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HOME   »   ゴルフ  »  [PGA] 「遥かなるオーガスタ」  マスターズ・トーナメント
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 何か、ゲームソフトのような題名になってしまいました。

 マスターズ・トーナメントが開始されたのは1934年です。全英オープン大会の開始は1860年、全米オープン大会は1895年、全米プロ選手権大会は1916年ですから、マスターズ・トーナメントは、ゴルフの4大メジャートーナメントの中で最も新しい大会です。

 マスターズ・トーナメントの創設者が「球聖と呼ばれたゴルファー」ホビー・ジョーンズであることは有名ですが、実はジョーンズとその友人の実業家クリフォード・ロバーツが二人で企画し、創設した大会でした。
 1934年の第一回大会は「オーガスタ・ナショナル招待選手権大会」という名称でした。そして、1939年の大会から「マスターズ」という名前に変わったのです。大会創設当初、パートナーのロバーツから「マスターズ」の名称使用を提案されていたボビー・ジョーンズは、その名を嫌い、抵抗していたと言われていますが、ついに1939年の大会から現在の大会名になったのです。

 ホビー・ジョーンズは、1902年にアメリカのジョージア州アトランタに生まれました。右利きのゴルファーとして、数々の大会に優勝しましたが、弁護士を職業として生涯アマチュアを貫きました。1930年、ジョーンズが28歳の年、全米アマチュア、全英アマチュア、全米オープン、全英オープンの当時の世界4大大会を、その年の内に全て優勝しました。
 この偉業は「グランドスラム」と尊称されました。現在では、様々なスポーツで「4」にかかわる難しい記録がグランドスラムと呼ばれます(例えば、テニスの4大タイトル優勝やベースボールの満塁ホームランなどなど)が、あらゆるスポーツの中で最初に「グランドスラム」という言葉が使われたのが、このボビー・ジョーンズの偉業だったのです。

 ボビー・ジョーンズは、このグランドスラムの達成を最後に、その1930年にプレーヤーを引退しました。なんと潔いことでしょう。
 しかし、現役引退後も、弁護士業の傍らでゴルフには関係を持ち続けました。自らの故郷であるジョージア州アトランタ郊外のオーガスタ・ナショナル・ゴルフコースの設計、そして、そのコースを使う頭書のマスターズ・トーナメントの創設などです。

 この潔さを観るとき、ボビー・ジョーンズが「マスターズ(名人達)」などという、大袈裟な名称を、自らが主宰する大会に付けることには違和感がありましたが、友人の実業家の強い希望であったということであれば、納得できます。

 このことからも解るように、マスターズ・トーナメント(以下、マスターズ、マスターズ大会とも表記)は、毎年オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブという、同一のゴルフコースで開催されます。他の3つのメジャー大会が、毎年開催コースを変えて行くのとは異なる、マスターズ大会の特徴のひとつとなっています。(とはいえ、他の3大会も、いくつかの選ばれたコースの持ち回り開催ではありますし、オーガスタ・ナショナル。ゴルフクラブのコースも毎年改造が繰り返されてはいますが)

 この「同一コース開催」以外にも、マスターズ大会には、他のメジャートーナメントには無い特徴があります。いくつか挙げてみましょう。

① ラフが無いこと
 「オーガスタにはラフが無い」と言ったのは、1978年にアメリカ人以外のプレーヤーで初めてこの大会に優勝した、南アフリカの名手ゲーリー・プレーヤー選手ですが、フェアウェイとラフの境目は分かりますが、他のメジャートーナメントのように高さ10㎝を超えるような(あるいは全英オープンの様なブッシュ)深いラフは、マスターズ大会が開催されるコース、オーガスタ・ナショナルには存在しません。

 近年、優勝スコアが伸びすぎるのを防ぐという目的からか、開催年によっては多少ラフを伸ばしていることもありますが、それもボールが見えなくなるほどの長さではありませんし、翌年には再び「ほとんどラフが無い状態」に戻されたりします。
 
 近年のマスターズ大会主催者側の好スコア防止策は「コースの長さを伸ばすこと」に力点が置かれているようですから(以前7100ヤード程度だったコースヤーデージが、昨年の2012年には7435ヤードになりました。300ヤード以上、距離が長くなったのです)、「オーガスタにはラフが無い」状態は、今後も続くと思います。そして、このラフの不在こそが、得も言われぬコースの美しさを醸成している要因のひとつだと思います。

