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HOME   »   MLB  »  [MLB2018] イチロー選手 シアトル・マリナーズに帰還
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 3月5日、イチロー選手がマリナーズに入るのでは?、という報道が入り、7日には正式に発表されました。

 今季FAマーケットの異例の動きの中で、まだ50名位の元メジャーリーガーの行く先が決まっていない状況下、イチロー選手の去就が決まり、少なくとも2018年シーズンはシアトルでプレー出来そうなのですから、日本のMLBファン、イチローファンにとっては、とても嬉しいニュースです。

① マリナーズとの「縁」

 マイアミ・マーリンズを追われた?理由も、「チームの根本的な若返り」でしたから、当然ながらMLB全体の趨勢として、「年俸が高いベテラン選手」が敬遠されることとなっているのです。

 こうした状況下、44歳のイチロー選手を採ろうとする球団は、本来スターターと考えていた外野手および本来2番手と考えていた外野手が共に故障した場合しかないだろうと思っていました。

 そして、開幕に向けて、そうした緊急事態に追い込まれたのがシアトル・マリナーズであったところに、イチロー選手とマリナーズの深い「縁」を感じてしまいます。

② 「興行面」の効果

 強いチームを創り、ポストシーズンに進出し、チャンピオンシップゲームやワールドシリーズに進出することは、MLBの球団経営者にとっては最大の目標でしょうし、ファンにとっても最大の楽しみのひとつであることは、間違いありません。

 その一方で、「勝利」以外の分野でも、球団経営陣としては「ファンに喜んでもらう」施策を展開する「義務」があります。プロスポーツなのですから、「勝てばよいというものでは無い」ことは当然のでしょう。

 「興行面」と呼ぶと、やや違う意味も感じられてしまって残念なのですが、他に適当な言葉も思い当りませんので、この言葉を使わせていただきます。

 マリナーズファンがセーフコフィールドに来たり、ゲームのテレビ放送を観た時に、「イチロー選手の姿・プレー」を観ることが出来るのは、相当高いレベルのエンターティンメントでしょう。
 マリナーズが今より強かった時代、MLB記録を次々と塗り替えていくイチロー選手の雄姿は、マリナーズファンの心に深く刻まれているのです。

 そのイチローが帰ってきた、背番号も前と同じ「51」、そしてライトフィールダーとして守備に就いているとなれば、セーフコフィールドの観客動員にプラスになることは相当高い確率で予想されます。
 仮に私がシアトルに住んでいたなら、必ず球場に足を運びます。それも、年間5~10試合は行くでしょう。
 
 そういう意味からも、イチロー選手はマリナーズにとって大切なプレーヤーなのです。

③ ノーリスク

 イチロー選手との契約内容は、1年・545,000ドル(約5,780万円)=規程上のメジャープレーヤーの最低年俸、と伝えられています。

 イチロー選手の年俸としては、とても安価な印象ですが、「メジャーでプレーすること」が目標であったイチロー選手には納得の条件でしょうし、「マイナー契約では無かった」ところに、マリナーズの敬意が表れているようにも感じます。

 40歳を越えたFAプレーヤーを雇用する場合には、普通はマイナー契約から始めることが多いと思います。マイナーで実力を示してメジャー昇格を目指してもらうのです。
 メジャー昇格期間中、日割りでメジャー最低年俸が支払われる形ですが、今季も「MLB最年長プレーヤー」であるバートロ・コロン投手(イチロー選手より1歳年上)も、この形で2月4日にテキサス・レンジャーズと契約しました。

 他方、イチロー選手より2017年シーズンの成績が良い、30歳台のバリバリの外野手達が、まだFA市場に複数残っています。
 マリナーズが本格的に外野陣の立て直しを考えているとすれば、こうしたバリバリのプレーヤーを採り上げる可能性も有るのです。

 当然ながら、こうした「脂の乗った」プレーヤーは「高価」です。少なくとも、年間5~10億円の年俸が要るでしょう。
 そこには、球団経営者にとっての「活躍できなかった時のリスク」が存在します。

 翻って、メジャー最低年俸のイチロー選手には、そうしたリスクはありません。
 それでも575,000ドルのリスクが有るではないか、というご指摘もありそうですが、イチロー選手関連のグッズ販売、入場者数の増加分等を考慮すれば、ノーリスクというか、球団にとっては「黒字額の積み上げ」だけに注目すればよい存在なのでしょう。
 2012年までのユニフォームと2018年のユニフォームの違いをベースに、日本から観戦に行った沢山のファンが、また沢山のユニフォームレプリカを購入することは、自然なことでしょう。日本人観光客にとって、シアトルのお土産にこれ以上のものは存在しません。
 物凄い売上になることは間違いないでしょう。

 これは丁度、日本プロ野球の松坂大輔投手に似ています。
 今季、年俸1,500万円で中日ドラゴンズと契約した松坂投手ですが、既に松坂関連のグッズ売上で年俸分を越えたと報じられています。これからもどんどん伸びるでしょう。

 こうしたプレーヤー、「伝説的な存在」として「多数の固定ファン」が存在する、「ビッグネーム」を、安価に雇用した球団は、ノーリスクであり、逆に短期間での黒字が計算できるのです。

 下賤な感じの話で恐縮ですが、「採算面」だけを観れば、中日ドラゴンズもシアトル・マリナーズも「上手くやった」ことになるのでしょうか。

④ イチロー選手の2018年シーズンの出場機会

 マリナーズの正外野陣の一角が故障から回復するまでには、少なくとも3~4週間はかかると見られていますから、イチロー選手は開幕から2週間位はレギュラーシーズンのフィールドに立つことになるでしょう。

 その後は、イチロー選手の活躍次第ということになります。

 代打で使われるのか、正選手の休養日に使われるのか、という視点は、イチロー選手が25人のロースター枠に残ることを前提としていますが、これとて容易なことではありません。
 出場している間の活躍が無ければ、直ぐにロースターから外されてしまいます。メジャーのベンチに入るのは、とてもとても大変なことなのです。
 代打や代走、守備要員として、ひとり何役もこなすための、「野手の最後のひとり」(おそらく25人の中ではひとつしか控え外野手の枠は無いでしょう)として、ロースターに残る努力が、イチロー選手に求められるのです。

 シアトル地元のマスコミは、「イチロー選手の帰還」を好意的に捕えている報道ばかりではありません

 「正外野手の代わりは、マイナーリーグの若手を使え」「若手の中から将来のマリナーズを支えるプレーヤーを発掘しろ」という論調の記事も数多いのです。
 当然でしょう、「今後10年間使えるプレーヤー」の発掘は、シアトル・マリナーズを長く愛してきた人々にとって、とても大事なことだからです。
 イチロー選手をロースターに入れれば、「ひとりの若手プレーヤーの居場所が無くなる」のですから。

 イチロー選手としては、シーズン開幕当初の出場機会に、2018年シーズンを通じて「マリナーズに貢献できること」を証明するプレー、連続出場してもパフォーマンスが落ちないことを示す必要がありそうです。

 いろいろ書きましたが、いずれにしても私達にとっては、「イチロー選手のシアトル帰還」は慶事です。
 そのプレーが、イチロー選手らしいプレーが、いまからとても楽しみです。
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