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HOME   »   ゴルフ  »  [女子ゴルフ] 岡本綾子の「私の履歴書」
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 日本経済新聞のシリーズ物記事「私の履歴書」、5月はプロゴルファーの岡本綾子氏です。「私の履歴書」には、政財界、法曹界、芸能界等々、様々なジャンルの方が登場しますが、スポーツ界の著名人も時々採り上げられます。
 スポーツ選手の「私の履歴書」は、私達が知っている試合やプレーと、その記述内容がリンクすることもあり、臨場感十分なことが多いので、いつも楽しく読ませていただいています。

 今回の岡本綾子氏のものも、その世界に身を置いている方、世界トップクラスの女子ゴルフ界の内情や、岡本選手の心情などの記載が盛り沢山で、とても面白く素晴らしい「私の履歴書」です。

 毎日毎日見所満載ですが、特に感心しているのは

① 勝負の厳しさ
 当たり前のことと言われてしまいそうですが、改めてトップアスリートの戦いの厳しさを実感します。
 日本プロゴルフツアー、アメリカプロゴルフツアーLPGAの両方の予選会で、両方とも1度目の挑戦では失敗し、2度目に成功していることや、1986年のデュモーリエ大会でのパット・ブラッドリー選手とのやり取りなどなど。厳しいトーナメントの細部が生々しく描かれています。
 岡本選手が勝負強いなと観ていたブラッドリー選手が、実はアルコール依存症であったことなど、LPGAで戦うことの精神的プレッシャーの大きさを感じさせます。

 また、『ジャック・ニクラスから「ナンシー(ロペス)もアヤコみたいなスイングをした方がいいよ。素晴らしいリズム・テンポをしているよ」と言われて、とてもうれしかった』という記述などは、世界のスーパースターから褒められて嬉しいという、当然のことのように観えますが、凄まじい戦いの日々の中で言われたので、一層喜びが大きかったのではないかと思います。
 この「うれしかった」という記述に、LPGAの戦いの厳しさを感じるのです。

② 繊細な神経
 岡本綾子選手といえば、LPGAツアーで戦う日本人女子プロゴルファーの草分け的存在で、ソフトボールで鍛えた筋力から生み出される豪打をベースとしたプレーヤーで、攻撃的な図太い神経の持ち主かと思っていましたが、この文章の随所に、どちらかといえば「気が弱い」「受け身」「びびり」な性格が、何度も何度も書かれています。

 LPGA賞金女王を争った試合の最終日の朝『あまりの緊張感で胸が押しつぶされそうだった。クラブハウスのトイレの中で、手が震えていた。1番でティーアップするときも手が震えた。「あーっ、ボールが乗らない」・・・・心臓が口から飛び出しそうな気分を味わった・・・・』と。

 あの堂々たるプレー振りをテレビ画面で観ていた私には、最初はやや意外でしたが、読み進むにつれて、こうでなくてはならないと考えるようになりました。
 岡本選手だけでは無く世界トップレベルのプレーヤー達は皆、常に不安や恐怖と戦っているということ、そして不安や恐怖という感覚が無くては、様々なリスクに対する対応が難しいのではないかと思うのです。このリスク感覚に優れたプレーヤーでなければ良い成績を残せないのではないでしょうか。

 失敗しても、あっけらかんとしているプレーヤーの方がプロ向きのように思いますが、本当は逆なのでしょう。心配で仕方がない、不安で仕様がないから、一生懸命に準備し、日々の生活を律することができるのかもしれません。

③ ゴルフが好きであること
 これだけ厳しい戦いの中に身を置いて、日々神経をすり減らしていた岡本選手ですが、やはりゴルフが大好きでした。
 結婚のチャンスが何度かあったとのことですが『でも、ゴルフは練習すればするほど上達すると感じていたから、デートする暇が惜しい。時間があったら練習していたいとも思った』と。

 この感覚は、本当に凄いと思います。心底ゴルフが好きなのです。好きでなければ、この厳しい世界で戦い続けることは難しいのでしょう。

 毎日毎日、楽しく読ませていただいている岡本氏の「私の履歴書」ですが、5月15日の回だけは極めて不快でした。岡本選手のことが不快だったわけでは無く、LPGAに挑戦することを決めた岡本選手に対する、日本女子プロゴルフ協会や日本マスコミの対応の酷さが不快でした。

 『すでに渡米していた私のもとへ、関係者がやってきて「フニャ、おまえは自分だけでいいと考えている。ゴルフができないようにしてやるぞ」。何という脅し文句。協会もマスコミも信じられず、人間不信に陥った』と。

 他の競技や業界でも、時々耳にするこういう人達=輩(やから)の酷さには、ただ呆れるばかりです。そもそも、岡本選手を始めとするプレーヤーの活躍のお蔭で、生計を立てさせていただいている輩が、感謝する必要はあっても、脅すなどとんでもない話です。
 ファンや観客に、自分では何一つ提供することができない輩が、その業界を支えるプレーヤーに向かって暴力団紛いの言動をするなどというのは、あってはならないことで、有害無益なこうした輩を、排除していくことはできないのでしょうか。

 とはいえ、こうした不快な事実も記述していただけることで、女子プロゴルフ界の暗部についても、知ることができるのは有り難いことなのでしょう。

 20年ほど前に、仕事でアメリカ・アトランタを訪れました。現地の仲間と車で移動している時に「近くに岡本綾子のマンションがあるから見に行こう。彼女のアメリカでの拠点はアトランタなんだ。暖かくて一年中プレーできるし、周辺に良いコースも多いから」と案内されました。

 車を止めて、マンションを見上げました。もちろん、岡本選手に会うことはできませんでしたが、静かなエリアに立っているマンションだと思ったことを憶えています。
 今回の「私の履歴書」を読むにつけ、あそこを拠点に、こんなにも厳しい戦いを展開していたのだと、改めて思うのです。
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