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HOME   »   スポーツ共通  »  [23歳の心持ち] 「故障があったから金メダルを取ることが出来た」「イラッとしたら負けだと思っている」
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 最近の、羽生結弦選手と大谷翔平選手の言葉です。

 平昌オリンピックにおける羽生選手の活躍とMLB2018における大谷選手の活躍は、現在の日本スポーツ界における「双璧」と呼んで良いほどの大きさとインパクトを持っていると感じますが、そのふたりのアスリートの「心持ち」を示す言葉なのです。

 平昌オリンピックを控えて、羽生結弦選手は足首を故障しました。4回転ルッツという、単独の演目としては現在最も高い基礎点が配されている=最も難易度が高い、技の練習中の転倒でした。

 相当重い故障と報じられましたから、「羽生選手はオリンピックに間に合うのか」といった報道が続き、ご本人もしばらくの間マスコミの前から姿を消しました。
 オリンピックに出場できるかできないかはともかくとして、出場してきたとしても、故障の影響が大きく、本来のプレーは望むべくもないのではないかと、多くの人は考えたことでしょう。

 その羽生選手は、しかし、敢然とオリンピックの舞台に登場したのです。
 ショートプログラムのノーミスの演技は、本当に衝撃でした。
 そして、フリー演技、気迫十分の演技は、観る者に圧倒的な感動を齎しました。あれ程の演技は、なかなか観られるものでは無いでしょう。

 その後、様々なシチュエーションで羽生選手に対するインタビューが行われました。
 その中で、何度か頭書のコメントが出てきたのです。

 「足首を故障したから金メダルが取れた」という、逆説的な説明です。
 では、故障せず、順調に来ていたら、金メダルは取れなかったのか、という疑問というか、論理上の確認事項が生じますが、これはそういうことでは無いのでしょう。
 「故障せず、順調に」来ていた状況で、オリンピックには臨んでいないのですから、そうした比較は出来ないのです。

 私の様な市井の素人が、この深いコメントを理解しようとすれば、「故障を前向きに捉えて様々な取り組みを行ったことが金メダルに結びついた」ということであろうと思いますし、そこから教訓を得るとすれば「逆境をも前進の糧とする」あるいは「逆境こそが成長の糧となる」といったことなのでしょう。

 当然のことながら、凄い考え方です。素晴らしい考え方と言っても良いでしょう。
 4年に一度の大会直前に故障を発症すれば、多くの場合「絶望的な気持ち」になるのでしょうし、後ろ向きの考え方になったとしても何の不思議もないというか、自然な感じがします。

 今春の園遊会で、羽生選手は天皇陛下に対して「練習が出来ない時にも色々なことを学びました」と説明し、天皇陛下から「どんなこと?」と質問を受けて、「筋肉の付き方や関節の在り様などを・・・」と答えていました。
 この他にも、故障で静養していた時期に、その時間を有効に使って、羽生選手は成長を続けていたのでしょう。
 オリンピックを連覇するアスリートの懐の深さ、心持ちの高さを感じます。

 MLBデビュー直後から目覚ましい活躍を魅せている大谷翔平選手ですが、何より「物おじしない様子」「伸び伸びとしたプレー振り」が凄いと感じます。
 世界一のベースボールリーグで、戦闘能力十分な猛者を相手に、持てる力を存分に出しているところが、何にも増して素晴らしいところでしょう。

 そして、試合を重ねる度に成長しているように見えるところが、本当に素晴らしい。
 日々の成長、と言うのは簡単ですが、なかなかできることでは無いのに、大谷選手は実行していて、それも相当「高速の成長」を続けているのです。

 これが「勝ち負けを超えている」ところが一層高度な感じがします。

 例えば、DHで三振ばかりを重ねた試合があったとしても、その試合で大谷選手は「思い切りバットを振っています」ので、次の試合に経験が生きるであろうと感じさせるのです。
 単に「バットに当たったか、当たらなかったか」だけの問題に過ぎないと、観ている者に感じさせるところが、尋常では無いのです。数多くのMLB関係者・専門家が、結果は結果として、大谷選手の可能性の大きさを評価しているのです。

