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HOME   »   日本プロ野球  »  [NPB2019] ジーン・バッキー氏 逝去
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 9月15日、元阪神タイガースの投手、ジーン・バッキー氏が死去したと報じられました。

 9月10日に腹部の動脈瘤の手術を受けましたが、術後の経過が悪く、14日に脳卒中を併発したとのこと。82歳でした。

 1960年代、バッキー投手は間違いなく阪神タイガースのエースでした。

 1962年(昭和37年)に日本プロ野球にデビューすると、63年からは先発ローテーションに加わり、64年には353と1/3イニングを投げ29勝9敗、防御率1.89、奪三振200という素晴らしい成績を残し、外国人投手として史上初の沢村賞に輝きました。
 文句の付けようのない成績だったのです。

 この年、阪神タイガースはセントラルリーグで優勝していますが、バッキー投手と村山実投手の二枚看板が、強力なエンジンでした。

 バッキー投手と言えば思い出すことがもうひとつ。

 1968年9月18日の対巨人ダブルヘッダーの第2試合。
 初回に王貞治選手にデッドボールを与えたバッキー投手は、4回の第2打席にも「危険な球」を2球続けました。
 王選手*が怒ってバッキー投手のもとに向かい、両軍入り乱れての大乱闘となったのです。(*温厚な王選手としては珍しい行動でした。余程、腹に据えかねたのでしょう)

 この乱闘は、バッキー投手と巨人・荒川コーチの退場で一応収まりましたが、バッキー投手は荒川コーチを殴った際に右手親指を骨折してしまいました。

 試合が再開されましたけれども、バッキー投手に代わって登板した権藤正利投手が、王選手の後頭部にデッドボール。(王選手は、その場に倒れ、そのまま病院に運ばれました)
 当然のことながら、再び大乱闘となりました。

 阪神甲子園球場が異様な雰囲気に包まれる中、続く長嶋茂雄選手が、権藤投手からホームランを放ち、勢いづいた巨人は、このゲームを10-2で大勝しました。

 まだ子供だった私は、このゲームを自宅の白黒テレビで観ていましたが、頭を抱えて倒れ込む王、駆け寄る長嶋、のシーンの後、打席に立った長嶋選手の全身から凄まじい「闘志」が溢れていました。私は「ホームランを打つのではないか」と感じました。
 長嶋選手は、それを実現して魅せたのです。(今思い出しても、信じられないようなプレーです)

 バッキー投手にとっては、阪神のエースという舞台、巨人・阪神戦のマウンドという舞台から降りるきっかけとなってしまった「事件」でした。
 1964年から68年のこの試合まで、間違いなくバッキー投手は「阪神投手陣の主役」だったのです。

 そして、この試合は、長嶋茂雄選手の「勝負強さ」、ここぞという時には必ず打つという類稀なるクラッチヒッターの評価を、ますます高めるものともなったのです。

 1960年代、昭和30年代後半から昭和40年代前半の「巨人・阪神戦」は、文字通りのライバル対決でした。
 早慶戦を代表とする学生野球が日本の野球をリードしていた時代から、プロ野球が「日本の野球の主役」を奪取し、プロ野球人気がどんどん高まって行った中で、「巨人・阪神戦」は、セントラルリーグの、いや当時のプロ野球全体の「看板カード」だったのです。

 もちろん現在でも「巨人・阪神戦」は「伝統の一戦」であり、球界屈指のライバル対決ですけれども、その「対決のレベル」は随分変わりました。存在感は随分小さくなったように感じます。
 1960年代は「不倶戴天の敵」といった面持ちで、両チームは対峙していましたし、ファンの声援も凄まじいものでした。

 その「看板カード」の主役のひとりであったバッキー投手逝去の報に接し、バッキー投手が「プロ野球発展の一翼を担う存在であったこと」を、改めて感じます。

 ご冥福をお祈り申し上げます。

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