② 右ドッグレッグのホールが、ひとつしかないこと
 ボビー・ジョーンズ自身が右利きだったせいでしょうか、それとも当時の道具では正確なドローボールを打つことが難しかったせいでしょうか、オーガスタ・ナショナルには右利きのドローヒッターに有利な「左ドッグレッグ」のホールか、真っ直ぐなホールがホール・バイ・ホール続きます。唯一の右ドッグレッグのホールは、最終の18番ホールだけです。

 このためか、マスターズ大会では長い間レフティー=左打ちの選手は優勝できませんでしたし、右打ちでも、リー・トレビノのような「フェード球」を得意とするプレーヤーは優勝できませんでした。「レフティーには不利な大会」と言われてきたのです。

 2003年のカナダ人プレーヤー、マイク・ウィアが初めてのレフティー優勝者でした。大会が創設されて約70年の間、レフティーはマスターズで勝てなかったのです。

 しかし、面白いもので、マイク・ウィアが壁を破ってからは、翌2004年と2006年・2010年にフィル・ミケルソン、昨年2012年にバッバ・ワトソンと、最近10年間についていえば、レフティーのプレーヤーが半分の5勝しています。マスターズ大会に参加しているゴルファーの右打ち左打ちの比率が、圧倒的に右打ちプレーヤーが多いことをも考慮すれば「レフティーに有利な大会」とさえいえる状況です。

 ボールやクラブの進歩のせいなのか、レフティープレーヤーの技術向上のせいなのか、コースヤーデージの大幅な延長のせいなのか、この急激な変化の理由は分かりませんし、ある意味では不思議なことでもありますが、「マスターズに勝つには、レフティーの方が有利」という時代が到来しているのかもしれません。

③ グリーンの起伏が尋常ではないこと
 前述の通り、ラフが無いコースで、コースヤーデージも長くなったとはいえ、現代の他の難コースに比べれば、飛び抜けて長い訳ではないのですが、多くのマスター達が苦労しながらのプレーを余儀なくされる最大の理由は「グリーンの起伏」であると思います。

 オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブは、マスターズ大会開催前の半年間は、芝の養生やコースセッティングのためにクローズされるそうですが、大会終了後の一定期間は、クラブのメンバーや招待などを受ければ一般の人もプレーすることができます。(メンバーには、歴代のアメリカ合衆国大統領や、マスターズ大会の優勝者が名を連ねていると言われます)

 私の知人(一般の人です)が、15年ほど前にオーガスタ・ナショナルでプレーする機会を得ました。その方は、日本でのプレーでは、平均スコアが1ラウンド80打を少し切る位の腕前でした。
 彼のラウンド後の感想です。
 「コースは、箱庭的で、距離もそれほど長くは無いので、パーオンすることもあり、少なくともパー4なら2打目、パー5なら3打目で、グリーンの傍まで打って行くのは、難しくなかった」「しかし、グリーンオンしてから、パッティングをしようとすると、途方に暮れるホールばかりだった」「ポテトチップスのようなグリーンで、高低差が自分の身長以上、2m位あるグリーンばかりだった。3パットはあたりまえ、4パットも何回かあった」と。

 彼が、プレーした時期は、当然ながらグリーン上の芝は、トーナメントの時の様には刈り込んでいないので、球が転がるスピードは、トーナメントの時より遥かに遅いのですが、それでも、転がり始めたボールはなかなか止まらなかったそうです。

 私達が、マスターズ大会のテレビ放送を観ていると、マスター達がパッティングしたボールが、グリーンの外に出てしまう光景を度々目にしますが、ポテトチップス状で、高低差が2m前後、スティンプメーターで12フィート位に刈り込まれたグリーンであれば、さもありなん、ということになります。テレビの映像は、グリーンの凄まじい起伏を表現しきれないということになります。

 「オーガスタにはラフは無い」のですが、「凄まじいグリーンがある」のです。

 今年も、ハナミズキを始めとする花々が咲き乱れ、素晴らしく綺麗に刈り込まれたフェアウェイと真っ白な砂のバンカーが配された、美しいとしか形容しようのないオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブを舞台に、世界のマスター達の戦いが始まりました。

 復活してきたタイガー・ウッズや、欧州の代表ロリー・マキロイ、過去10年で3度の優勝を誇るフィル・ミケルソンといった、世界のゴルフ界をリードしているプレーヤー達の豪打・美技が展開されることでしょう。
 例年のことですが、睡眠不足ウィークが始まりました。
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