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HOME   »   競馬  »  [競馬コラム210] 1972年のオールカマーに優勝した イナボレス号
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 イナボレス、本当に懐かしい名前です。

 オールカマーが、まだ東京・府中の2000mで実施されていた頃、3歳だったイナボレスが優勝したのです。

 イナボレスは、母方の祖先にアングロアラブの馬(馬名「高砂」)が居るために、サラブレッドでは無く「サラブレッド系種」でした。
 現在では、眼にすることが少なくなりましたが、当時は「サラ系」の馬が数多く走っていました。

 ちなみに「高砂」は、フランス皇帝ナポレオン3世が、時の江戸幕府第13代将軍徳川家茂に贈呈したとされています。
 現在のNHK大河ドラマ「西郷どん」にも、徳川幕府とフランスの強い関係が描かれていますが、ナポレオン3世からのプレゼントが競走馬であったというのも、欧州文化を示しているようで、興味深いことです。

 さて、イナボレスは所謂「花の47年組」(昭和47年にクラシックレースの歳=3歳を迎えた世代が、前後の他世代を圧して強かったため、このように呼ばれました)の一員ですけれども、ランドプリンス、ロングエース、タイテエムの関西3強や、菊花賞と有馬記念を制したイシノヒカルといった、クラシック戦線の主役たちとは異なり、裏街道というか、地味なキャリアを積み上げました。
 そして7歳まで、大きな故障も無く走りました。

 その結果、偉大な記録を残したのです。
 それは「中央競馬最多重賞出走数」という記録です。イナボレスは、そのキャリアにおいて、中央競馬で「52度の重賞レース」に出走したのです。
 素晴らしいというか、信じられないような記録でしょう。

 そもそも「52走」する競走馬が滅多に居ない中で、イナボレスは重賞だけで52度走っているのです。
 そして、重賞を4勝しています。

 3歳時のオールカマー、5歳時の金杯(東)、目黒記念(秋)、6歳時の愛知杯、の4鞍です。

 6歳時の宝塚記念(4着)と天皇賞(秋)(12着)、7歳時の天皇賞(春)(7着)と安田記念(8着)と高松宮杯(13着)と天皇賞(秋)(12着)といった、現在のG1クラスのレースにも登場しました。
 重賞3勝馬、4勝馬ともなれば、当然のことでしょう。

 「ほとんど毎月の様に重賞で走っていた」という記憶が有りますが、7歳時などは19走していますので「2ヵ月に3走」といったハイペースで、走り続けていたことになります。
 それでいて故障が無かったのですから「無事これ名馬」の代表格でしょう。

 加えて、馬主・稲富氏の名前から「イナ」を貰ったのでしょうが、後半の「ボレス」(母の馬名から取ったものと思います)とのバランスが絶妙です。「イナボレス」という、一度聞いたら忘れられないユニークな馬名も相まって、一部に熱狂的なファンが居ました。
 「愛される競走馬」だったのでしょう。

 イナボレス号、父ヘリオス、母ボーレスクイン、母の父カバーラップⅡ世。通算成績76戦8勝、主な勝ち鞍、オールカマー、金杯(東)、目黒記念(秋)、愛知杯。

 イナボレスは「走る労働者」とも呼ばれました。
 コツコツと、ひたすら走り続ける様子に対して付けられた別称なのでしょうが、現在なら使用できそうもない呼称だとも思います。

 一方で、栗毛・470kg前後の、とても綺麗な馬体が印象的でした。
 その馬体が見込まれたのでしょう、1980年代まで「東京競馬場の誘導馬」を務めています。

 イナボレスは、「花の47年組」NO.1の美丈夫だったのです。
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