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HOME   »   駅伝・マラソン  »  [東京マラソン2019] 雨中・低気温下の戦い ビルハヌ・レゲセ選手の圧勝
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 3月3日午前9時10分・スタート時の気温は5℃以下だったと思います。
 そぼ降る雨の中のレースとなりました。

 気温が低く、体が冷えたまま暖かくなり難い、厳しい気象条件の中での戦いとなったのです。

 レースはスタートからハイペースでした。
 「2時間3分前後」のハイペース。
 厳しい環境下では、ランナーにとって過酷なペースとなったのです。

 トップグループは、ディクソン・チュンバ選手(ケニア)、ビルハヌ・レゲセ選手(エチオピア)、ビダン・カロキ選手(ケニア)、サイモン・カリウキ選手(ケニア)、エルハサン・エルアバシ選手(バーレーン)、セイフ・トゥラ選手(エチオピア)、ノバート・キゲン選手(ケニア)らの外国勢と、佐藤悠基選手、大迫傑選手、中村匠吾選手の日本人選手によって構成されました。

 トップグループは10kmを29分09秒で通過、15kmは43分56秒でした。

 「この低気温下、本当に速い」と感じました。
 まさに「消耗戦」の様相でした。

 18.5km付近で、チュンバ選手やレゲセ選手がペースを上げました。
 トップグループが2分されそうになりましたが、日本選手等も懸命に付いて行きます。

 20kmは58分45秒で通過しました。相変わらずのハイペース。
 
 21kmを過ぎた辺りで、大迫選手と中村選手が遅れ始めました。
 22kmを過ぎた辺りで、佐藤選手が遅れ始めました。

 「消耗戦」の中で、日本選手達が力尽きたという形でしょう。
 こうなると、ここまで無理をした分、3名のランナーは一気にペースが落ちてしまうのが一般的です。

 レゲセ選手、カロキ選手、チュンバ選手がトップグループを形成しました。
 ペースメーカーにピッタリと付いて、レースを続けます。

 25kmは1時間13分29秒で通過。

 28km付近でチュンバ選手が遅れ始めました。
 6年連続の東京マラソン出場であり、前回の優勝者でもありましたから、優勝候補の本命と目されていたのですが、そのチュンバ選手も付いていけなくなったのです。

 レースは、レゲセ選手とカロキ選手の戦いとなりました。

 30kmは1時間28分16秒で通過しました。

 ペースメーカーが離脱して、レゲセ選手が前、カロキ選手が後ろという配置でした。
 そしてレゲセ選手がベースアップしてカロキ選手を引き離しにかかりました。

 カロキ選手のペースは、2分55秒前後/kmと全く落ちていなかったのですから、レゲセ選手は2分50秒/km前後にペースを上げた形です。
 この極めて厳しい「消耗戦」を戦いながら、再度ベースアップが出来るのですから、レゲセ選手には、計り知れない底力があることは間違いありません。

 必死に付いて行ったカロキ選手もついに引き離され、レゲエ選手の独走となりました。
 独走になっても、レゲセ選手のペースは余り落ちませんでした。
 「本当に強い」と感じました。

 29km付近で大迫選手が棄権し、中村選手も大きくペースダウンしていました。
 そして、最初にトップグループに付いて行った日本3選手の中で粘っていた佐藤選手も33km付近で一気に脚が動かなくなりました。急減速でした。

 この3選手の減速は、止むを得ないものだと感じます。
 これだけ厳しい環境下で、日本記録を大きく上回るペースで飛ばしたのですから、体へのダメージはとても大きなものだったと思われるからです。

 大迫選手の棄権に付いて言えば、「もっと早く棄権すべきであった」と考えます。
 25km辺りで棄権していれば、ダメージは相当小さかったのではないでしょうか。
 日本マラソン陣を代表するランナーを、こうしたレースで失うリスクは回避しなくではならないのです。

 少し話が逸れて恐縮ですが、「スタートした以上は完走すべき」というのは、伸び盛りの中学生・高校生位のランナーであれば多少は有効な考え方かもしれませんが、世界トップクラスで戦うアスリートにとっては危険な考え方です。
 不調やコンディションが良くない中で、心身に大きな負担がかかり続ける状況下であれば「一刻も早く棄権する勇気」が大事です。

 マラソン競技であれば、足腰を始めとする筋肉他へのダメージや心肺機能への影響が残ることは、世界の舞台で戦って行く上での大きなマイナスになってしまいます。
 これだけハイペースのレースが常態となった時代、妙な根性論の様な考え方は有害無益でしょう。

 ゴルフ競技風に言えば、「今日は大迫選手の日では無かった」ということです。
 大迫選手には、一刻も早く回復していただきたいものです。

 さて、30km過ぎでレゲセ選手がカロキ選手を引き離したところで、優勝の帰趨は決しました。

・1位 ビルハヌ・レゲセ選手 2時間4分48秒
・2位 ビダン・カロキ選手 2時間6分48秒
・3位 ディクソン・チュンバ選手 2時間8分44秒
・4位 サイモン・カリウキ選手 2時間9分41秒
・5位 堀尾謙介選手 2時間10分21秒
・6位 今井正人選手 2時間10分30秒
・7位 藤川拓也選手 2時間10分35秒
・8位 神野大地選手 2時間11分5秒

 当初トップグループに居た選手の中で、上位に残ったのは1位~4位の4名のランナーだけでした。日本3選手だけでは無く、トゥラ選手、キゲン選手、エルアバシ選手も大きく減速してしまったのです。
 このレースの前半の厳しさがよく分かる結果です。

 近時、世界のトップクラスとの差を少し縮めたかに見えた日本男子マラソン陣でしたが、まだまだ「世界との差は大きい」ことを痛感させられるレースとなりました。(関係者の皆さんは、百も承知のことかもしれませんが)

 「トップグループに居なければメダルは狙えない」のが現代の世界トップクラスのマラソンレースですから、大迫選手、中村選手、佐藤選手のトライは、その資格を得る為には当然のチャレンジでした。
 しかし、残念ながらレゲセ選手の実力は遥かに上だったのです。

 東京オリンピック2020に向けて、日本男子マラソン陣の「茨の道」は続きます。
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