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HOME   »   競馬  »  [競馬コラム232・ウオッカ死す] ウオッカ号とダイワスカーレット号
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 4月4日、繁殖牝馬ウオッカがイギリスで死亡したとの報が入りました。
 15歳でした。

 2007年、牝馬としてクリフジ以来64年振りの日本ダービー制覇を成し遂げたウオッカが亡くなったのです。
 半世紀以上振りの「牝馬による日本ダービー制覇」は時代を超えた偉業でした。

 さて、ウオッカにはダイワスカーレットという、同期の牝馬、半端無く強い牝馬が居ます。

 こんなに強い牝馬が、同期に二頭も出現したわけですが、こうした「現象」は競馬史において時々見られます。本当に不思議な現象なのです。

 両馬が最初に対決したのは、2007年3月3日のチューリップ賞でした。
 「名牝の登竜門」と言われるチューリップ賞G3です。(本ブログ2019年2月27日の記事「[競馬コラム227] 3歳牝馬の「登竜門」チューリップ賞」をご参照ください)
 このレースは、ウオッカがダイワスカーレットにクビ差で勝ちました。3着のレインダンスとは6馬身差でしたので、完全な「二強対決」のレースでした。
 最初の対決から、両馬の対決は「熾烈」だったのです。
 
 両馬の第2戦は、4月8日の桜花賞でした。
 トライアルのチューリップ賞のレース内容から、「二強」による桜花賞と目され、レースもそのようになりました。
 このレースは、ダイワスカーレットがウオッカに1・1/2馬身差で勝ちました。
 牝馬クラシック緒戦は、ダイワスカーレットに軍配が上がったのです。

 この後、ウオッカは日本ダービーを目指し、ダイワスカーレットはオークスを目指しました。
 そして、ウオッカは頭書の通りの勝利を収めましたが、ダイワスカーレットは感冒のためオークスを回避しました。
 
 ウオッカは、日本ダービーの次走に6月24日の宝塚記念を選び、1番人気となって古馬に挑戦しましたが、これはさすがにアドマイヤムーン他の先着を許し、8着と、デビュー以来初めての着外となりました。

 両馬の次の対決は、3歳秋・10月14日の秋華賞でした。
 牝馬三冠最後のレースですが、このレースはダイワスカーレットが優勝しました。
 ウオッカはレインダンスにも先着され3着でした。

 続く11月11日のエリザベス女王杯は、ウオッカが故障で回避して、ダイワスカーレットが古馬牝馬を相手にしての快勝を魅せてくれました。

 そして2007年12月23日の有馬記念。
 両馬は3歳牝馬として敢然と挑戦してきました。
 このレースは「無類の中山巧者」マツリダゴッホが勝ち、ダイワスカーレットは2着、ウオッカは11着でした。

 2008年に入り、ウオッカはドバイデューティフリーに挑み4着、安田記念で優勝と「牡馬を相手にしてのG1レース」が多くなりました。
 一方のダイワスカーレットは、春の産経大阪杯G2を勝って、秋までレースには出走しませんでした。
 2008年の夏までは、「世界を股にかけての」ウオッカの活躍と、ダイワスカーレットの「休養」?という、対照的な形だったのです。

 そして両馬の久しぶりの対決は、2008年11月2日の天皇賞(秋)でした。
 ゴール前、大接戦となったレースでしたが、ウオッカが優勝し、ハナ差でダイワスカーレットが2着、さらにクビ差でディープスカイが3着、さらにハナ差でカンパニーが4着、さらにクビ差でエアシャイディが5着という、「稀に見る」大接戦でした。

 このハイレベルな競り合いの中で、ウオッカとダイワスカーレットは、牡馬一線級の3頭を抑えて、1・2着を占めているのです。
 両馬の強さを明示したレースでしょう。
 
 そして、この2008年天皇賞(秋)が、ウオッカとダイワスカーレットの最後の対決となったのです。

 このレースの後、ウオッカは安田記念を連破し、ジャパンカップ2009を制するなど、引き続き牡馬一線級を相手に互角以上の戦いを演じました。
 ダイワスカーレットは、「ウオッカの居ない有馬記念2008」を快勝して引退しました。

 両馬の対決は、「5戦してダイワスカーレットの3勝2敗」でした。
① チューリップ賞 ウオッカ1着 ダイワスカーレット2着
② 桜花賞 ダイワスカーレット1着 ウオッカ2着
③ 秋華賞 ダイワスカーレット1着 ウオッカ3着
④ 有馬記念2007 ダイワスカーレット2着 ウオッカ11着
⑤ 天皇賞(秋)2008 ウオッカ1着 ダイワスカーレット2着

 ウオッカ号、父タニノギムレット、母タニノシスター、母の父ルション。通算26戦10勝。主な勝ち鞍、日本ダービー、ジャパンカップ、天皇賞(秋)、安田記念2勝、ヴィクトリアマイル、阪神ジュベナイルフィリーズ、G1計7勝。

 ダイワスカーレット号、父アグネスタキオン、母スカーレットブーケ、母の父ノーザンテースト。通算12戦8勝。主な勝ち鞍、桜花賞、秋華賞、有馬記念、エリザベス女王杯、G1計4勝。

 ダイワスカーレットは12戦8勝・2着4回と「連を外していない」ところが、素晴らしいでしょう。主にG1級のレースを走って12戦以上した日本のサラブレッドとしては、「シンザン(19戦15勝・2着4回)クラス」の成績であろうと思います。
 日本競馬史上屈指の名牝であることは、間違いありません。

 ウオッカは、ダイワスカーレットと比べれば成績にムラがありますが、勝っているレースが凄い。日本ダービー、ジャパンカップ、天皇賞(秋)、安田記念2勝と「牡馬一線級」を相手にG1優勝を重ねました。
 特に「64年振り」、あの「大クリフジ」以来の日本ダービー制覇の価値は計り知れないものです。「顕彰馬」に選出されるに十分なキャリアなのでしょう。

 2007年から2008年にかけて、日本競馬界は「2頭の女傑」により支配されました。

 「男勝り」のウオッカと「負けない」ダイワスカーレット。

 ダイワスカーレットは有馬記念に勝ち、産経大阪杯にも勝っていますから、牡馬と互角以上の戦いを演じているのですけれども、やはり「牝馬の中では無敵」という印象が強い。
 一方のウオッカは「力で牡馬を押さえつける強さ」がありました。
 その豪快さから、ウオッカの方がダイワスカーレットより人気が有るのでしょう。

 両馬の姿・形では、ウオッカの方が相当大きいという印象が有りますが、実のところ両馬の馬体重は490kg前後とほぼ同じなのです。ほぼ同じ体格と言って良い筈なのですが、鹿毛のウオッカの方が「逞しく牡馬のよう」に観えました。栗毛のダイワスカーレットは、アスリート牝馬という雰囲気であったと思います。

 この2頭の活躍というか「強さ」が、日本の競馬に「強い牝馬は時に牡馬より強い」という概念を根付かせてくれたのかもしれません。
 ブエナビスタやジェンティルドンナの活躍の礎となっているように感じます。

 同期の「2頭の女傑」の内、残念ながらウオッカは他界しました。
 同じ15歳(同期ですから当たり前ですが)のダイワスカーレットには、長生きしていただきたいものです。
 
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