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HOME   »   サッカー  »  [伝説のプレーヤー12] 「イングランド銀行」と呼ばれたGKゴードン・バンクス
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 バンク・オブ・グレートブリテン=イングランド銀行は、世界最古の銀行です。
 そして、イングランドの人々にとっては、「最も安全なもの」の象徴でもあります。

 サッカー選手、そのゴールキーパーGKにおいて、イングランドの人々から「イングランド銀行」と呼ばれたのが、ゴードン・バンクス選手です。
 その名前「バンクス」との関係からも名付けられたものだとは思いますが、バンクス選手の齎す絶対的な安心感が、尊称の礎であることは間違いありません。

 バンクス選手は、1960年代から70年代にかけて、世界で最も有名なGKではなかったかと思います。
 1966年のワールドカップ・イングランド大会や1970年のメキシコ大会において、バンクス選手は「目の覚めるようなプレー」「一度見たら一生忘れられないようなプレー」を披露してくれたのです。
 イングランド国内でのプレーも見事なものでしたが、ワールドカップにおける「ビッグマッチ」で、いつもにも増して輝くプレーを魅せるタイプであったと思います。

 私が世界のサッカーを見始めた頃、世界で最も活躍するGKでしたから、私にとっては「GKの重要性」を最初に深く認識させてくれたプレーヤーでもありました。

 GKには「ポジション型」と「反応型」があると考えています。
 バックス陣との連携も含めて、相手プレーヤーのシュートの方向・ゾーンを限定しながら、効果的なポジショニングでゴールを守るタイプが「ポジション型」。自らの優れた反射神経でボールをキャッチしたり、弾きだしたりするのが「反応型」。

 もちろん、世界レベルのGKはポジション型と反応型の両方の要素を身に付けていることは言うまでもありませんが、概ねどちらかの能力の方が勝っていることが多いと感じます。

 「反応型」のGKには「当たっている日」が生まれます。特定のゲームでファインセーブを連発したりするのです。

 一方で「ポジション型」のGKは安定したプレーを披露します。ポジション型のGKを相手にしたプレーヤーは「このキーパーの時は、いつもシュートを打つエリアが小さい」と感じることでしょう。
 ポジショニングの能力は、「予測能力」とも深い関係があります。それは10cm単位で変化するものだと考えます。10cm右か左かで、ゴール確率が大きく変化するのです。(10cmの違いでゴールインしなかったシュートは数知れません)

 さて、ゴードン・バンクス選手はというと、「両方の能力を最大限に具備するプレーヤー」でした。
 ポジショニングも上手く、反応も抜群だったのです。

 1970年のワールドカップ・メキシコ大会のグループリーグGL第3組、イングランドチームとブラジルチームは同じ組に入りました。
 1966年大会の優勝チーム・イングランドと、史上最強とも呼ばれたブラジルチームがGLでまみえたのです。
 各々のチームにとっての2試合目でした。

 この試合でとても有名なシーンが生まれたのです。
 ジャイルジーニョ選手からのパスをペレ選手がヘディングシュート、ヘディングシュートの教科書に載るような見事なシュート、イングランドゴールラインに叩き付けるような鋭いシュートを打ちました。
 誰もが「決まった」と思った刹那、バンクス選手が弾き出していたのです。

 バンクス選手は、決してシュートの側に居たわけではありませんでしたから、どうやって止めたのか、全く想像もつかない、凄まじいプレーでした。
 VTRで改めて観ると、バンクス選手が物凄いスピードで体を下げて止めています。

 「あの鋭い、スピード・威力十分なシュート」、サッカーの神様ペレ選手の会心のシュートが止められたのです。
 世界サッカー史上指折りのセーブでしょう。

 ペレ選手は後に「私が見た中で最高のセーブ」と称賛していたと伝えられました。

 あのセービングは、予測していなければ不可能だと思いますが、シュートの打ち手がペレ選手となると予測は極めて困難です。
 そうするとペレ選手が打った瞬間からバンクス選手が反応した・動き出したことになるのですが、その俊敏性・体が動くスピードは尋常ではありません。
 ペレ選手のシュートがスローモーションで、バンクス選手のセービングが普通の速度、という位の差が無いと、とても追い付けない感じなのです。

 いま思い出しても「不思議な」感じがします。

 ゴードン・バンクス選手は1963年から72年にかけてイングランド代表を務めました。
 世界の一流GKとしては「9年間の代表歴」は決して長い方では無く、むしろ短いものでしょう。
 1972年10月、バンクス選手は交通事故で右目を失明してしまったのです。
 悲劇でした。
 この事故が無かりせば、当時34歳だったバンクス選手は、あと5年から10年は代表としてプレーできたと思います。世界のサッカー地図を変えた可能性も十分有ります。本当に惜しいことです。

 ゴールキーパーを「サッカーゲームの主役」に成り得る存在に引き上げたプレーヤーが、ゴードン・バンクスだったのです。
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