FC2ブログ
HOME   »   サッカー  »  [FIFAワールドカップ2010ラウンド16] ランパード選手 「幻」のゴール
RSSフィード iGoogleに追加 MyYahooに追加
 新型コロナウイルス禍のために、多くのスポーツイベントが延期・中止なっている時期は、撮り貯めた録画を自宅で楽しむのが良いようです。
 今回はワールドカップ2010南アフリカ大会の決勝トーナメント1回戦です。

[2010年6月27日・フリーステートスタジアム(ブルームフォンテーヌ・南アフリカ )]
ドイツ4-1イングランド

 グループリーグGLのD組を首位で通過したドイツ代表チームと、C組を2位で突破したイングランド代表チームが対戦しました。

 「ドイツVSイングランド」は、世界のサッカーナショナルチーム同士の対戦における看板カードのひとつです。

 ワールドカップやユーロにおける豊富な優勝経験を誇るドイツチームと、ワールドカップ優勝が1回、ユーロは優勝経験が無いというイングランドチームでは、その実績面では差が有りますけれども、やはり「サッカーの母国」という意味で、イングランドチームには独特かつ唯一のバリューが有って、その対戦が注目されるのは、自然なことなのでしょう。

 更に、この両チームの対戦は、このゲームの前までは常に「大接戦」となってきたのです。
 ワールドカップの舞台で、この両チームが最初にまみえたのは、1966年のイングランド大会決勝戦でした。このゲームは4-2(延長戦2-0)でイングランドが勝利し、初のワールドカップを獲得しています。
 2度目の対戦は、ワールドカップ1970の準々決勝で、これは3-2(延長戦1-0)で西ドイツが勝ちました。
 3度目の対戦は、ワールドカップ1982の2次リーグ・グループBでの対戦で、0-0の引分けでした。
 4度目の対戦は、ワールドカップ1990の準決勝で、1-1の同点からPK戦に入り、西ドイツが4-3でイングランドを破っています。

 ワールドカップの舞台においては、4度戦い西ドイツチームの2勝1敗1引分という対戦成績ですが、「90分間で決着したゲームが皆無」ということですから、常に拮抗した戦いを繰り広げていたことは明白でしょう。

 東西ドイツが統一されて、ドイツ代表となって初めてのイングランド代表とのワールドカップにおける歴史的なゲームが行われたのです。

[ドイツチームの先発メンバー]
1. GKノイアー選手
2. DFアルネ・フリードリッヒ選手
3. ジェローム・ボアテング選手
4. ラーム選手
5. メルテザッカー選手
6. MFサミ・ケディラ選手
7. シュバインシュタイガー選手
8. エジル選手
9. トーマス・ミュラー選手
10. ポドルスキー選手
11. FWクローゼ選手

[イングランドチームの先発メンバー]
1. GKジェームス選手
2. DFアシュリー・コール選手
3. テリー選手
4. ジョンソン選手
5. アップソン選手
6. MFランパード選手
7. ジェラード選手
8. バリー選手
9. ミルナー選手
10. FWルーニー選手
11. デフォー選手

 このゲームは、観ていてとても「華やか」です。
 その理由は、スタープレーヤーが目白押しだからでしょう。

 イングランドチームは、フォワードFWにウェイン・ルーニー選手、ミッドフィールダーMFにフランク・ランパード選手とスティーブン・ジェラード選手、ディフェンスDFにアシュリー・コール選手とジョン・テリー選手と、この時代のイングランドを代表するプレーヤーをずらりと並べ、ジェイムズ・ミルナー選手やギャレス・バリー選手で廻りを固めています。イングランドのオールスターチームと言って良いでしょう。
 ファビオ・カペッロ監督が、組上げた重厚なチームです。

 このチームで唯一気になったのは、ゴールキーパーGKのディビット・ジェームズ選手でしょうか。身長194cmを誇る長身GKであり、高いボールへの強さには定評がありましたが、40歳という年齢も有って、ボールへの反応スピードにはやや心配が有りました。
 常に世界的なGKを輩出するイングランドチームにとっては、珍しい「GK空白の時期」だったのかもしれません。

