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HOME   »   競馬  »  [競馬コラム41] スプリングステークスと1970年の2強対決
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 1952年・昭和27年に、皐月賞の前哨戦、3歳牡馬・牝馬限定レースとして創設されたのがスプリングステークスです。東京競馬場の1800mレースでした。いつも書きますが、昭和20年代に創設された重賞競走は、中央競馬会肝煎りのレースということです。
 もちろん、現在の皐月賞トライアルの中では、最も歴史の古いレースでもあります。

 1958年・昭和33年からは皐月賞トライアルレースとなり、中山競馬場1700mで施行されるようになりました。1960年に施行距離が現在と同じ1800mに変更され、1964年にフジテレビジョン社から優勝杯の寄贈を受け、レース名がフジテレビ賞スプリングステークスに変更されました。現在のスペックとなったのです。

 そして、1984年のグレード制導入に際してG2に格付けされました。スプリングステークスSは、創設以来常にNO.1の皐月賞トライアルレースでしたから、その優勝馬・出走馬には、優駿がズラリと並びます。私の中ではG2はおろか、普通のG1(?変な言い方ですが)を超える格式を備えているレースです。

 優勝馬の中には、1964年のシンザン、1994年のナリタブライアン、2011年のオルフェーヴルの3頭の三冠馬が居ます。
 そして、1960年のコダマを皮切りに、メイズイ、タニノムーティエ、キタノカチドキ、ミホノブルボン、メイショウサムソンらの二冠馬が居ます。
 どの馬のスプリングSも一稿に相当するものですが、本稿では、1970年のこのレースの主役アローエクスプレスとタニノムーティエの2強対決を採り上げたいと思います。

 中央競馬の歴史上には、何組もの2強が存在しますが、2強以外の馬達との力量差が大きかったという意味で、このアローエクスプレスとタニノムーティエの2強は、屈指のものでした。とにかく、同世代の他の馬達とは桁違いの強さを誇る2頭でした。

 アローエクスプレス号、父スパニッシュエクスプレス、母ソーダストリーム、生涯成績14戦7勝。当時の世界的名血グレイソブリンの直仔である父とアガ・ハーン3世の生産馬を母に持つ、日本競馬界における新しい良血馬でしたので、デビュー前から注目されていた馬でした。

 1969年、2歳の9月に中山1000mの新馬戦を58秒9のレコードタイム(日本レコードタイ記録)で快勝したアローは、以降京成杯3歳ステークスを始めとして4連勝。朝日杯3歳ステークス(現在のG1朝日杯FS)もレコードタイムで圧勝し、この年の最優秀3歳牡馬(現在の2歳)に選定されました。中央競馬史上最強馬ではないか、との報道がなされるほどの強さであったと思います。
 明けて3歳の1月に京成杯は、苦戦しましたが勝ち切って6連勝。無敗のアロー陣営が、次に選んだのがスプリングSでした。

 タニノムーティエ号、父ムーティエ、母タニノチエリ、生涯成績18戦12勝。

 1969年7月にデビューすると、2歳時の6か月間で9戦を戦い7勝。当時でも無茶なローテーションと言われましたが、現在では考えられない使われ方です。7勝の中には、デイリー杯3歳ステークスと当時の関西2歳馬最大のレースであった阪神3歳ステークスの優勝が含まれていて、2歳時だけで賞金獲得1億円突破の新記録も樹立しています。
 明けて3歳、ムーティエは、きさらぎ賞、弥生賞を圧勝して、11戦9勝、既に重賞4勝という実績を引っ提げて、スプリングSに出走することとなりました。

 6戦全勝の関東馬アローエクスプレスと、11戦9勝の関西馬タニノムーティエの対決は、東西代表馬対決ということもあり、大変な注目を集めました。鹿毛とはいっても、黒鹿毛に近く、大型の馬体を誇るアローと、明るい栗毛に大流星、筋肉質でしまった馬体のムーティエは、見た目も対照的でしたから、対決ムードは一層高まりました。

 この1970年・第19回のレースは、アローエクスプレスが2・3番手の好位置、ムーティエは後方待機という、両馬にとって得意な形で進み、中山競馬場の4コーナーを迎えます。直線に出て直ぐにアローが先頭に立ち、馬場の中ほどを走ります。そこに、外からムーティエが追い上げ並びかけます。ムーティエがアローを交わしたところがゴールでした。
 3着馬とは5馬身以上の差があったと記憶しています。短い310mの中山の直線だけで5馬身以上の差をつけるのですから、この2頭の力は完全に他を圧していたことが分かります。
 現在は、過去のレースを観るには良い時代です。是非、インターネット等で、この1970年のスプリングSをご覧いただきたいと思います。着差以上の、2頭の能力の高さがお解りいただけると思います。

 アローエクスプレスとタニノムーティエについては、今後も書くことがあると思いますので、その後の2頭に付いての詳細は別稿に譲りますが、概要のみ記載します。

 この後、ムーティエは皐月賞・日本ダービーを制して二冠馬となりました。一方のアローは、当時はダービートライアルレースであったNHK杯に優勝したこと以外には、目立った競走成績はありませんが、種牡馬となってからは、テイタニア(桜花賞、オークスに優勝)、リーゼングロス(桜花賞)、ノアノハコブネ(オークス)の父となり、1980年と81年の全日本リーディングサイアーとなるなど、内国産種牡馬の代表格となりました。

 太平洋戦争終戦後、昭和20年代に再開された中央競馬は、昭和30年代のコダマ、キーストン、メイズイなどの活躍により市民権を得、1964年・昭和39年三冠馬シンザンの誕生によりメジャーなスポーツとしての地位を固めつつありましたが、まだまだギャンブルとしての色合いが強かったと思います。

 そして昭和40年代、日本経済の高度成長期を迎え、このアローエクスプレスとタニノムーティエの登場・対決が、競馬マスコミだけではなく、一般マスコミに大きく報道されるに到って、初めて競馬が大衆娯楽・スポーツの一部に採り上げられるようになったものと感じています。
 この流れが、1973年・昭和48年のハイセイコー登場により、一気に爆発したのでしょう。

 この観点から、1970年3月22日の第19回スプリングステークスは、我が国の中央競馬の歴史にとって、エポックとなるレースだったと思います。素晴らしいレースでした。
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