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HOME   »   スキー  »  [平昌五輪2018クロスカントリースキー50km] ニスカネン選手のレース
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 クロスカントリースキーの伝統的な種目、男子50kmクラシカルが2月24日に行われ、フィンランドのイーボ・ニスカネン選手が快勝しました。

 1周8.3kmのコースを6周するレース。

 1周目は、ニスカネン選手とノルウェーのマルティンヨンスル・スンビ選手が集団を引っ張りました。
 「王国」ノルウェーのリーダー格のスンビ選手は、同僚を引き連れ、大きな第一集団でのレースをしばらく続け、その中で3名のノルウェーチームの力を擁して、勝機を見出そうとする、「伝統のプレー」を指向したのでしょう。

 一方で、チーム力では一歩劣るフィンランドのニスカネン選手は、今大会の30kmでも見せたような「スパートからの独走」に勝機を求めていたように思います。

 20.kmを過ぎた辺りで、ニスカネン選手が少しスピードを上げ、21kmからはスパートに入りました。
 早い段階でのスパートに付いて行ったのは、カザフスタンのアレクセイ・ポルトラーニン選手だけでした。
 ニスカネン選手のスパートが続き、25km付近では、後続の3番手集団とは相当の差が付きました。
 これで、会場付近まで集団→スプリント勝負、という「21世紀型の50km」となる可能性は低くなりました。「持久力・耐久力勝負」の伝統的な50kmクラシカルとなったのです。

 30km辺りに、OARのアレクサンドル・ボルシノフ選手が後方集団から抜け出し、ニスカネン選手・ポルトラーニン選手を追い始めました。
 そして32km辺りでポルトラーニン選手を抜いて2番手に上がりました。ボルシノフ選手の勢いは止まらず、ニスカネン選手との差をどんどん詰めて行きます。

 33km辺りの差は、ニスカネンとボルシノフが13秒、ポルトラーニンが26秒、4番手集団=スンビ選手やダリオ・コログナ選手(スイス)が含まれる集団との差が1分40秒余りとなっていました。
 4番手集団がニスカネン選手を捉えるのは、相当難しい状況になっていたのです。

 ボルシノフ選手の追い上げは続き、37.5km付近でついにニスカネン選手を捕えました。
 見事な追い上げです。

 単独走による自力勝負に出たニスカネン選手は、ノルウェー勢との競り合いを避けることには成功したのですが、とはいえ独走はさせてくれないのがオリンピックです。
 さすがに、世界トップクラスのレースでは、選手の力量は接近しているのです。

 そして38km付近で、ついにボルシノフ選手が先頭に立ちました。
 長い間先頭を走ってきたニスカネン選手は、ついに2番手に下がったのです。
 とはいえ、ニスカネン選手も離されることなく付いて行きます。

 2名の先頭集団は、40kmを1時間42分12秒で通過しました。
 クラシカルのレースとは思えない程に速いタイムです。
 4番手集団との差は2分16秒に開きました。
 金メダル争いは、ニスカネン選手とボルシノフ選手に絞られた感がありました。

 41.7km、最終周回の6周目に入る会場の中で、ニスカネン選手はスキー交換を行いました。ボルシノフ選手との差は広がりますが、最後の8.3kmでの追い上げにかけた、フレッシュなスキー・ワックスにかけたのでしょう。

 ニスカネン選手の追い上げが始まりました。猛然と追い上げます。
 42.5kmでは、その差は7秒まで詰まりました。
 そして44kmで追い付きました。

 しかし、ボルシノフ選手は余裕が有り、ニスカネン選手には「一杯一杯」という雰囲気でしたから、ここから抜き去るのは難しい感じでした。
 ニスカネン選手は、両太ももを自分でマッサージしたり、いかにも苦しそうだったのです。

 ところが、48.5km、その苦しそうなニスカネン選手がスパートしました。
 勝負に出たのです。

 ボルシノフ選手との差をどんどん広げます。
 
 ゴールまで700メートルの地点で、その差は7秒に拡大しました。
 ボルシノフ選手に諦めの表情が浮かびました。

 会場スタンドのフィンランドサポーターに向かって、大きく手を振りながら(この金メダルは今大会のフィンランド男子チーム唯一のメダルでした)、ニスカネン選手はゴールインしました。2時間8分22秒/50kmという、陸上競技のマラソンより遥かに速いタイムでの走破でした。

 ノルウェーチームは、4位にスンビ選手が入りましたが、「伝統の50kmクラシカル」レースでメダルを逃したことは、「王国」に一抹の不安を残したものとなりました。
 今大会でのクロスカントリースキー競技においても、「王国」は沢山のメダルを獲得し、金メダルの国別獲得数はオリンピック史上の新記録であったと報じられていますが、男女ともに、特に男子チームにおいては「選手層の薄さ」が感じられました。
 過去の、メダル獲得が少なかった大会でも、ノルウェーチームには有望な若手が数多居て、その潜在能力の髙さを感じさせてきたものですが、今大会はその逆でしょう。
 王国としても、体勢の建て直しが急務なのではないでしょうか。

 平昌オリンピック・男子50kmクラシカルレースは「ニスカネン選手のレース」でした。
 閉会式会場で大観衆の前で表彰されるニスカネン選手の姿は、本当に晴れやかなものでした。

 勇気溢れる20kmでのスパート、ボルシノフ選手との競り合い、乾坤一擲のスキー交換と、レース前の様々な事態を想定してのフィージビリティスタディに基づいたレースの実行、何より、作戦通りにレースを進めることを可能にした「実力の高さ」に、大きな拍手を送らせていただきます。
 
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