 一方のドイツチームは、2004年から指揮を執るヨハヒム・レーヴ監督のチーム創りが伸長し、ワールドカップ2014制覇に向けて若く力強いチームが出来上がりつつありました。
 MFにバスティアン・シュバインシュタイガー選手、ルーカス・ポドルスキー選手、メスト・エジル選手、サミ・ケディラ選手、ミュラー選手といった「若手」を並べ、DFにはフィリップ・ラーム選手、ボアテング選手、ペア・メルテザッカー選手を揃え、GKにはマヌエル・ノイアー選手を配し、フォワードFWワントップにはベテランのミロスラフ・クローゼ選手を置くという、運動量十分の、バランスの良い布陣となっています。

 GLの成績を観る限りは、ドイツチームが有利と言う見方が多かったのです。

 さて、ゲームが始まりました。

 中盤でのパス回しから、エジル選手やケディラ選手が自在に走り回ってチャンスを創るドイツチームと、ジェラート選手やランパード選手からのパス出しでチャンスを創るイングランドチームという、対照的なゲーム運びの中で、0-0の展開が続きました。

 そして前半20分。
 ドイツゴール前から、ノイアー選手が大きく前に蹴ります。
 GKのゲーム再開のキックとしては、やや低く飛び出したボールは、一気にイングランドゴール前のクローゼ選手の元へ。
 クローゼ選手は、このボールの転がりに沿って走り、DFマシュー・アップソン選手と競り合い、これを右腕で振り払いながら、GKジェームス選手と1対1。倒れ込みながら右足で、ジェームス選手の右側にシュート。これが綺麗に決まりました。

 GKからの1本の「ラストパス」を、一度もドリブルすることも無く、直接ゴールしたのです。
 滅多に観られないというか、私はワールドカップの舞台において、こうしたゴールを観たのは初めてですし、その後も一度も眼にしていません。

 「決定力ならばクローゼ」と称される、ワールドカップ史上屈指(ワールドカップ通算得点数NO.1)のストライカーですが、そのクローゼ選手の数多いゴールの中でも、屈指のスーパーゴールでしょう。
 何より、「ゴールに向かう集中力」と「体幹の強さ」が際立ちました。

 このドイツの先制点により、ゲームは一気に動きました。

 前半32分、ドイツチームが右サイドから攻めます。
 クローゼ選手からミュラー選手にパス、ミュラー選手がドリブルで駆け上り、左から走り込んできたポドルスキー選手にパス、ポドルスキー選手はイングランド陣深くまでドリブルで走り込み、角度の無いところからシュート。これがGKジェームス選手向かって左側、ポスト寄りを突破して入りました。
 インクランド守備陣をスピードで圧倒したゴールでした。

 0-2とリードを許したイングランドが反撃に移ります。
 ランパード選手を中心とした攻撃は迫力十分。
 後半37分、右からのコーナーキックCK。これをショートコーナーとして、ジェラート選手がゴール前にクロスを上げ、アップソン選手がヘディングシュート。
 GKノイアー選手が僅かに触りましたが、ゴールイン。
 アップソン選手の滞空時間の長い、素晴らしいヘディングでした。

 1-2、イングランドは1点差に追い上げ、攻め続けます。

 そして、あのシーンが訪れるのです。
 
 前半38分、ドイツゴール前のデフォー選手からランパード選手に短いパス。
 これをランパード選手がシュート。これがバーに当たって下に落ちゴールイン。
 ランパード選手は両手を挙げて、喜びを表現しました。

 ところがゲームが止まることは、ありませんでした。

 「ノーゴール」という判定だったのです。

 何度VTRを観ても、ボール3~4個分は入っています。
 「見間違えようがない得点」でした。
 しかし、審判団からは観えなかったのです。

 イングランドチームとランパード選手にとっては、ゴールインしたボールが、直ぐにゴール外に跳ね出たことが、やや不運だったのでしょうか。
 そして、跳ね出たボールを取ったGKノイアー選手は、何事も無かったかのように、ボールを前方のプレーヤーに配したのです。
 
 このゲームは、結果としては4-1という大差でドイツが勝利しましたが、もしこの段階で「2-2の同点」となっていたら、ゲームの帰趨は全く分からなかったと思います。
 やはり、さすがに「伝統の一戦」だったのです。

 そして、ランパード選手の能力の髙さにも驚かされるばかりです。
 中盤からゴール前まで自在に動き、何より「人に強く」パワフル、そして決定力があるのです。
 ゲームメーカーとして、そしてストライカーとして、イングランドサッカー史上屈指のプレーヤーであったことは、間違いないでしょう。

 前半は2-1、ドイツチームがリードして終わりました。

 後半を迎え、イングランドチームの精神面が心配されました。
 完全なゴールが無得点となったショックは、ハーフタイムのベンチの中での打合せの際に、一層強く選手達の心に刻まれた可能性が有ったからです。

