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HOME   »   ラグビー  »  [ラグビーワールドカップ2019-23準々決勝] ウェールズVSフランス 「死闘」
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[10月20日・大分スポーツ公園総合競技場]
ウェールズ20-19フランス

 準々決勝4試合の中で、一番の「接戦」でした。

 後半30分を過ぎ、試合時間残り10分を切って、ゲームはフランスチームが19-13とリードしていました。
 前評判を覆して、フランスチームがウェールズチームを破って、準決勝に駒を進めるのではないか、という雰囲気がありました。

 フランスチームは、とても上手に試合を進めていたのです。

 ゲームが落ち着く前の前半5分、ロックLOセバスティアン・バハマヒナ選手が先制トライ、続いて前半8分、フランカーFLシャルル・オリボン選手がトライとして、一気に12-0とリードしたのです。

 特に2本目のオリボン選手のトライは、「3プレーヤーが並行して走りパスを連ねる」という、まさにシャンパンラグビーの典型的なトライ、「美しい」トライでした。
 フランスの先制攻撃が、見事に実ったのです。

 ウェールズチームも、こうしたフランスチームの先制攻撃は予測していたというか、フルスロットルでのフランスの入り、は時折観られるもの(2019年の6か国対抗のこの対戦でも、フランスがいきなり16-0とリードし、ウェールズがこれを逆転しました)ですので、慌てることなく、おっとり刀で反撃の機を狙っていました。

 そして前半12分、ウェールズFLアーロン・ウェーンライト選手が独走のトライを決めて、7-12とし、その後スタンドオフSOダン・ビガー選手のペナルティゴールPGも決まって、10-12と2点差に追い上げたのです。

 ここまでは、ウェールズチームにとっては「計算済み」の試合内容であったことでしょう。

 この試合のフランスチームは、ここからが一味違いました。

 積極的な守備でウェールズの攻撃を抑え込むと、前半31分、センタースリークオーターバックCTBビリミ・バカタワ選手がトライを決めて、19-10と差を広げました。
 このゲームのバカタワ選手は「大活躍」と言って良く、攻撃のみならず、守備においてもチームのポイントとなるプレーを連発していました。素晴らしいプレーヤーだと思います。

 19-10の10点差で前半を終えたフランスチームは、おそらくは「狙い通り」の試合運びだったことでしょう。
 ウェールズチームとしては、前半で逆転する筈であったゲームだと思います。

 当然ながら、後半に入りウェールズチームの攻勢が強まりました。
 「個の力」を前面に押し出し、ガンガン行きます。

 これに対して、フランスチームは良く守りました。
 特に「2人で行くタックル」において、ウェールズの選手の突進を止めるばかりか、2~3m押し返す、「捲り上げて押し返す」プレーが随所に観られました。
 こうなると、ウェールズの攻撃は「度々寸断される」こととなりました。

 後半9分には、先制トライを挙げたバハマヒナ選手が、ラフプレーからのレッドカード一発退場となって、フランスチームとしてはラインアウトの重要なレシーバー(バハマヒナ選手は2mを越える長身プレーヤー)を失うという事態となりましたが、その後でも、フランスチームの「堅守」は継続しました。

 そうした中でウェールズチームも必死の攻めを見せ、後半14分にはSOビガー選手がPGを決めて、13-19と6点差に追い上げました。ワンポゼッション差としたのです。

 ここから、試合終了までの25分間今日の時間帯が「死闘」となりました。

 ウェールズは6点差なら逆転できると考え攻めますが、一方で自陣内でペナルティーを犯し、PGを決められて9点差となれば、一気に試合はフランスに傾きます。
 「絶対にペナルティーを犯さない範囲内」で、相手ボールを奪いに行かなくてはならないという、とても難しい時間帯が続いたのです。

 フランスとしては、とにかく追加点を奪えばよいので、慎重かつ時間をかけた攻めを展開しました。
 とても上手な試合運びであったと思います。

 攻めが上手く行かないウェールズチームに焦りが観えました。

 そして、頭書の「試合時間残り10分」を切ったのです。
 14人のフランスチームの懸命の守備が続きました。

 後半33分、フランスゴール前のスクラム。
 ウェールズチームはこれを押します。乾坤一擲の押し。
 スクラムからボールが飛び出しました。「ピョン」という感じで。

 これをウェールズチームが確保し、フランスゴールラインに迫りますが、あと30cm届かず、NO.8ジョシュ・ナビティ選手に替って前半入ったロス・モリアーティが拾い上げてゴールに飛び込みました。
 
 このプレーは、「ピョン」と飛び出したボールが、ウェールズチームの反則(ノックオンあるいはスローフォワード等でしょうか)ではなかったかと、TMOが行われました。
 まさにギリギリのプレーであり、場内が静まり返りました。

 レフェリーの手が上がり「トライ」と宣せられたのです。

 ウェールズチームが18-19とした瞬間でした。

 そしてSOビガー選手は、あっさりとコンバージョンキックを決め、ウェールズが20-19と逆転しました。
 ダン・ビガー選手にとっては「容易なキック」であったのかもしれませんが、万一外すようなことが有れば一大事ですので、他のチームのキッカーであればもう少し時間をかけて蹴ったのではないかと思います。
 ダン・ビガー選手の「精神的な強さとキック技術の高さ」をも感じさせるプレーでしょう。

 この逆転劇で試合は決したように観えました。
 もちろん、フランスチームは反撃に出たのですが、「既に試合は20-19でウェールズの勝ち」と決まっているかのような時間、3~4分の時間が過ぎた様に感じられました。
 不思議な感覚でした。

 フランスチームは「大魚を逸し」ました。
 ワールドカップ決勝トーナメントにおける「フランスの強さ」を見事に示現したのですが、惜しくも及ばなかったのです。

 「ワールドカップ決勝トーナメントに時々現れる『1点差ゲーム』」を、日本大会でも観ることができたのは、日本のラグビーファンにとってとても幸せな事であったと感じます。
 眼前で観る「死闘」、ワールドカップ史に刻まれる「死闘」でした。

 ウェールズチームは「命拾い」をしたゲームだったのでしょうか。
 不本意な試合内容であったと思いますが、とにもかくにも準々決勝を勝ち抜いたのです。
 準決勝では、本来の「華麗な攻撃」を観てみたいものです。

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