HOME   »   スケート  »  [平昌五輪2018フィギュアスケート女子シングル] 史上最高の接戦
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 金メダルのザギトワ選手と銀メダルのメドベージェア選手のフリー演技の得点は、156.65で同点でした。

 驚きました。
 こんなことが起こるとは・・・。

 現在の採点方法では、まず考えられないことです。

 今季シニアにデビューしたばかりのザギトワ選手に比べて、既に「世界の女王」として君臨し、様々な大会で圧倒的な強さを魅せているメドベージェア選手の方が、いわゆる「演技の完成度」という点で上回っているのは自然なことですから、演技構成点ではメドベージェア77.47、ザギトワ75.03と2点以上の差が有ったのです。

 この2点以上の差を、ザギトワ選手は技術点でカバーした訳ですが、カバーすると言っても、相手は世界女王ですからミスを期待するのは適切では無かったので、基礎点が1.1倍になるというルールを活かして、「ジャンプを全て後半に集中する」という戦術を採ったのでしょう。

 もちろん、1.1倍の得点を狙ってジャンプを全て後半に集めたとしても、自らがジャンプでミスをしてしまえば元も子もない(当然ながら、ジャンプを集中・連続して飛ぶのですから、肉体的な疲労蓄積や、精神的に追い込まれることになりますから、演技全体にバランス良くジャンプを散りばめる構成より難易度が高いことになります)のですが、ザギトワ選手は、最初のジャンプ=トリプルルッツからの連続ジャンプがルッツ単独に終わってしまったにもかかわらず、後のジャンプを連続にするなどして、表だったミスは皆無でした。
 ここが素晴らしいところです。

 一方のメドベージェア選手も、小さなミスはありましたが、演技全体の印象に大きな影響を与えるものではありませんでした。世界女王としても「ほぼ完璧な演技」を完成させたのです。

 彼我の技術点は、ザギトワ選手が81.62、メドベージェア選手が79.18となりました。

 そして、フリーの合計点が「156.65で同点」となったのです。

 演技構成点は、5つの項目に対して10点満点で「下二桁」まである得点(このレベルでは9.50点前後)が配され、技術点は、概ね12の演目に対して、基礎点と出来栄え点が配されますから、項目数は24となり、こちらも「下一桁・下二桁」の配点です。
 採点対象項目数は、計29です。

 二人が「異なる戦略・戦術」、技術点重視と演技構成点重視の戦術を駆使し、合計29もの採点項目で争いながら、合計して下二桁まで同点というのは、どのくらいの確率で発生するのか分かりませんが、まさに「奇跡的なこと」でしょう。

 そして、その接戦が「世界女子フィギュア史上最高の得点水準」なのですから、まさに今大会の女子フィギュア・シングルは「史上最高の接戦」だったことは間違いありません。

 結局勝負は、ショートプログラムの「1.13点差」で決しました。
 オリンピックのこの種目の得点差としても、史上最少なのではないかと思います。

 15歳のザギトワ選手は、初出場どころか、シニアデビュー1.年未満という、いわゆる「経験値」面では全く不十分な状況で、史上最強クラスの女王に競り勝ちました。
 個人競技の勝敗においては、経験値量は本質的には無関係であることを、ここでも明示してくれたのです。
 勇気溢れる「大胆なジャンプ演目配置」が功を奏した形。見事の一言です。

 メドベージェア選手は、女王として堂々たる演技を披露しました。
 自身の出来栄えから言って、普通なら「負ける筈が無い」試合でしたが、ちょっと「相手が悪かった」という感じがします。

 技術的に難度の高い演目を「これでもか」という感じで連発し、次々と成功させなければ高得点を挙げることが出来ないという、現在のフィギュアスケート競技においては、「実績・貫録・雰囲気」で長く王座を維持するのは至難の技でしょう。
 凄い身体能力をベースに、高いパフォーマンスを発揮する新鋭が、次から次へと世界中で登場して来るのです。

 15歳のザギトワ選手は、オリンピックチャンピオンとなった2018年2月23日から、既に「追われる身」となったのかもしれません。
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