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HOME   »   スキー  »  [スキージャンプ] プレー前から得点できる競技?
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 スキージャンプ競技については、本ブログでも採り上げてきました。特に、風の影響についてや「ウインド・ファクター」については何度も書いて来ました。一言でいえば「風は、あまり気にすべきではない」「ウインド・ファクター制度は、スキージャンプ競技に悪影響を与えるので廃止すべき」という意見です。

 そして今回は、スタートゲートに関する稿です。今2013年イタリアのバルディフィエメで開催されたノルディックスキー世界選手権大会から始まった制度なのか、今シーズンから始まったのかは知りませんし、正確な名称も知らないのですが、ここでは「ゲート・ポイント」と呼ぶことにする制度がテーマです。

 この世界選手権大会のジャンプ競技を観ていると「オーストリアチームが、ゲートを下げてきました。2つ下げましたので、選手に6.7点が加算されます」といった放送が流れてきました。最初は何のことか分からなかったのですが、しばらくして、どうやら選手が自らスタートゲートを下げる(=アプローチの長さを短くする)と、得点が加算される制度の様です。
 とんでもない制度を導入したものだというのが、第一印象でした。

 スキージャンプ競技は、アプローチを滑ることにより得られる「前方への運動エネルギー」と、「踏切時の上方へ飛び出そうとする筋力による運動エネルギー」の二つしか、エネルギーを生み出す場はないと、以前の稿に記載しました。
 その二つのエネルギーの内、アプローチを滑ることによるエネルギーの大きさは、同じシャンツェ(ジャンプ台)であれば、滑る距離に概ね比例しますから、自らスタートゲートを下げる(滑る距離を短くする)代わりに、得点が貰えるという制度なのでしょう。

 この大会のラージヒル競技では、オーストリアのモルゲンシュテルン選手やシュリーツェンファウラー選手といった世界一流のジャンパーまでがこの制度を利用し、ゲートを下げて得点していました。おそらく、オーストリアチームは2本目の競技が始まる前に、ゲート・ポイント制度を利用することを決めていたのだろうと思います。
 選手の立場からすれば、スタートゲートに座る直前にゲート位置が下げられるのは、精神面も含めて対応が非常に難しいものだと思うからです。踏切時の滑走速度が、時速90㎞か89㎞なのかによって、ジャンプ全体の形は変化するものですので。

 私は、この「ゲート・ポイント」制度は、いただけないものだと思います。理由は、

① スポーツ競技の成績は、プレーにより決まるべきであること
オリンピック競技になるようなメジャースポーツにおいて、プレーする前に得点が入る競技は、現在のスキージャンプ競技以外には無いと思います。プレー前に得点できる競技などというものは、スポーツの本質に反するものです。

② 観客に分かりにくいこと
選手によってアプローチの長さが異なり、飛距離の長短と成績の関係が複雑になってしまい、観客にとって分かりにくい競技になってしまいます。例えば、130mのジャンプと127mのジャンプで、両方とも転倒が無くテレマーク姿勢が取れていれば、観客は130mを飛んだジャンパーの勝ちだと思います。
 ところが成績を観ると127mの選手が上位というのでは、観客は納得できませんし、こうしたことが何回も続くようなら「なんだか、変な競技だな。何を競っているのか分からない」と感じるようになるでしょう。スキージャンプ競技の将来にとって、良いこととは思えません。

 スキージャンプ競技のレギュレーションを決める機関のことについて、私は知りませんが、最近のこの機関の見直し内容は「滅茶苦茶」であると思います。
 現代スポーツは、良かれ悪しかれ「観客」を無視しては成立しません。テレビ放送権料や競技場の入場料収入は、各競技団体にとって貴重な収入ですし、より多くの観客に入場していただき、より高い視聴率を稼ぐことが、各競技団体にとって重要なテーマでしょう。何しろ、メジャーなスポーツの運営・維持には、多額の資金が必要なのですから。

 一方で「ウインド・ファクター」や「ゲート・ポイント」という制度は、観客を考慮して導入されたとは、とても思えない代物です。どちらかというと選手というか、各国のジャンプチームに配慮した制度に見えます。それも、弱い選手・チームでも、それなりの好成績を残したいという声に応えているような感じです。

 しかし、選手に配慮したように見える制度も、実は逆の影響を生んでいるように思います。よく考え、ハードなトレーニングを積み重ねて強くなっても、試合では訳の分からない制度によって、訳の分からない結果になるというのでは、選手もヤル気が起きないでしょう。

 まず「スキージャンプ競技とは何か」をよくよく検討し、その本質を具現できるようなレギュレーションを確立していくべきです。

 私は、スキージャンプ競技とは「飛距離を競う競技」であると考えます。飛形は、飛距離を伸ばすことを実現できるという点から、採点されるべきだと思います。テレマーク姿勢や転倒については、従来通りの扱いで良いと思います。「飛距離を競う競技」は、観客にとって極めて分かりやすいものですし、選手の技術面・肉体面でも、目標とするに最も明快な基準となります。飛距離を出すこと一点に絞り込んだトレーニングや技術論は、最も深く精緻なものとなるでしょう。

 観客からも、選手からも、支持されないスポーツに明日はありません。
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