「固くなり」、伸びやかな走りが陰を潜めました。要因はいろいろあるのでしょうが、精神的なものが走りに出た様な気がします。
 その部分を楽に走った予選4組でのタイムが最も良かったのも、こうした理由からではないでしょうか。
 いずれにしても、70mから100mまでの30mをリラックスして走ることが出来れば、十分に9秒台は出るのでしょう。世界選手権での走りに期待がかかります。
 
 桐生祥秀選手と山縣亮太選手は、その力を発揮することなく敗れました。

 現在の男子100mの活況を牽引してきた2人が完敗するという事実を観るだけで、現在の日本男子100m陣のレベルの高さが分かります。
 かつてのレベルであれば、この2人は、各大会によってコンディションによるタイムの違いはあっても、優勝あるいは2位のポジションを外すなどということは考えられなかったのです。

 故障からの回復途上にあった山縣選手は、決勝では5位であろうと予想していました。致し方の無いところです。(その山縣選手を抑えて、川上拓也選手が5位に食い込みました。本当に選手層が厚くなったと実感します)

 一方で、相応のコンディションで大会を迎えたであろう桐生選手が結果を残せなかったのは、意外でした。

 桐生選手の特徴である、30mから70mまでのスムースな加速が機能しなかったのです。
 桐生選手のランニングは、極めて精緻なものだと感じていますので、どこかひとつの要素が不十分だったのでしょう。「精密機械」のようなランニングの、何が良くなかったのかは分かりません。
 足を地面に着く角度が1~2度違っていたのか、腰の位置が1~2cm低かったのか、あるいは1~2cm後ろに位置していたのか、顎が数cm上がっていたのか、太腿の引上げが少し高かったのか、原因はいくつか考えられますが、桐生選手とスタッフの皆さんに原因を見つけていただき、対処してもらいたいと思います。
 何しろ、10秒01という、現役の日本男子スプリンターの中で最も早い公式タイム保持し、アメリカでは追い風の中9秒台で走っているのですから、高い実力が有ることは証明されています。現時点でも、「ベストの走り」が出来れば、日本で一番速いランナーであろうと思いますので、「修正」が待たれるところです。

 7位の高橋周治選手や8位の九鬼巧選手、そして予選3組で3位だった田中佑典選手、同5組で3位だった平尾裕希選手、4位だった宮本大輔選手、同6組で2位だった魚里勇介選手、等々、日本男子100mには数多くのスプリンターが、虎視眈々と覇権を目指しています。
 多田選手の活躍を観れば、いつ何時、どんな凄いランナーが飛び出してくるのか解らない状況と言って良いでしょう。

 2017年6月24日、大阪・長居スタジアムで行われた、第101回日本陸上競技選手権大会の男子100m決勝は、素晴らしいレースでした。
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