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HOME   »   サッカー  »  [FIFAワールドカップ1982準決勝] 「死闘」 フランスチーム 延長で2点リードするも勝ち切れず
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 新型コロナウイルス禍のために、多くのスポーツイベントが延期・中止なっている時期は、撮り貯めた録画を自宅で楽しむのに最適です。
 今回は、ワールドカップ1982の準決勝です。

[1982年7月8日・ラモンサンチェスビスフアン(セビージャ・スペイン)]
西ドイツ3-3フランス(延長で決着つかず。PK戦5-4で西ドイツが勝ち上がり)

 ワールドカップの歴史上には、数々の「死闘」があります。
 世界トップクラスの選手達が、その体力と知力の全てを振り絞って戦い、スコアも拮抗した状態で、延々と続くゲーム。
 体力と知力の「最後の一滴まで出し切らなくてはならないゲームが観られるのが、ワールドカップなのかもしれません。

 第12回ワールドカップ・スペイン大会の準決勝、フランスVS西ドイツも「死闘」でした。

[西ドイツチーム先発メンバー]
1. GKシューマッハ選手
2. DF K.フェルスター選手
3. シュティーリケ選手
4. B.フェルスター選手
5. MFカルツ選手
6. ブリーゲル選手
7. ドレムラー選手
8. ブライトナー選手
9. FWマガト選手
10. リトバルスキー選手
11. フィッシャー選手

[フランスチーム先発メンバー]
1. GKエトリ選手
2. DFボッシ選手
3. アモロス選手
4. ジャンビオン選手
5. トレゾール選手
6. MFシャンジニ選手
7. ジレス選手
8. ティガナ選手
9. プラティニ選手
10. FWロシュトー選手
11. シス選手

 両チームともとても良いメンバーです。(当たり前と言われてしまいそうですが)
 特に中盤、ミッドフィールダーMFのメンバーが素晴らしい。
 フランスチームのジャンジニ、ジレス、ティガナそしてプラティニの4名は、当時世界屈指のカルテットでした。
 ドイツチームのブライトナー、ドレムラー、ブリーゲル、カルツもとても優秀です。

 大会前なら、フランスのMFの方が評価が高かったかもしれません。

 このゲームは、全盛期を迎えつつあったフランス代表チーム、「将軍」ミッシェル・プラティニ選手を擁して、初のワールドカップ制覇を目指したフランスチームが、西ドイツ代表チームとの準決勝に臨み、延長前半で2点をリードしながらも勝ち切れなかったゲームです。

 ワールドカップという世界最高の舞台で、そもそも3-3というスコア自体が珍しいものであり、90分・1-1、120分・3-3、PK戦・5-4という試合展開は、まさに「死闘」と呼ぶに相応しいゲームでしょう。
 
 驚くべきスタミナを誇る代表選手達も、さすがに70分を過ぎるころから動きが悪くなりました。
 「十分に90分間戦える」筈の、世界最高の持久力を誇る選手達でも、これだけ「厳しいプレーが続く」と、動けなくなることを認識させられるゲームであり、しかしその状態から延長に入って「再び勢いを取り戻す」スキルの高さに、感服させられるゲームでもありました。

 ゲームは西ドイツチームの先制で始まりました。
 前半17分、ゴール前の波状攻撃から、ペナルティエリアのフランスゴールに向かって右外に弾きだされてきたボールを、リトバルスキー選手が叩き込んだのです。威力・コースとも、素晴らしいシュートでした。
 このシーンは「リトバルスキー選手を紹介する映像」に必ずと言って良いほど登場します。リティのキャリアにおける最高のシーンのひとつなのでしょう。

 「三銃士」を中心に反撃するフランスチームは、前半26分ペナルティーキックを得ます。
 蹴るのはもちろんプラティニ選手です。

 ドイツのゴールキーパーGKは、当時の世界NO.1キーパーと目されていたシューマッハ選手。
 名手同士の対決ですから、蹴る前から様々な細かい動きが観られました。
 そしてプラティニ選手は、ゴール右上に強烈なシュートを放ちました。
 これはシューマッハ選手でも、どうしようもないと言うか、どんなGKでも絶対に止められないシュートであったと思います。プラティニ選手の気迫溢れるプレーでした。

 ゲーム後半に入り、ハイレベルな両チームの攻防が続きました。
 ドリブルのスピード、パスのスピード・精度、ゴール前の瞬発力、得点を取るための戦術、どれをとっても世界最高レベル、当然ながら、21世紀のサッカーと比較しても全く遜色の無いプレーが、延々と繰り広げられたのです。

