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HOME   »   駅伝・マラソン  »  [東京マラソン2020男子] 大迫傑選手のガッツポーズ
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 新型コロナウイルス肺炎感染拡大の影響で、エリートランナーのみのレースとなった、東京マラソン2020は、東京オリンピック2020のマラソン代表争いの場ともなって、激しい展開となりました。

[東京マラソン2020男子の結果]
1位 ビルハヌ・レゲセ選手(エチオピア) 2時間4分15秒
2位 バシル・アブディ選手(ベルギー) 2時間4分49秒
3位 シサイ・レマ選手(エチオピア) 2時間4分51秒
4位 大迫傑選手 2時間5分29秒(日本新記録)
5位 ビダン・カロキ選手(ケニア) 2時間6分15秒
6位 エルハサン・エルアバシ選手(バーレーン) 2時間6分22秒

 快晴の中でスタートしたレースは、黄色のユニフォームに身を包んだペースメーカーによってハイペースで進みました。

 2時間3分位を目途にした第1グループのペースメーカーと、2時間5分位を目途にした第2グループのペースメーカーは、共に良く走りました。従って、レースは、日本国内ではあまり眼にすることが無いようなペースだったのです。

 レース前に、このレースの日本人ランナーの3強と目されていた、井上大仁選手と大迫傑選手は第1グループGで、設楽悠太選手は第2Gでレースを進めました。

 第1Gの中で、井上選手はエチオピアのトリオと共にGの先頭に位置してレースをリードしました。一方の大迫選手はGの後方に位置しました。設楽選手は第2Gの先頭に位置していました。

 井上選手と大迫選手はしばらくこのままで走るであろうと思いましたし、設楽選手は第2Gの先頭以外の位置に下がるようなら、今回は調子が悪いと観るべきだと思いました。

 ペースメーカー各ランナーは本当に良く役割を果たしていました。
 ラップタイムなら、途中までは世界最高記録水準だったのです。第2Gも日本最高記録を大きく上回っていました。
 凄いレースになったと感じましたが、一方で、これだけのハイペースに、多数の日本選手が付いて行っていることは、少し不思議な感じがしました。

 そのペースメーカーの頑張りがレース展開にも影響を与えました。
 23km付近で向かい風を受けてピッチが落ちたことを、24kmから「取り返し」にかかったのです。
 24kmからの3km間の1kmごとのラップは、2分52秒→2分51秒→2分51秒という超ハイペースとなったのです。
 井上選手はこのペースにしばらくの間ついて行きましたが、大迫選手は遅れたのです。
 結果として、井上選手と大迫選手の差が開きました。

 日本記録を大幅に上回るペース下のことでしたから、東京オリンピック2020の代表争いという点では、井上選手が有利になったように観えました。
 井上選手は、その後も安定した走りを魅せましたから、2時間4分台のタイムが期待されたのです。
 一方の大迫選手は、じりじりと後退していました。
 設楽選手も第2Gの後方に下がりました。これは「変調」であろうと思いました。

 先頭Gはエチオピアトリオ、レマ選手、レゲセ選手、メングストゥ選手が引っ張りました。
 第1Gが2つに割れて、エチオピアトリオが先頭に立ち、井上選手を含めたGが4位Gとなりました。大迫選手は、その4位Gからも相当後ろを走ることとなったのです。エチオピアチームの強さが際立ちました。

 その4位Gのペースが次第に落ち始めたのは30km手前からでした。
 単独走であった大迫選手が、じりじりと追い上げます。
 第3Gとなった、設楽選手が入るGも追い上げました。

 30km地点でペースメーカーがその役割を終了しました。
 どのマラソンレースにおいても、勝負はここからです。

 一時は、日本人ランナーによるレース争いの主導権を握ったかに観えた井上選手を、大迫選手が捕まえたのは32km付近でした。
 そして、僅かな並走の後、32.7km付近で大迫選手が出ました。
 外国人ランナーを含む4位Gから、一気に抜け出したのです。

 この大迫選手の加速は迫力満点でした。
 このレースにおける「日本ランナートップ」を決める加速であったと思います。

 35km付近では、さすがのエチオピアトリオのペースも「ガクッと」落ちました。1km・3分11秒となったのです。
 井上選手のラップも眼に観えて落ちました。
 やはり、前半20kmまでの超ハイペースが堪えたのでしょう。

 このレースは、この後、記録がどんどん落ちると感じました。
 日本人ランナーによる日本記録の更新も、エチオピアトリオによる大会記録の更新も、難しくなったと思いました。

 しかし、ここからがこのレースにおける大迫選手の真骨頂でした。
 38km付近からは、右の胸あるいは脇腹を再三揉む様子がテレビ画面に映し出されるようになりました。
 大迫選手にとっては、とても苦しい「残り4km」となったのです。

 その大迫選手が40kmを過ぎてから、1km・3分02秒にベースアップをした時には、本当に驚かされました。
 眦を決したような表情にも、「疲労を超えた何か」が感じられました。
 この「40kmからゴールまでの2.195km」に、ケニア合宿の成果が現れていたのでしょう。

 東京駅正面のゴールに向かって石畳の走路を左に曲がる時、大迫選手は「拍手」をしました。
 「自らのパフォーマンス」に対する拍手だったのではないかと思います。
 そして、左に曲がり切ったところで「右手」を大きく挙げました。
 観衆の歓声に応えて魅せたのです。
 そこから、満足感に溢れた表情で何度もガッツポーズをしながらゴールに飛び込みました。
 「会心のレース」が、そこには有りました。

 2時間5分29秒。
 自身の日本最高記録を更新する、見事な新記録でした。
 日本男子マラソンの第1人者が、その力を示したレースでもありました。

 いつもクールな大迫選手が、喜びを爆発させたシーンが印象的な、東京マラソン2020男子であったのでしょう。
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