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HOME   »   ラグビー  »  [ワールドカップ2019-32] ファフ・デクラーク選手のハイパント
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 日本大会は南アフリカチームの優勝で幕を閉じました。

 その南アフリカチームのプレーにおいて、スクラムハーフSHファフ・デクラーク選手が再三上げたハイパントが、とても印象的でした。
 「スプリングボクス2019の攻撃における主要戦法」であったことは、間違いありません。

 ハイパントと言えば、私などは1970年前後の近鉄チームの得意戦法が、直ぐに頭に浮かびます。
 あの頃の近鉄チームは、何度もハイパントを上げて、相手陣内に「殺到」しました。
 ウイングの坂田好弘選手やフォワードの小笠原博選手、石塚広治選手らの突進は、当時の日本トップクラスの破壊力を魅せていたのです。

 その後、ハイパント攻撃は、相手チームにボールを渡してしまう、という理由からか、次第に使われなくなりました。
 やはりパスの方が、「ボールを自軍で保持したまま」攻撃を継続できるという判断からでしょう。

 日本ラグビーのトップクラスのゲームにおいても、近鉄チームが弱くなってからは、あまり観られない戦法となったように感じます。

 ところが、21世紀の10年代になって、ハイパントは蘇りました。
 世界トップクラスのゲームにおいても、再三使われる戦法となったのです。

 理由としては、

① 「前に蹴る」ことができるので、地域を獲得できること
② 短い距離のキックなので、キッカー自身も含めた味方プレーヤーが落下地点に到達することができ、落下してくるボールの「獲得戦」に参加できること

 が挙げられるのでしょう。

 特に、2010年以降は②の理由、50%・50%とまでは言えないにしても、距離・高さ共に上手に蹴り上げられたハイパントならば4対6位の確率で、ボールを獲得できる可能性があることは、前進していることをも含めれば、サイドラインに蹴り出して、相手ボールのラインアウトにするよりは、「ボール獲得の可能性が高い」と判断されるのでしょう。

 さらに、相手チームのプレーヤーがボールをキャッチした場合においても、そのプレーヤーにタックルしたりして、相手プレーヤーの動きを止めることは比較的容易(何しろ、捕球に競り合う程に相手プレーヤーに近い上に、相手プレーヤーはキャッチ後フィールドに降りた直後ですから、体制が出来ていないことが多いのですから)ですし、ラックになった後のジャッカルの可能性もあるからです。

 こうなると「不確実な戦法」としてのハイパントの長所を、各チームが考え活かすようになったということになりそうです。

 結果として、ハイパント戦法は、ワールドカップに出場する数多くのチームにおいて使われるものとなりました。
 我らが日本チームも、時折使っていました。

 そうした各チームの中でも、南アフリカチームがハイパントを多用していたことは、皆さんご覧の通りです。
 もちろん、デクラーク選手も、パスや、自身がボールを保持しての突進も行うのですけれども、圧倒的にハイパントが多かった印象です。これだけハイパント戦法を主力戦法として試合で使うこととなれば、その技術が向上するのは自然な話です。

 「左利き」のデクラーク選手から、様々な角度に、様々な距離・高さ、のハイパントが繰り出され、相手チームを悩ませたのです。

 21世紀に入ってからの一時期、ラグビー競技は「陣地取りゲーム」となり、両チームが相手チームの陣内に深々とキックを蹴り合うシーンが続いた時期が有りました。
 蹴り合いから、上手く蹴った方、長いキックを安定して蹴ることができるチームが、優位にゲームを進める時代があったのです。

 その「蹴り合い」も味が有りましたが、やはり「他のプレーヤーが殆ど動かない」状況下で、延々と長いキックの応酬が続く、というのは、面白くないという意見が多数出されたのも、自然なことでしょう。

 そうした時代が10年位は続いたでしょうか、その「蹴り合いの時代」を経て、ハイパントの時代が到来したように観えるのです。

 日本大会の南アフリカチームは、自チームのメンバーの特性等を十分に考慮して、主要戦法としてハイパントを採用し、見事に優勝を勝ち取りました。

 「チームに合った戦法」を採用し、磨きをかけて行くことが重要であることを、明示してくれたのでしょう。
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