 しかし、後半開始直後から、イングランドの選手達は果敢に攻め続けました。
 素晴らしい闘志であったと感じます。

 両チーム一進一退からの後半21分、イングランドがドイツゴール前でフリーキックFKを得ました。蹴るのはランパード選手。キックの破壊力・精度共にチームNO.1のランパード選手のシュートに期待がかかりました。
 しかし、このFKシュートはドイツチームの壁に当たって跳ね返りました。

 そして、ここからドイツチームのカウンター攻撃が始まったのです。
 ドイツゴール前右サイドに居たミュラー選手から、左サイドで走り出していたシュバインシュタイガー選手にパス、シュバインシュタイガー選手はドリブルで駆け上がります。もの凄いスピード。
 イングランドのペナルティエリア前まで走り込んだシュバインシュタイガー選手から、右サイドを走り上がってきたミュラー選手にパス。ミュラー選手は落ち着いて、GKジェームス選手の右側を打ち抜きました。
 ほぼ正面のシュートでしたが、左側に倒れ込みながらの守備であったジェームス選手は、このシュートに反応することが出来ず、僅かに触るのが精一杯でした。
 2点目のポドルスキー選手のシュートと共に、3点目のミュラー選手のシュートも「狭いサイド」に打って行ったものだったのです。とても正確で強いシュートでした。

 3-1とドイツチームが2点をリードしました。
 それも、イングランドチームのドイツゴール前でのチャンスから一転、2人のプレーヤーによるカウンター攻撃によってゴールを許してしてしまったイングランドチームにとっては、本当に痛い失点となりました。

 これで試合の帰趨は、大きくドイツチームに傾いたのです。

 その僅か3分後、再びドイツゴール前でのイングランドチームの攻めから、こぼれたボールが左サイドのエジル選手にパスされました。
 エジル選手が突進します。素晴らしいスピードのドリブル。

 そしてイングランドペナルティーエリア手前で、右サイドから走り込んできたミュラー選手にパス。
 ミュラー選手は右足でシュート。イングランドゴール右サイドに突き刺さりました。

 再びのカウンター攻撃、21歳のエジル選手、20歳のミュラー選手による、見事な得点でした。
 トーマス・ミュラー選手は、変幻自在の位置取りから高い得点力を誇るMFです。
 この大会でも5得点を挙げて、得点王に輝いています。
 得点感覚に極めて秀でたプレーヤーなのです。

 4-1となって、ゲームは決しました。

 「90分間では勝負はつかない」と言われた両チームにとっては、とても意外な結果でした。

 しかし、私はやはり、あのランパード選手のゴールが「認められていれば」、このゲームは大接戦になっていたと考えています。

 1966年のワールドカップ決勝における、ハースト選手の「疑惑のゴール」とは異なり、こちらは明らかなゴールでした。それが、審判から観えなかったという理由、もちろんそれが絶対的な理由、つまり「ゴールとは審判がゴールインを宣した時に成立する」というルールに則った結果であったのです。

 この「事件」が、後のVAR導入に向けての大きな要因になったのではないかと考えています。

 それにしても、いつ観てもとても楽しめる録画です。
 ランパード選手、ジェラート選手、ルーニー選手が動き回り、その間をエジル選手やシュバインシュタイガー選手、ミュラー選手、ケディラ選手らが走り回る「絵」。

