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HOME   »   サッカー  »  [ワールドカップ2018-29] VARの影響
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 ロシア大会は、得点の多い大会だと感じます。

 グループリーグGL真っ只中の6月25日を終えた時点でも、両チームの得点計が5点以上のゲームが4試合も有り、1チームが3得点以上した試合も9つあるのです。
 
 GL突破に向けて、「勝点を積み上げるために引分でも可」とし、「得失点差が物を言うので失点を最小限に抑える」のがGLの戦い方である筈なのですが、今大会では「点の取り合い」といった様相のゲームが多いと思います。

 こうした「変化」については、大会後FIFAから詳細・綿密な分析結果が提示されますから、最終的な判断は、それに任せるとして、現時点でも、いくつかの要因が考えられます。

 例えば、
① 戦術の変更→得点技術が向上したということ
② GLに対する考え方の変更→引分よりも勝利を目指すことを優先する考え方の拡大
③ ボールの特性→今大会使用球「テルスター18」の操作性が良く、プレーヤーの意図に忠実に動いていること
④ ピッチの特性→ハイブリッド人工芝のピッチはイレギュラーバウンドが少なくプレーし易いこと
⑤ VARの影響

 これらは例示であり、正誤は分かりませんが、可能性のある項目をざっと挙げてみました。

 この中で、本記事は「VARの影響」を取り上げます。

 VAR(Video Assistant Referee)は、ワールドカップにおいては今大会から導入されました。
 今大会においてVARが助言できる項目は、
① 得点
② ペナルティーキックPK判定
③ 一発退場
④ 人違い

 の4項目について、「明白かつ確実な誤審」があった時のみ判定に「介入」するものとなっています。こうした時には、VARのセンターから主審に連絡が入るのです。主審は、VARから提示された映像を観て、判定を覆すかどうか判断します。最終判断は主審に任せられているのです。

 最終的な判断が主審に任せられている形式とはいえ、VARが介入するときには「明確で確実な映像」が存在するわけですから、判定が覆る確率が高いのは道理です。

 結果として、ペナルティーエリア内での反則行為の発見には相当の影響があると観るのが妥当でしょう。
 そして、今大会はPKが多く、PKによる得点も多い印象です。

 加えて、ペナルティーエリア内およびペナルティーエリアの近辺で反則を行えば、相当の確率で発見され、相手チームにPKあるいはフリーキックFKが与えられてしまいますから、ディフェンダーDFは反則行為、あるいは反則行為かどうかわからない微妙なプレーをも「回避」する傾向が高まるでしょう。
 こちらも、結果として、攻撃側のプレーが成功する可能性が高まりますから、得点の増加に結びつくことは自然な感じがします。

 ペナルティーキックPKについて、考えてみましょう。

 20世紀から2010年頃までのPKについての、観戦者たる私達の見方は、「その反則プレーがなければゴールが決まっていたと推測される」プレーはPK、というものでした。
 スタジアムやテレビの前で、私達は「いまのはPKだな」とか「今くらいのではPKはもらえないよ」などと話していたものです。

 ルール上は「ペナルティーエリア内で反則を犯せばPK」なのですから、ルールと照らし合わせれば、おかしな見方をしていたのです。
 
 とはいえ、ペナルティーエリア内とはいっても、ペナルティーエリアを示すラインのすぐ内側で、ゴールに対して確度の無い地域における反則に対してPKが課されるというのは、厳し過ぎるような気がしたのです。
 「ペナルティー(罰則)エリア」という名称なのですから、その中で反則が行われれば、「ペナルティーの対象となる」のは当然のことなのでしょうが、とにもかくにも、私とその仲間達は、「なかりせばゴールのプレー」に対して行われた反則に対してPKという見方をしていたのです。