 80分を過ぎてから、両チームのプレーヤーの運動量が眼に観えて落ちました。
 プラティニ選手は歩いていることが多くなりましたし、リトバルスキー選手もボールの競り合いで後れを取ることが多くなったのです。
 それでも、何とか「得点の形」を作るところはさすがでしたが、得点は遠い印象でした。

 ゲームは1-1のまま延長戦に縺れ込みました。
 このままPK戦に入ってしまうのではないかと考えていました。

 ところが、延長に入ってから、フランスチームの動きが良くなったのです。
 もう一度「エンジンを吹かした」という感じでしょうか。

 延長前半2分、トレゾール選手が勝ち越し点を挙げます。あれだけ堅かったドイツゴールを抉じ開けたのです。
 そして、延長前半8分、ジレス選手が追加点を挙げました。
 これで「3-1」とリードしたのです。
 ワールドカップ準決勝の延長戦における2点差と言うのは、とてつもなく重いものです。
 何より、相手チームから「戦意を奪う」ものなのです。
 
 さすがの西ドイツチームも、これで万事休したと感じました。
 フランスチームにとっての「初の決勝進出」が大きく近づいた瞬間でした。

 しかし、「決して諦めない西ドイツチーム」の伝統が、ここでも生きていたのです。
 西ドイツチームの戦意は、全く衰えていませんでした。

 体調不良で先発メンバーに入っていなかった「エース」、得点力抜群のフォワードFW、カール・ハインツ・ルンメニゲ選手を投入します。
 そして、そのルンメニゲ選手が、いきなり、前半12分にゴールを挙げるのですから、恐れ入ります。
 自身のこのゲーム初シュートであったことは間違いありませんが、ひょっとするとファーストタッチであったかもしれません。
 フランスゴール向かって左サイドで、ディフェンダーDFと競り合い、共に脚を伸ばしてボールにアタックし、僅かにルンメニゲ選手の足がボールにタッチしてのシュートが、フランスゴールに突き刺さりました。
 ルンメニゲ選手の恐ろしさ、ひいては、西ドイツチームの恐ろしさを、これ程感じさせるゴールもないでしょう。

 延長後半3分、ドイツチームのFWフィッシャー選手が追加点を挙げて、ドイツチームはついに同点としました。
 やはり、フランスゴール向かって左サイドからの「振り向きざまのシュート」、いかにもフィッシャー選手らしいゴールでした。

 ルンメニゲ選手といいフィッシャー選手といい、大試合のここぞという場面で「持ち味」を発揮できるところに、世界一流を感じます。

 「まさかの同点」に追い付かれてしまったフランスチームも、しかし、この後良く攻めましたけれども、ゲームは3-3の同点のままPK戦に入りました。

 こうなるとドイツチームが有利と言うのは、ゲームの常識なのでしょうが、フランスチームはここでも頑張りました。
 ドイツの3人目シュティーリケ選手のPKを守護神エトリ選手が止めたのです。
 シュティーリケ選手の落胆ぶりが、延々と映像に映し出されます。

 PK戦3人目を終えて3-2とリードしたフランスチームが、再び優位に立ちました。

 しかし、ここでフランスチームの前に立ちはだかったのは、シューマッハ選手でした。
 フランスの4人目シクス選手を止め、6人目のボッシ選手をも完璧に止めて魅せました。世界NO.1ゴールキーパーの面目躍如でしょう。
 ボッシ選手を止めた直後、右手を挙げ喜びを表現する姿が、シューマッハ選手のキャリアにおける代表的な「絵」のひとつとなりました。大喜びでは無く、静かに右手を挙げる姿に、「男の中の男」を感じます。

 ドイツチームは、4人目のリトバルスキー選手、5人目のルンメニゲ選手、6人目のルベッシュ選手がしっかりと決め、見事に勝利を掴みました。
 
 「死闘」を戦った後でも、「いつものように」勝利を喜ぶドイツチームの様子が、とても印象的でした。

 このゲームは、いかにも「ワールドカップの準決勝」らしいゲームだと思います。
 とても「骨太」。
 「サッカーの最高峰」を眼前に示してくれるゲームなのです。

 フランス代表にとっては「大魚を逸した」ゲームでしたが、このゲームの負けを糧として、1984年の欧州選手権(ユーロ)初優勝に繋がったと考えるのが、良いのでしょう。

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