FC2ブログ
HOME   »   サッカー  »  [ブラジルサッカー] カナリア軍団を生んだ「マラカナンの悲劇」
RSSフィード iGoogleに追加 MyYahooに追加
 1950年・昭和25年7月16日、ブラジル・リオデジャネイロの世界最大のサッカー場であるマラカナンスタジアムは、20万人!の大観衆で埋め尽くされていました。
 第4回FIFAワールドカップ・ブラジル大会の決勝(この大会は決勝リーグ戦方式でしたから、リーグ戦の最終戦)、ブラジル対ウルグアイのゲームが行われたのです。

 地元のブラジルチームは、ここまで抜群の得点力を背景に圧勝を続けてきました。決勝リーグのスウェーデン戦は7対1、スペイン戦は6対1で勝利し、このウルグアイ戦で勝つか引き分ければ優勝というところまで来ていたのです。
 一方のウルグアイチームは、スウェーデンには勝ちましたがスペインとは引き分けという苦しい戦いを続けていました。しかし、さすがに第一回ワールドカップの優勝国であり、南米サッカーの先進国として「勝てば優勝」という形を創り上げたのです。

 この頃ブラジルは、サッカーの新興国でした。世界のサッカー界は、起源国のイングランドを始めとし、ここまでワールドカップ優勝2回を誇るイタリアなどの欧州勢と、南米のウルグアイを中心に回っていたのです。

 そこに新興国のブラジルが急速に力を付け、実力的には世界のトップクラスと言われるようになりました。そのブラジルが、地元開催のワールドカップで優勝を目指すのは当然のことでした。

 ご承知のように、サッカーという競技はホームチームが強いスポーツです。ワールドカップにおいても同様で、ウルグアイ、イタリア、イングランド、アルゼンチン、フランスは「ワールドカップ初優勝が自国開催の大会」なのです。イングランドとフランスは、自国開催の大会以外では優勝していません。
 また、ワールドカップを複数回優勝している国で、自国で優勝していないのはブラジルだけです。

 こうした条件下で、この大会でブラジルチームが優勝するのは「当然のこと」と見られていました。このことが、当時のブラジル代表チームにとって大変なプレッシャーになったのだと思います。
 ここまで、7点6点と大量点で勝ってきたブラジルチームですが、この試合では中々得点できません。後半2分にようやくブラジルが先制、優勝への期待が高まりました。
 しかし、ウルグアイは後半21分に同点とし、後半34分に逆転ゴールを決めて2対1とリード。試合はこのまま終わり、ウルグアイが2度目のワールドカップ制覇を成し遂げたのです。

 試合の終盤には悲鳴が響き渡っていたマラカナンスタジアムは、試合終了と同時に水を打ったように静まり返りました。場内では、観客2人がショック死、2人が自殺し、20人以上が失神したと伝えられています。
 ラジオ放送されていたようですから、ブラジル全土ではもっと多くの死者が出ていたと思います。

 このあたりのファンというかブラジル国民の感覚は、おそらく我が国のサッカーファン・あらゆるスポーツのファンでは、想像もつかないものでしょう。ブラジルの人達にとって、サッカーは人生そのものなのかもしれません。

 この試合で、ブラジル代表チームは白いユニフォームを着ていました。この悲劇を二度と思い出したくもないということでしょう、ユニフォームの色が変更されたのです。現在の黄色いユニフォーム・カナリア軍団の始まりです。

 この時9歳だったペレ少年が、嘆き悲しむ父親に「悲しまないで。いつか僕がブラジルをワールドカップで優勝させるから」と励ましたという「伝説」が残されています。
 その言葉通り、8年後のワールドカップ・スウェーデン大会で、17歳のペレを擁するブラジルチームは、ワールドカップ初優勝を飾りました。そして、ペレはその後もブラジルに2回のワールドカップ優勝を齎しました。

 これで、ワールドカップ優勝通算3回となったブラジルは、初代のワールドカップ・トロフィーである「ジュールリメ杯」を永久保持する栄誉を得ました。
 さらに、ロマーリオやベベトを中心としたチームで1994年のアメリカ大会を、ロナウドやリバウド、カフーを中心としたチームで2002年の日韓大会を制し、計5回のワールドカップ優勝最多記録に輝いているのです。

 しかし、私にはこの5回の優勝をもってしても「マラカナンの悲劇」は購われていないように感じられます。それ程に、この悲劇は重いのです。

 1950年の「マラカナンの悲劇」を過去のものにするための大会が、2014年のブラジル大会でしょう。64年の歳月をかけて、ついにこの時がやってきたのです。
 たとえ、FIFAランキングがブラジル史上最低の22位に沈んでいる現在でも、ブラジル代表チームは「絶対に優勝する」覚悟で、ワールドカップ・ブラジル大会に臨むものと思います。
 そして決勝の会場は、同じマラカナンスタジアムなのです。