 こうした感覚でPKが課されていた時代があったとすれば、DFから見れば、ペナルティーエリア内では、PKに繋がる状況でなければ「反則し放題」ということに繋がりかねません。
 何しろ、ペナルティーエリア内での反則と認定されればPKなのですから、「PKを出し難い状況」のプレーであれば、どんどん反則をして行った方が、守備側は得だということになりかねません。

 これは、ペナルティーエリア内での反則に対する罰則が、殆どPKしかない、というルールから生まれる「やり方」と言っても良いかもしれません。
 もちろん、例外はありますし、フリーキックFKが課される場合もあるのですが、それは例外であり、私達が普通に見る反則においては、PKしかないと言ってよいと思います。

 結果として、「PKにされない場合なら、あるいは、PKになる可能性が低そうな場合なら」反則を行うという戦術を取ることになり、従って、「堅守の前ではゴールはなかなか生まれない」という事象に繋がっていたのかもしれないのです。

 ところが、2010年頃から、このルール=ペナルティーエリア内での反則はPK、の運用が厳密になってきた印象です。
 「このプレーの次のプレーで得点が生まれる」ようには観えないプレー、「得点に向けてはあと2~3プレーが必要」なプレーに対する反則でも、PKとされるようになってきたのです。

 ペナルティーエリア内での守備に大きな変化が生まれました。足を引っかけたり、腕を相手の顔などにぶつけたりするプレーはもちろんとして、体をぶつけて行くプレーでも、反則に繋がりそうなプレーは控えなければならなくなってきたのです。
 大変化でした。

 もともとFIFA(国際サッカー連盟)には、「世界中へのサッカー競技の普及」という大責務があり、そのためにはワールドカップなどの国際試合で「面白いゲーム」を増やして行くという目標があります。
 もちろん0-0の試合にも「守備の高い技術」が楽しめるものもあるのですが、これはやはり玄人筋に受けるゲームでしょう。多くのサッカー初心者にとっては「点の取り合い」「得点がある程度入るゲーム」が面白いのです。
 ワールドカップ2018ロシア大会のこれまでのゲームでも、GLのポルトガルVSスペイン戦の3-3の試合や、日本VSセネガル戦の2-2の試合が「面白かった」と評価されているのです。

 より「得点が入るゲーム」を目指して、FIFAとしてもこれまで様々な取り組みを行ってきました。
 オフサイドルールの攻撃側に有利な見直しや、キックによるバックパスをゴールキーパーGKが手で取ってはいけないルールの導入などは、その例でしょう。

 こうした「得点を増やそうという取組」(バスケットボールのNBAでも同様の取組が行われていますから、球技を面白くするひとつの方法なのでしょう)のひとつの究極形が「ペナルティーエリア内で攻撃側の自由度を増加させる」方法があると思います。

 そして、この方法のひとつの形がVARなのかもしれません。

 従来なら、ペナルティーエリア内で、コーナーキックCKの際に、ヘディングシュートをしようとする選手を守備側が抑え込む(見え難い形で)プレーは、「しょうがないよね。飛ばれたら(点が)入っちゃうから」といった感じで、相当な程度まで許容されていたものが、映像によって反則プレーが明示されてしまうのですから、守備側としては強力な手段を奪われることになります。
 ロシア大会ではCKからの得点が、とても多いのです。

 こうしたVARの活用は、「ルールの厳密運用」には大きな効果があります。

 一方で、「ペナルティーエリアの中で反則すれば何でもPK」というのでは、少しやり過ぎではないか、シミュレーションも年々巧妙になっているし、というご意見もありそうですから、FIFAには「ペナルティーエリア内の反則ルールの見直し」にも着手していただきたいと感じます。
 例えば、ペナルティーエリア内での「軽度の反則」の場合には、ペナルティーエリア外からの間接フリーキックを課す、といった具合です。

 ペナルティーエリアは、サッカー競技の「肝」ですので、そこが「面白さの集約地域」でもあるのです。

 今大会のVAR導入は、私達の想像を遥かに超える影響を齎しているようです。
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