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HOME   »   競馬  »  [競馬コラム59] 第39回日本ダービー 「ザ・3強」のレース
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 3強という言葉は、競馬界で時々使われます。その時代その時代の大レースにおいて、3頭の強い馬がレースを構成した時に、使用されるのです。

 もちろん、1番人気から3番人気までの馬を3強と呼ぶわけではありません。

① その3頭が、他の出走馬に比して明らかに上位の実力を保持していること。
② その3頭の力量が接近していること。
③ その3頭が1~3着を占めること。
 この3つの条件をクリアして、初めて3強のレースと呼べるのだと思います。

 日本ダービーにおいて、この3条件をクリアしたのは、1972年のレースだけだと思います。私は、このレースを「ザ・3強」の日本ダービーと呼びます。

 1972年・昭和47年の3歳世代は関西馬が優位でした。最初に名乗りを上げたのは、ヒデハヤテです。2歳時に、当時の関西地域最大の2歳重賞・阪神3歳ステークスを8馬身差で圧勝、1分35秒1という驚異的なレコード勝ちでした。このタイムは、それまでのレコードタイムであったアローエクスプレスの1分36秒2を一気に1秒1短縮する、別次元のタイムでしたから、当然にクラシック路線の最有力馬となりました。

 ヒデハヤテは、明けて3歳となった1972年も連勝を続け、京成杯まで5連勝、しかもいずれも完勝でしたから「皐月賞・日本ダービーまではこの馬で仕方がない」と言われました。私も、3冠馬の可能性も十分と感じました。
 しかし、好事魔多し。ヒデハヤテは脚部不安から、クラシック路線を離れました。

 1972年は、もうひとつ大きな出来事がありました。競走馬のインフルエンザが大流行してしまったのです。特に関東では、冬から春にかけて競馬が開催できない時期が続き、クラシック路線も約2か月後ろ倒しとなりました。

 この間に名乗りを上げたのが、ロングエース、ランドプリンス、タイテエムの関西馬3頭でした。

 ロングエースはデビューが遅れましたが、5連勝で弥生賞を制して、皐月賞の有力馬となりました。
 ランドプリンスは、京成杯でヒデハヤテの2着、弥生賞でロングエースの2着と勝ち切れないレースが続きましたが、世代屈指の実力は高く評価されていました。
 タイテエムは、脚部不安が出たとはいえ世代最強と呼ばれたヒデハヤテを、スプリングステークスで破り、皐月賞に駒を進めました。

 5月28日の「遅い」皐月賞は、ランドプリンスが勝ちました。ロングエースは3着、タイテエムは僅差の7着でした。

 そして1972年7月9日、第39回日本ダービーを迎えます。滅多にない7月上旬のダービーでしたから「七夕ダービー」とも呼ばれました。27頭が出走したこのレースの1番人気はロングエース、2番人気はランドプリンス、3番人気はタイテエムでした。

 レースは、4角を回って直線、まずタイテエムが馬場の中央から抜け出します。そして、外からランドプリンスが、内からロングエースが、並びかけます。3頭並んでの叩き合いはゴールまで続きました。
 3頭並走ですから、真ん中のタイテエムは挟まれてしまい不利です。両サイドのランドプリンスとロングエースが、僅かに前に出て、内のロングエースが首を伸ばし、さらに前に出たところがゴールでした。着差は、クビ、アタマ。走破タイムは、2分28秒6のレコードでした。

 日本ダービーに限らず、ほとんど差も無く3頭が200m以上に渡って並走し、僅かな差で勝敗が決するレースは滅多にありません。
 そして、その3頭は1~3番人気なのです。今後も見られそうもない「ザ・3強」ダービーでした。

 ゴール前、ロングエースの鞍上・武邦彦騎手の長手綱・腰高の騎乗フォームが大変印象に残っています。武豊、武幸四郎、両騎手の父・武邦彦ですが、同じモンキー乗りとはいえ、独特のフォームでした。現在では、ああしたフォームの騎手は見当たりません。

 このレースに近い3強ダービーといえば、1968年・昭和43年の3強、マーチス、タケシバオー、アサカオーのレースが思い出されますが、こちらは3強が牽制し合ったために、タニノハローモアの逃げ切りを許してしまい、2着タケシバオー、3着アサカオー、4着マーチスとなってしまいました。この3頭が1~3番人気であったので残念な結果ですが、画竜点晴を欠きます。
 やはり、1972年が「ザ・3強」の日本ダービーでしょう。

 曇り空で、やや薄暗かった府中・東京競馬場で繰り広げられた3頭の叩き合いは、永遠に語り継がれるレースだと思います。
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