関連記事
スポンサーサイト



NEXT Entry
[競馬] 第54回宝塚記念 注目馬
NEW Topics
[競馬コラム269] オークス2020のデアリングタクトと日本ダービー2020のコントレイル
[温故知新2020-陸上競技4] 男子走り幅跳び オリンピック金メダリストの記録
[ブンデスリーガ2019~20・第27節(無観客)] バイエルン・ミュンヘン 圧勝
[温故知新2020-女子テニス2] アメリカの英雄 ビリー・ジーン・キング選手
[競馬(無観客)] 東京優駿(日本ダービー)2020の注目馬
[温故知新2020-女子テニス1] 「史上最強」 マーガレット・コート選手
[温故知新2020-男子テニス3] ダブルスの名手 ジョン・ニューカム選手
[温故知新2020-陸上競技3] 男子10,000m オリンピック金メダリストの記録
[温故知新2020-競泳2] 男子1,500m自由形 日本チームの全盛期
[温故知新2020-競泳1] 男子100m自由形 日本チームの黄金時代
[FIFAワールドカップ2010準々決勝] ドイツチームの完勝
[温故知新2020-男子テニス2] 「史上最強」 ロッド・レーバー選手
[競馬(無観客)] 優駿牝馬(オークス)2020の注目馬
[温故知新2020-陸上競技2] 男子1,500m オリンピック金メダリストの記録
[温故知新2020-陸上競技1] 男子100m オリンピック金メダリストの記録
[ラグビーワールドカップ2011プールA] 日本チーム フランスチームを相手に65分まで4点差の健闘
[温故知新2020男子テニス-1] ウィンブルドンを勝てなかった イワン・レンドル選手
[競馬コラム268・ヴィクトリアマイル2020] 感動的なレース
[FIFAワールドカップ1986決勝] アルゼンチンチーム 2度目の優勝
[競馬(無観客)] ヴィクトリアマイル2020の注目馬
[NPB・MLB2020] 「開幕」に向けての動き
[ブンデスリーガ2019~20] 無観客での再開へ
[競馬コラム267-日本馬の海外挑戦12] 2009年 牝馬の挑戦
[FIFAワールドカップ2010ラウンド16] ブラジルチーム 貫録の勝利
[FIFAワールドカップ2010ラウンド16] 日本チーム 史上初のPK戦
[FIFAワールドカップ2010ラウンド16] ランパード選手 「幻」のゴール
[Jリーグ2020] イニエスタ選手のオンライントークショー
[競馬(無観客)] NHKマイルカップ2020の注目馬
[NBA2020] 個人トレーニング再開に向けての動き
[UEFA-EURO2012-グループD] イングランドとフランスの激突
[競馬コラム266-天皇賞(春)2020] フィエールマンの連覇とC.ルメール騎手の天皇賞4連勝
[UEFA-EURO2012-グループB] ポルトガル デンマークとの接戦を制す
[競馬コラム265・下鴨ステークス2020] スズカルパン 100戦出走達成!
[UEFA-EURO2012-グループA] 開幕戦 ギリシャチーム 驚異の粘り
[UEFA-EURO2012-グループD] フランスチームの堅守
[競馬(無観客)] 天皇賞(春)2020の注目馬
[UEFA-EURO2012-グループC] イタリアとクロアチア 一歩も引かず
[競馬コラム264-日本馬の海外挑戦11] 2007年 シンガポール競馬への進出
[UEFA-EURO2012準々決勝] クリスティアーノ・ロナウドVSチェフ
[競馬コラム263-日本馬の海外挑戦10] 2006年 ハーツクライとデルタブルース
[スーペルコパ2020準決勝] FCバルセロナ よもやの敗退
[UEFA-EURO2012準決勝] 「怪物」バロテッリ選手の2ゴール
[マラソン2020] 「心臓破りの丘」 山田敬蔵氏 逝去
[競馬コラム262-日本馬の海外挑戦-9] 2005年 ゼンノロブロイとハットトリック
[MLB2020・MVPランキング] バリー・ボンズ選手の凄さ
[フィギュアスケート2020春・世界ランキング] 羽生選手、紀平選手が共に1位
[NPB2020] 菅野智之投手 超絶の仕上がり
[高校野球2020] 花巻東高校 女子野球部が練習開始
[大相撲2020] 豊ノ島の引退
[UEFA-EURO2008決勝] スペインチーム 黄金時代の幕開け
Entry TAG
マラカナンの悲劇  
Comment
131
そして、自国開催で歴史的大敗をしてしまったのです

大敗すぎて悲劇じゃなくて惨劇ですね

133
Re: コメントありがとうございます。
おっしゃる通り、この大敗はブラジルにとって大ショックだったと思います。

ブラジルサッカーの特質である「個人技」さえ、鳴りを潜めてしまったのは
とても意外でした。

引き続き、コメントよろしくお願いします。

Trackback
Comment form
 管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

カエサルjr

Author:カエサルjr
「スポーツを考える-KaZ」ブログへ
ようこそ!
我が家の月下美人も16年目。同時に30個の花が咲くこともあります。スポーツも花盛りですね。一緒に楽しみましょう。

最新記事
最新コメント
検索フォーム
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

Page Top
CALENDaR 123456789101112131415161718192021222324252627282930