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HOME   »   MLB  »  [MLB2017] 投球の回転数、打球の初速・角度
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 NHK-BS放送では、今シーズンからピッチャーの投ずるボールの回転数や、バッターの放つ打球の初速や角度を測定する仕組み、「スタットキャスト」と称している映像解析システムを導入し、放送の中でデータを紹介しています。

 プレーの結果を数値化することで、新しい視点を提供しているのです。

① 投球の回転数

 MLBの各投手のストレート、ツーシーム、スライダー、チェンジアップ、スピリットといった各球種の平均回転数(/分)を示し、放送している試合で投げている投手の回転数と比較したりします。

 「MLBの平均は2300回転ですが、この投手は2500回転です。」といったアナウンスが流れるのです。

 時々感じるのは、「回転数が多い方が良い」といったニュアンスの放送が行われることです。「先ほどのスライダーは2300回転でしたが、今の投球は2600回転と上がりました」「平均より相当多い回転数です」といった具合。

 当たり前のことを書いて恐縮ですが、「回転数が多ければ良い」といったことは無いわけですから、「回転数が上がりました」といったアナウンスが、やや興奮気味に行われるというのは、ピントがずれています。

 投球の回転数は、投手毎のフォームや体格によって様々なのですし、球種によって適した回転数も異なるのでしょうから。例えば、スプリットは回転数が少ない方がよく落ちそうです。

 一方で、「何回転なら相手打者を抑えられる」といった、絶対値としての物差が出来上がることも、現状では期待できないと思います。投手毎に体躯や筋力が異なる以上は、それぞれのピッチャーは自らに合った投球を指向し練習するのでしょうから。

 また、「自分のスライダーは、いつもは2200回転なのに、今日は2300回転だから、調子が悪い(あるいは良い)」といった判断材料に、ピッチャーが使うということも、少なそうです。
 MLBのマウンドに立つことが出来る程のピッチャーは、自らの調子の良し悪しは、何球か投げてみれば自分で分かるでしょうし、投球を受けるキャッチャーやコーチも、その投手の調子を掴むのに、回転数を必要とはしないでしょう。

 投球の回転数というのは、「結果」として観るものなのでしょうが、その意味からも、今のところ「新しい発見」に結び付くような傾向は、見つかってはいない様に思います。

② 打球の初速・角度

 どんな打球でも適用できるのでしょうが、主にホームランについて解析が行われているように見えます。

 初速158km/時以上、角度30度前後の打球が、ホームランになり易いと言った説明もされています。

 この分析も、プレーヤーにとっては「結果」に過ぎず、自らのプレーの向上などに活かしていくのは、難しいことの様に見えます。

 再び当たり前のことで恐縮ですが、初速158km・角度30度の打球を狙って打って行く打者は居ないでしょう。そんな難しいことを考えていては、プレーは出来ません。
 打者は、タイミングを合わせて、強い打球を打って行こうとするだけです。

 打者毎に、身長や体重、筋力等が異なるわけですから、スイングプレーンやバットを振る速度が異なるわけですし、相手投手の体格等によって投球の角度やスピードが異なりますし、球種によってもホームベース上の投球の軌道も異なりますから、打球の初速158km・角度30度を実現しようとすれば、「変数」がとても多くなります。
 やはり、タイミングを合わせて強く振って行くことになりそうです。

 もちろん、180km以上の初速を実現できる筋力やスピードを保持する打者なら、打球角度は15度位でもホームランを打つことが出来るでしょう。マーリンズのスタントン選手などは、大袈裟に言えば「水平に見える打球でもホームラン」、実際には角度5度位の打球でもスタンドまで運ぶことが出来ます。

 ここまで観てきましたが、少なくとも現時点では、投球の回転数や打球の初速・角度といったデータから、新しいトレーニング方法やゲームにおける戦術が生れているようには見えません。

 いまのところは「単なる結果論」に過ぎないように見えます。
 そして「結果論」としての観戦する側のツールという面からも、効果的で興味深い物差が生れているようにも見えません。

 とはいえ、今季からの新しい取組ですから、今後何か大きな発見に結び付く可能性はあるのでしょう。

 「データ分析が大好き」なアメリカにおいて、この仕組みから思いもよらぬ「物差」が生れ、ベースボールにおける新しい取組方法が構築されることを期待しています。
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