 ピッチングにおいても同様で、4失点して勝利投手になれず、防御率が悪化した試合でも、MLBに行って初めて101マイル=163km/hの速球を複数投じたりします。
 相手選手は、「もの凄いスピードボールと落差十分のスプリット」を具備していることを感じますから、次の対戦の困難さを想像することでしょう。
 観ている監督やコーチ、関連マスコミの人達も、「大谷翔平の凄さ」ばかりを感じてしまうのではないでしょうか。

 ホームランを含む4失点を喫し、5四球も与え、一見「散々な内容」の試合なのですが、その投球を眼にした者は「次回投球、将来のプレーの凄さ」ばかりを感じるというのですから、なかなか居ないタイプのアスリートです。

 実際のところ、101マイルの速球に、落差十分のスプリット、変化鋭いスライダーをストライクゾーンに投げ込まれたら、容易なことでは打てないというのは道理です。

 メジャーのボールやマウンド、移動やローテーション、調整方法等々の沢山の要素に慣れてきたら、「大谷翔平はどんな投手になるのだろうか」、現在は初めて対戦する投手ばかりですが、その球筋や変化の具合、投球スピード等を自身にインプットできた後は「大谷翔平はどんな打者になるのだろうか」と、MLBの関係者、ファンは皆期待していると思います。

 全ての事象に対して、極めて前向きな大谷選手ですが、「全てのプレーを糧にする」ように見える大谷選手の心持ちを良く示す言葉が「イラッときたら負けだと思う」というコメントでしょう。

 投手として痛打を浴びる、打者として三振する、微妙な投球をストライクと判定される、あるいはボールと判定される、牽制球でアウトになる、といった「日々の事象」に対して、大谷選手は「イラッとしない」ように心掛けているのです。
 全てを自らの糧としようとするには、とても効果的な心持ですが、「容易には実行できない心持ち」でしょう。

 人間は、日々の生活の中で「イラッとする」ことがあります。それも、相当の頻度で発生するでしょう。
 仕事の場においては勿論として、日常生活でも「癇に障る」ことは次々に起こるものです。
 イラッとした時には、文句を言い、批判を書き、時には怒りの行動さえ起こしてしまうというのは、普通の人々にとっては、普通の事なのかもしれません。

 その時々に、人間・大谷翔平は「イラッとしたら負けだと思う」のです。
 この若さで、信じられないような心持ちだと感じます。

 試合のプレー毎に、大谷選手の表情からは、「気合十分な様子」や「残念そうな様子」が感じられますし、相手プレーヤーを睨みつけたりする仕草が観られますが、「めげたり落ち込んだりする様子」は皆無です。
 全てを前向きに捉えているのでしょう。
 「成長することが約束されているような心持ち」と言っても良さそうです。

 羽生選手にしても大谷選手にしても、それぞれの競技に対する「才能の高さ」は誰もが認めるところでしょう。
 世界屈指のタレントなのです。「底知れぬ運動能力」なのです。

 その「底知れぬ運動能力」を保持しているアスリートが、「前進するために、これ以上ない心持ち、物の考え方」を身に付けているのですから、強い訳です。
 世界トップクラスのアスリートとなるのも、ある意味では自然なことなのでしょう。

 逆に言えば、どんなに素晴らしいフィジカル面の才能を備えていたとしても、「不運を嘆き」「失敗を他者のせいにする」ような心持ちのプレーヤーでは、その才能を活かすことは難しいということになりそうです。

 こうした「高い次元の心持ち」を具備しているのが「23歳のアスリート」であることも、私の様な「年寄」から見ると、本当に凄いことだと感じます。

 拙い比較材料ですが、私の様な凡人でも、23歳のころからこうした「心持ち」を具備できていれば、もっともっとさまざまな点で成長できたかもしれないと、考えてしまいますが、それは所詮無理なことなのでしょう。努力により身に着くものでもないと思います。

 こうした「心持ち」を保持できること自体が才能のひとつなのかもしれません。
 素晴らしいフィジカルを、大きく成長させることが出来る「心持ち」も、おそらくは「天賦の才の一部」なのです。

 残念ながら、経験を積んだからと言って到底達することが出来ない「至高の境地」なのだろうとも思います。

 23歳にして「前進すること『しかできない』ような素晴らしい心持ちを具備するアスリート」となっている、羽生結弦選手と大谷翔平選手の今後の活躍は、私などの想像を遥かに超えるものとなるのでしょう。
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