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 「日本の漁網技術が、メジャーリーグのファンを守る。」、スポーツライター・谷口輝世子氏の記事が4月3日に配信されました。
 とても興味深く読ませていただきました。

 MLBでは近時、ファウルボール等による観客の怪我のリスク増が問題になり、2018年シーズン開始時には全30球団が、ホーム球場の「防球ネット」を拡大したこと、そして、その「防球ネット」には、日本の漁網製造会社・ニチモウ社のものが数多く使われているという記事です。

 太さ約1.2mmで、色もグレーと緑が混ざったような特別な色が使われている糸で編まれているネットですから、観戦の邪魔になりにくいという技術が、アメリカにおいても支持されているということで、こうしたものについての「日本の物づくり技術の高さ」が、ここにも表れているということになります。

 私が感心したというか、印象的だったのは、「MLBの観客席において、ファウルボールにより怪我をする人が増えた」という事象です。

 かつては、「メジャーリーグの観客は『ゲームに集中している』ので、ファウルボールが観客にぶつかる確率が低い(ちゃんと避ける)」と言われていました。MLBの観客は「ボールの行方」を良く観ているということです。

 一方で、日本プロ野球NPBの観客は、「応援に忙しくて、試合を観ていない」と言われていましたし、現在でも野球ファンの友人からそういう声を聞きます。
 剛速球やタイムリーヒットのシーンを「見逃す」ことも多いのでしょう。ヒットが出たかどうか、好プレーが出たかどうかは、「他の観客の歓声」で分かる、といった人もいるのかもしれません。せっかくのLIVE観戦なのに、もったいないことです。
 また、NPBの応援は、相当に難しい?のかもしれません。プレーヤー毎に動作や掛け声、歌詞が異なりますから、応援席で正当な?応援が出来るようになるまで(変な書き方で恐縮です)には、相当の経験が必要?ということなのでしょうか。
 「他のファンと同じ応援が出来ないと、応援席には居づらい」という意識も有るのかもしれません。
 もちろん、こうしたバラエティに富んだ応援を繰り広げることが、観客にとっての野球観戦の楽しみのひとつという側面も有ります。
 結果的に、応援に夢中になる余り、プレー観戦は疎かになるという指摘もあるのです。

 さて、「防球ネット」の話です。

 こうした事情から、プレーやボールの様子を良く観ていないNPBの観客の為に、NPBでは、もともと「防球設備」が充実というか、内野から外野のポール際まで広範囲に敷設されているのだ、という説明になりそうです。

 ベースボール発祥の地であるアメリカのMLBでは「防球ネットは最小限に」という考え方で、これまでは運営されてきたのでしょう。
 「もともとベースボールには防球ネットなど存在しなかった」という考え方をベースにした運営がなされてきたのでしょう。

 従って、バックネット部分に限定されてネットが在っただけで、内野席側にはネットが在りませんでしたから、痛烈なライナー性のファウルボールや時には折れたバットが勢いよく観客席に飛んで行ったのです。
 それは相当に危険ですが、MLBの観客は気にしないというか、「それもベースボール」という意識で捉えていたように感じます。

 10年ほど前のMLB中継で、お子さんを連れて内野席で観戦していた観客にインタビューが行われ、放送されました。その時、そのお父さんは「ベースボールで使われているボールが、『どれほど堅くて、どれほどのスピードで飛んでくるか』を肌で感じてもらうには、ボールパークに来るのが一番」「選手たちがどんなに凄いことをやっているのか。そして、ベースボールはちゃんとやらなければ危険なもの、ということを子供たちに教えてあげたいと思って・・・」とコメントしていました。

 アメリカの普通のお父さん(変な書き方で恐縮です)ですが、お子さんへの教育的視点は素晴らしいなと感じましたし、さすがに「ベースボール・イズ・アメリカ」だと感じ入ったことを憶えています。

 文化としてのベースボールが浸透しているアメリカにおいては、「防球ネットは最小限」という考え方が変わることはないだろうとも思ったものです。

 ところが、インターネットの普及、特にスマートフォンの普及により、近時はMLBにおいてもグラウンドから眼を放す観客が増え、この数年はファウルボールやバットで怪我をする人が増えてしまったのです。
 
 もちろん、スマホから得られる、ベースボールに関係が無い情報に夢中になりゲームを観ていない観客も増えたのかもしれませんが、スマホから得られる各種の情報を、ボールパークでの観戦に活かそうという意味での、スマホ使用もあるのでしょう。
 いずれにしても、観客のほぼ全員が、MLBのプレーに真剣に集中し、チャンス・ピンチのシーンともなれば、「息を飲む状態」となって、ボールパークが水を打ったように静まり返るといったシーンが、徐々に変わりつつあるということになります。

 歴史と伝統に育まれたMLBの観客席も、IT技術の進歩・普及と無縁では無かったのです。
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