 サッカー競技の本質を感じさせる、力強く華やかで、美しいシーンの連続なのです。
関連記事
スポンサーサイト



NEXT Entry
[FIFAワールドカップ2010ラウンド16] 日本チーム 史上初のPK戦
NEW Topics
[MLB2020(無観客)] 全60試合の約50試合を終えて
[2020年インディ500(無観客)] 佐藤琢磨選手 2度目の優勝!
ウイングドフット・ゴルフクラブ・西コースで開催された、過去5度の全米オープン
[陸上競技インカレ2020(無観客)] 女子100m競走 児玉芽生選手  11秒35
[陸上競技インカレ2020(無観客)] 男子走り幅跳び 橋岡優輝選手 8m29cm!
[NPB2020(観客数制限)] 岡本和真選手の2本のホームラン
[テニス全米オープン2020(無観客)女子シングルス] 大坂なおみ選手 2度目の制覇!
[MLB2020(無観客)] 田中将大投手 今シーズン2勝目
[NPB2020(観客数制限)] 原辰徳監督 通算1,067勝!
[テニス全米オープン2020女子シングルス] 大坂なおみ選手 2度目の決勝進出!
[スーパーラグビー2020] 初の女性主審が笛!
[PGAツアー2019~20(無観客)] ダスティン・ジョンソン選手 初の年間王者
[大相撲2020・9月場所(観客数制限)] 活躍が注目される10名の力士
[MLB2020(無観客)レギュラーシーズン] 約40ゲームを終えて
[PGAツアー2019~20プレーオフシリーズ最終戦] 2日目を終えて
[全米オープンテニス2020(無観客)女子シングルス] 大坂なおみ選手 4回戦進出
[MLB2020(無観客)] 「どっしりと」 ダルビッシュ有投手 7連勝
[温故知新2020-競泳10] 女子100m背泳ぎ オリンピック金メダリストの記録
[温故知新2020-陸上競技14] 女子4×100mリレー オリンピックメダル獲得チーム
[競馬コラム277] 2020年のイギリス競馬クラシックレース
[PGA2019~20プレーオフ第2戦(無観客)] 松山英樹選手 「懸命」の戦い
[ニトリレディスゴルフ2020(無観客)] 笹生優花選手 2大会連続優勝
[MLB2020(無観客)] ダルビッシュ有VS秋山翔吾 ダルビッシュ6連勝!
[2020年・甲子園高校野球交流試合(無観客)-4] 白いスパイク
[MLB2020(無観客)] 菊池雄星投手 今シーズン初勝利
[MLB2020(無観客)] 山口俊投手 メジャー初勝利
[セイコーゴールデングランプリ陸上2020(無観客)] 女子1,500m 田中希実選手の日本新記録
[MLB2020(無観客)] 前田健太投手 開幕4連勝
[MLB2020(無観客)] ダルビッシュ有投手 5連勝
[PGA2019~20プレーオフ第1戦(無観客)] ダスティン・ジョンソン選手 独走優勝!
[UEFA-CL2019~20(無観客)] バイエルン・ミュンヘン 6度目の優勝
[2020年・甲子園高校野球交流試合(無観客)-3] 16試合で柵越えのホームランは2本
[UEFA-CL2019~20(無観客)] 決勝T会場はポルトガルの「カテゴリー4」スタジアム
[2020年・甲子園高校野球交流試合(無観客)-2] 東西の横綱対決
[2020年 甲子園高校野球交流試合(無観客)] 明石商チーム・中森俊介投手 登板
[UEFA-CL2019~20(無観客)] 決勝は「パリ・サンジェルマンVSバイエルン・ミュンヘン」
[Jリーグ2020(観客数制限)] 川崎フロンターレ 10連勝
[NPB2020(観客数制限)] 菅野智之投手 完封勝利で開幕8連勝!
[NEC軽井沢72ゴルフ大会2020(無観客)] 笹生優花選手 プロ入り2戦目で初優勝
[UEFA-CL2019~20(無観客)] ベスト4 出揃う
[NPB2020(観客数制限)] 小川泰弘投手 ノーヒットノーラン達成!
[FIFAワールドカップ2002・決勝] セレソン 5度目の制覇
[競馬コラム276-日本馬の海外挑戦15] 2012年 G1・2勝、G2・1勝
[温故知新2020-競泳9] 女子400m自由形のオリンピック金メダリストの記録
[UEFA-CL2019~20(無観客)] 再開 ベスト8決まる。
[温故知新-陸上競技13] 男子3,000m障害 オリンピック金メダリストの記録
[全米プロゴルフ選手権2020(無観客)] コリン・モリカワ選手 初優勝
[MLB2020(無観客)・ナショナルリーグ] 8月8日終了時点の各地区の順位
[MLB2020(無観客)・アメリカンリーグ] 15ゲーム前後を終えての各地区の順位
[MLB2020(無観客)] ダルビッシュ有投手 2連勝!
Entry TAG
FIFA-WC2010ラウンド16・ランパード選手幻のゴール  
Comment
Trackback
Comment form
 管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

カエサルjr

Author:カエサルjr
「スポーツを考える-KaZ」ブログへ
ようこそ!
我が家の月下美人も16年目。同時に30個の花が咲くこともあります。スポーツも花盛りですね。一緒に楽しみましょう。

最新記事
最新コメント
検索フォーム
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

Page Top
CALENDaR 123456789101112131415161718192021222324252627282930